LIXILは、世界中の誰もが描く住まいの夢を実現するために、日々の暮らしの課題を解決する先進的なトイレ、お風呂、キッチンなどの水まわり製品と窓、ドア、インテリア、エクステリアなどの建材製品を開発、提供しています。
2024年3月期実績
LIXILは、ステークホルダーとの積極的かつ能動的なエンゲージメントを通じて、生活の質の向上や社会課題の解決に貢献することを、重要課題の一つに位置付けています。お客さま、取引先などのビジネスパートナー、事業拠点の地域社会に暮らす人びと、株主・投資家、従業員やその家族といったあらゆるステークホルダーに対して、主体的に働きかけ対話を行うことで、より大きなインパクトを社会にもたらす事業活動を行っています。また、事業での協働や社会貢献活動においては、グローバルな衛生課題の解決、水の保全と環境保護、多様性の尊重といった当社の優先取り組み分野に関わる活動や、自社の専門性を活かした分野に注力しています。
献金およびその他の支出、社会貢献支出額は以下をご覧ください。
社会データの範囲および詳細 >
LIXILでは、コーポレート部門および事業部門を統括する執行役ならびに部門長で構成されるインパクト戦略委員会において、様々なステークホルダーへの影響や貢献などを視野に入れながら、全社でサステナビリティ関連の課題に迅速かつ適切に対応しています。各事業部門には四半期ごとに開催されるインパクト戦略委員会での決定事項が伝達され、事業部門はその決定事項に基づき、具体的な取り組みにおいてステークホルダーへの対応を行うとともに、様々な組織・団体との協働を進めています。
ステークホルダー | エンゲージメントの方法 |
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お客さま | 製品やサービスについて、適切かつタイムリーな情報開示を行うとともに、お客さまの声を製品やサービスをはじめとする事業活動に反映しています。電話やEメールのほか、世界117拠点のショールームやオンラインショールームでお客さまからの相談に対応しています。 |
取引先(調達先) | 取引先との双方向のコミュニケーションを図り、信頼関係の構築や関係性の強化に努めています。責任ある調達アンケート結果を踏まえて、調達方針の共有化と現状把握を行うとともに、改善活動のフォローに活かしています。取引先とのミーティングを定期的に開催し、法規制の動向や新たな購買方針について情報共有を行っています。 |
株主・投資家 | 2024年3月期は、持続的な成長と企業価値の向上に向けた対話を、世界中の投資家と年間で397回実施しました。毎年、投資家向けのESG説明会をオンラインで開催しており、持続的な企業価値向上への取り組みとして、価値創造プロセスやインパクト戦略、ガバナンスなどについて説明を行うとともに、視聴者からの質疑に対応しています。 また、統合報告書や当社ウェブサイトのIRページ、東京証券取引所のウェブサイトで日本語・英語によるタイムリーかつ透明性の高い情報開示を行っています。 株主・投資家向け情報 > 2024年ESGイベント > |
従業員 | LIXILでは、約49,300人の従業員が働いています。全社で従業員意識調査や労使間の対話を継続的に行うことで、従業員の声を反映したインクルーシブで働きがいのある職場環境の実現に取り組んでいます。 |
地域社会 | LIXILは世界中に78工場を有しています。事業を展開している地域固有の文化や慣習を尊重し、生産や雇用についての責任を果たすだけでなく、企業市民としてより良い地域社会づくりへの貢献を目指しています。国内の工場や営業拠点では、これまで地域の皆さまとの「コミュニティ・ダイアログ」を開催したほか、現在は地域説明会やオンラインを含む工場見学などの機会を通じて、対話を進めています。また、地域の学校などで、LIXIL従業員による衛生や環境、多様性など社会課題に関する授業も行っています。その他、SDGsへの社会的関心の高まりを受け、LIXILのSDGsへの貢献について国内向けに発信する活動「LIXIL×SDGs NEXT STAGE」を行っています。 |
NPO・NGO、教育・研究機関 | NPO・NGO、教育・研究機関とのパートナーシップのもと、調査研究やソリューションの開発、講演を行っています。 |
行政、業界団体 | 企業が、健全な距離を保ちつつ政府や自治体と活発な議論を行うことは、持続可能な社会をつくる上で重要なことであると考えています。その一環として、LIXILは、行政との対話や協働に取り組む様々な団体(建材設備や住宅関連の業界団体、各種経済系団体)に参加しています。また、参加することにより、事業に関連する法律や国際協定などについての最新情報の収集などを行っています。 |
水と衛生の分野に知見があり、また影響力を持つ国際機関や専門機関、NGO、ビジネスパートナーとの協働を通じて、地域に合わせた製品開発や現地における生産・販売拠点の構築のほか、人材の能力開発や販売促進活動、意識啓発を通じた需要創出に取り組んでいます。
また、基本的な衛生設備を使用できない国や地域の衛生環境改善への貢献を目的とした寄付活動「みんなにキレイをプロジェクト~世界中にトイレと手洗いを~」なども展開し、2024年3月期は国際連合児童基金(ユニセフ)とのグローバルパートナーシップ「MAKE A SPLASH!」を通じて総額2,000万円を寄付しました。
主な連携先
LIXILは、世界各地で地域コミュニティにおける衛生設備の改善や衛生用品の寄贈などを通して、衛生課題の解決に取り組んでいます。
米国では、貧困家庭や障がいを負った退役軍人のために住居を提供するNGOに対し、当社の製品を寄贈しています。また、8割の家庭で公共下水道が整っていないアラバマ州ラウンズ郡では、官民連携の推進・強化に取り組む「LIXIL Public Partners(LPP)」がアラバマ州政府や大学、公的機関、フジクリーン工業などと連携し、水と衛生課題の解決に向けた取り組みを進めています。
アラバマ州ラウンズ郡における排水処理設備の設置作業
衛生業界では、専門的な技術職者が慢性的に不足しています。LIXILは、同課題の解決に向けて米国をはじめヨーロッパ地域、アジア地域、アフリカ地域の関連機関と連携し配管工を養成するプログラムを提供するほか、米国では政策提言なども行っています。
配管工育成に向けたプログラム
「Trade UPプログラム」の一環として、NPO「Tools & Tiaras」と協働で開催されたイベントに参加する女子生徒たち
GIVEプログラムの参加者たち
自然災害や紛争などにおける被災地で衛生的な環境が確保され、被災者が安心して暮らせるよう、被災地支援に積極的に取り組んでいます。
被災地では設備の不備や故障、人材の不足により、通常以上に衛生環境が悪化しやすく、病気が広まる危険性も高まります。LIXILは、低価格で安全・清潔な衛生環境を実現する革新的な簡易式トイレシステム「SATO」の寄贈や配管技術の指導を通じて、特に緊急性の高い地域において安全で衛生的な環境づくりに貢献しています。
国内においても、製品寄贈や義援金寄付など、様々な災害支援を行っています。令和6年能登半島地震に際しては、被災地の緊急人道支援として特定非営利活動法人ジャパン・プラットフォームに1,000万円、労働組合からは日本赤十字社に100万円を寄付しました。また、従業員による被災地への募金活動を行ったほか、復旧支援として被災した住宅において自社製品(浴室・トイレ・キッチンなど)の無料点検を実施しています。
また、長年にわたる災害時の課題に関する研究を通じて、製品を通じた災害支援にも取り組んでいます。災害配慮トイレ「レジリエンストイレ」は、平常時には5L、災害時には1Lの水で洗浄可能な状態に切り替えられるため、避難所のトイレの課題解決につながっています。避難所となる学校や体育館、防災拠点となる庁舎などを中心に設置を進めているほか、地域の防災教育でも活用されています。
地球環境に配慮しながら一人ひとりが住まいを見直すことが、次世代の快適な暮らしへとつながると考え、気候変動の「緩和」と「適応」をキーワードにステークホルダーとともに考え行動していく活動を続けています。
Think Heat~地球の気候変動には、へらす、そなえる、未来へつなぐ。(別画面が開きます) >
Think Heatでは、世界の子どもたちを「支援する」とともに、地域の子どもたちを「守る」こと、そして「育む」ことを目的に3つの取り組みを展開しています。
気候変動の影響を受ける世界の子どもたちの支援を目的に、「住まいから未来へつなぐプロジェクト~気候変動の影響を受ける子どもたちのために~」を実施し、2024年3月期は総額2,000万円を公益財団法人日本ユニセフ協会に寄付しました。寄付金は災害に見舞われた地域の子どもたちへの緊急復興支援と気候変動に備えるための適応対策支援の2つの活動に充てるとしており、今回の寄付額の一部は世界でも類を見ない未曽有の大洪水で甚大な被害を受けたパキスタンに送られました。
熱中症から地域の子どもたちを守るために実施している「窓からECOシェアプロジェクト」は、高断熱の窓・ドアで住宅からのCO2排出量を減らす緩和策と、外付日よけで室内熱中症に備える適応策を同時に進める活動です。地域のお客さまや自治体、ビジネスパートナーと協働して、CO2排出削減に資する断熱窓などの製品の売り上げの一部によって、公立保育施設に外付日よけを贈呈しています。これまで北関東・甲信越・関東・関西・中国・九州エリアの54設に外付日よけを贈呈し、2024年3月期は5,874トンのCO2排出量の削減に貢献しました。
健康と環境をテーマに、地域の子どもたちを育むことを目的に、主に小学校を対象とした出前授業を行っており、これまでに188回実施・約5,396人が参加しました。同取り組みでは、実験や体験を交えながら断熱や通風の工夫など、健康と環境によい住まい方を伝えています。
米国において水利用の効率化に向けた政策を連邦および州レベルで推進するAlliance for Water Efficiency (AWE)と連携し、コミュニティの節水支援に取り組んでいます。例えば、実証実験を行っているテキサス州ヒューストンでは、200戸の家庭に水効率の高い製品を寄付しました。また、シンプルでスマートな節水ソリューションを提供するLIXILブランド「Hydrific」の担当チームが、AWEとともに消費者の水使用に関する調査を実施し、今後は同ブランド製品を用いた実証実験が予定されています。その他、この分野における政策を推進するため、全米の専門家および水道事業者から成る年次会合のスポンサーなども務めています。
Hydrificに関する詳細はこちら(英語・別画面が開きます) >
加えて、ハワイ州ではWastewater Alternatives Innovation (WAI)との協働を通じて、衛生設備の改善による水生生態系の保護に取り組んでいます。こうした取り組みには、既存の下水処理システムに代わる革新的なソリューションが必要不可欠であり、LIXILはWAIの技術パートナーとして水利用効率の高い設備の実用化に向けた実証実験を実施しています。州全体において同課題を解決するため、同団体とともに政策提言などにも取り組んでいます。
米国以外にも、水不足が深刻な中東・アフリカ地域などにおいて節水支援に取り組んでいます。
例えば、エジプトのヘルスケア管轄当局(GAHC)とのパートナーシップのもと、エジプト国内の病院に節水・省エネ型のタッチレス水栓を導入するなど、医療サービスにおける節水・省エネのみならず、感染予防や経費節減にも貢献しています。
節水型水栓を使う医療従事者
海洋プラスチック削減に向け、浄水製品の開発や梱包材に使用されるプラスチックの削減に取り組むとともに、自然科学者やエンジニア、海洋生物学者が連携して河川などの水環境保全に向けた革新的な浄化技術の開発に取り組むソーシャルビジネス「everwave」を支援しています。同団体は、ごみを発見・回収するボート「CollectiX」を使用して、プラスチックが海に流出する前に回収する活動を行っています。また、水資源の使用量やプラスチックごみの削減を目的とした家庭用ウォーターシステム「GROHE Blue」を1台購入いただくごとにCollectiXボートでごみ1kgを回収するキャンペーンを行うなど、お客様とともに取り組む活動を展開しています。2022年に活動を開始して以降、ボスニア・ヘルツェゴビナやタイ・バンコクの河川などでごみの回収を実施しました。
everwave(英語・別画面が開きます) >
GROHE Blue >
株式会社ヘラルボニーが契約するアーティストが描いたアール・ブリュット(障害のあるアーティストによって描かれた作品)デザインをタイル製品「エコカラット」に起用し、販売を行っています。一人ひとりが持つ特性を活かした製品の販売によって得られた利益の一部をアーティストの新たな収入源として還元することで、誰もが一緒に歩めるインクルーシブな社会の構築に貢献します。
支援や福祉ではなく「ソーシャルビジネス」としてアーティストの作品を世に送り出すことで、「障害」に対するイメージを変容することを目指しています。
※エコカラットのアール・ブリュットにおける「障害」の表記について:
「障害」という言葉については多様な価値観があり、それぞれの考え方を否定する意図はないことを前提に、本製品においては社会側に障壁があるというヘラルボニーの考え方に賛同し、「障害」という表記で統一しています
すべての人が安心して快適にトイレを利用できる社会を実現するため、大学や非営利組織、企業などと連携し、トイレ利用に関する調査や研究開発を行っています。
主な連携先
中国・上海では、高齢社会への対応として地元の自治体と連携し高齢者向け施設・設備の体験センターの設立に取り組んでいます。洗面所や浴室をバリアフリーリフォームするなど、高齢者が安全かつ衛生的で快適な生活を送れるよう、地域社会に様々なソリューションを提供しています。
体験センター内の設備
パラアスリートとともに、日本全国の小学校で「ユニバーサル・ラン」を実施し、子どもたちの多様性への理解を育む取り組みを行っています。
毎年10月に実施される「LIXILコミュニティデー」は、所属先や地域を問わず、世界各国の役員と従業員が、3つの優先取り組み分野に関する社会貢献活動を勤務時間内に行う取り組みです。従業員が各チームの活動の企画から実行までを担うこの取り組みは、従業員エンゲージメントの向上やインパクト戦略に対する理解促進につながっています。2024年3月期は、140以上の取り組みに9,400人以上が参加し、地域清掃や出前授業、従業員による環境負荷低減の取り組みなどを行いました。
地域社会に変化をもたらしている優れた取り組みを、社内SNSを通じて全従業員に紹介することで、参加メンバーの努力と成果を称えるとともに、活動の活性化につなげています。
未来を担う子どもたちとともに、グローバルな衛生・環境問題や多様性の尊重などの社会課題の解決に貢献することを目指し、持続可能な開発のための教育(ESD)に取り組んでいます。
3つの優先取り組み分野であるグローバルな衛生課題、水の保全と環境保護、多様性の尊重をテーマに、オリジナル教材を用いた出前授業を行っています。全国の学校やイベントなどで2010年から累計1,756回開催し、57,931人の児童などが参加しました。講師を担う地域事業所および従業員と地域コミュニティの関係強化にもつながっています。
やきものの街として知られる愛知県常滑市にある「INAXライブミュージアム」では、土とやきもの、ものづくりや生活文化をテーマとする展覧会、光るどろだんごづくりなどの体験教室、土と触れ合うワークショップなど、「観て、触れて、感じて、学ぶ」様々な体験の機会を地域の皆さまに提供しています。