LIXILは、世界中の誰もが描く住まいの夢を実現するために、日々の暮らしの課題を解決する先進的なトイレ、お風呂、キッチンなどの水まわり製品と窓、ドア、インテリア、エクステリアなどの建材製品を開発、提供しています。
2025年3月期実績
LIXILは、インパクト戦略を事業戦略に組み込み、様々なステークホルダーと協働して、インパクト創出と社会課題の解決に取り組んでいます。また、企業として果たすべき役割を認識し、事業拠点がある地域社会への貢献、自然災害をはじめとする危機的な状況における人道支援を目的とした活動、未来を担う子どもたちへの教育、文化的価値の提供などに取り組んでいます。特に、自社の専門性を活かせる、インパクト戦略の3つの優先取り組み分野(グローバルな衛生課題の解決、水の保全と環境保護、多様性の尊重)に関連した活動に注力しています。
LIXILでは、コーポレート部門および事業部門を統括する執行役ならびに部門長で構成されるインパクト戦略委員会において、様々なステークホルダーへの影響や貢献などを視野に入れながら、全社でサステナビリティ関連の課題に迅速かつ適切に対応しています。各事業部門には原則として四半期に1回開催されるインパクト戦略委員会での決定事項が伝達され、事業部門はその決定事項に基づき、具体的な取り組みにおいてステークホルダーへの対応を行うとともに、様々な組織・団体との協働を進めています。

| ステークホルダー | エンゲージメントの方法 |
|---|---|
| お客さま | 製品やサービスについて、適切かつタイムリーな情報開示を行うとともに、お客さまの声を製品やサービスをはじめとする事業活動に反映しています。電話やEメールのほか、世界113拠点のショールームやオンラインショールームでお客さまからの相談に対応しています。 |
| 取引先(調達先) | 取引先との双方向のコミュニケーションを図り、信頼関係の構築や関係性の強化に努めています。責任ある調達アンケート結果を踏まえて、調達方針の共有化と現状把握を行うとともに、改善活動のフォローに活かしています。取引先とのミーティングを定期的に開催し、法規制の動向や新たな購買方針について情報共有を行っています。 |
| 株主・投資家 | 2025年3月期は、持続的な成長と企業価値の向上に向け、世界中の投資家と年間で407回の対話を実施しました。毎年、機関投資家向けの説明会をオンラインで開催しています。2025年3月期は持続的な企業価値向上への取り組みとして、インパクトを最大化するイノベーション創造への取り組みについて説明を行うとともに、視聴者からの質疑に対応しました。 また、統合報告書や当社ウェブサイトのIRページ、東京証券取引所のウェブサイトで日本語・英語によるタイムリーかつ透明性の高い情報開示を行っています。 株主・投資家向け情報 > 機関投資家説明会 > |
| 従業員 | LIXILでは、約48,600人の従業員が働いています。全社で従業員意識調査や労使間の対話を継続的に行うことで、従業員の声を反映したインクルーシブで働きがいのある職場環境の実現に取り組んでいます。 |
| 地域社会 | LIXILは世界中に77工場を有しています。事業を展開している地域固有の文化や慣習を尊重し、生産や雇用についての責任を果たすだけでなく、企業市民としてより良い地域社会づくりへの貢献を目指しています。国内の工場や営業拠点では、地域説明会やオンラインを含む工場見学などの機会を通じて、対話を進めています。また、地域の学校などで、従業員が衛生、環境、多様性などLIXILの専門性を活かした出前授業を行っています。その他、SDGsへの社会的関心の高まりを受け、LIXILのSDGsへの貢献について国内向けに発信する活動「LIXIL×SDGs NEXT STAGE」を行っています。 |
| NPO・NGO、教育・研究機関 | NPO・NGO、教育・研究機関とのパートナーシップのもと、調査研究やソリューションの開発、講演を行っています。 |
| 行政、業界団体 | LIXILは、健全で倫理的な態度と行動を保ちながら行政機関と良好な関係を構築し、当社の専門性を活かした情報提供を行うとともに、事業活動を行う国や地域が抱える課題解決に連携して取り組んでいます。また、産業全体として社会課題の解決に貢献するため、国内外のイニシアティブに参加し、取り組みを推進しています。 |
水と衛生の分野に知見があり、また影響力を持つ国際機関や専門機関、NGO、ビジネスパートナーとの協働を通じて、地域に合わせた製品開発や現地における生産・販売拠点の構築のほか、人材の能力開発や販売促進活動、意識啓発を通じた需要創出に取り組んでいます。
また、基本的な衛生設備を使用できない国や地域の衛生環境改善への貢献を目的とした寄付活動「みんなにキレイをプロジェクト~世界中にトイレと手洗いを~」なども展開し、2025年3月期は国際連合児童基金(ユニセフ)とのグローバルパートナーシップ「MAKE A SPLASH!」を通じて総額2,000万円を寄付しました。
2025年8月、LIXILは第9回アフリカ開発会議(TICAD 9)のハイレベルパネルにおいて、「グローバルヘルスのためのインパクト投資イニシアティブ(Impact Investment Initiative for Global Health: Triple I for Global Health)」のパートナーとなったことを表明しました。
このイニシアティブは、2023年5月に開催されたG7広島サミットで発表されたもので、グローバルヘルス分野において、特に低中所得国における課題解決に向けたインパクト投資を拡大し、社会課題の解決に貢献することを目指しています。
パートナーとなることで、110以上の組織からなるグローバルネットワークへ参加し、資金調達動向に関する知見、LIXILが推進する水と衛生に係る取り組みの広報機会や、インパクト測定をはじめとした国際的な政策・基準への意見反映の機会を得ることができます。
第9回アフリカ開発会議(TICAD 9)のハイレベルパネルについて詳しくはこちら(別画面が開きます) >
パートナーシップを通じたインパクトの拡大 >
LIXILは、世界各地で地域コミュニティにおける衛生設備の改善や衛生用品の寄贈などを通して、衛生課題の解決に取り組んでいます。
米国のアラバマ州では、農村部に住む世帯の8割において、衛生設備が機能していない、あるいは設置されていません。LIXIL Public Partners(LPP)は、この問題の解決に向け、現地のNGOであるBlackbelt Unincorporated Wastewater Program(BBUWP)と協働しています。アラバマ州政府や大学、公共機関、浄化槽メーカーのフジクリーン工業といったパートナーとの官民連携を推進・強化し、地域住民の水と衛生に関する課題解決に取り組んでいます。
アラバマ州ラウンズ郡における排水処理設備の設置作業
衛生業界では、専門的な技術職者が慢性的に不足しています。LIXILは、この課題の解決に向けて米国をはじめヨーロッパ、アジア、アフリカの関連機関と連携し配管工を養成するプログラムを提供しています。
配管工育成に向けたプログラム
「American Standard TradeUp」プログラムの一環として、NPO「Tools & Tiaras」と協働で開催されたイベントに参加する女子生徒たち
「GROHE Installer Vocational Training and Education(GIVE)」プログラム
このプログラムは、ヨーロッパ各地で配管技術者を育成する70以上の教育機関と連携し、最新の設備、教材、筆記試験を提供して、参加者が統一された手法で実践的な教育を受けられるよう支援しています。
連携先の詳細はこちら(英語・別画面が開きます)PDF:5.8MB >
GIVEプログラムの参加者たち
自然災害や紛争などにおける被災地で衛生的な環境が確保され、被災者が安心して尊厳を持って暮らせるよう、被災地支援に積極的に取り組んでいます。
被災地では設備の不備や故障、人材の不足により、通常以上に衛生環境が悪化しやすく、病気が広まる危険性も高まります。LIXILは、低価格で安全・清潔な衛生環境を実現する革新的なトイレや手洗いソリューションを提供するSATO事業や配管技術の指導を通じて、特に緊急性の高い地域において安全で衛生的な環境づくりに貢献しています。
国内においても、製品寄贈や義援金寄付など、様々な災害支援を行っています。令和6年能登半島地震に際しては、被災地の緊急人道支援として特定非営利活動法人ジャパン・プラットフォームに1,000万円、労働組合からは日本赤十字社に100万円を寄付しました。また、復旧支援として被災した住宅において自社製品(浴室・トイレ・キッチンなど)の無料点検を実施しています。
さらに、長年にわたる災害時の課題に関する研究を通じて、製品を通じた災害支援にも取り組んでいます。災害配慮トイレ「レジリエンストイレ」は、平常時には5L、災害時には1Lの水で洗浄可能な状態に切り替えられるため、避難所のトイレの課題解決につながっています。避難所となる学校や体育館、防災拠点となる庁舎などを中心に設置を進めているほか、地域の防災教育でも活用されています。
地球環境に配慮しながら一人ひとりが住まいを見直すことが、次世代の快適な暮らしへとつながると考え、気候変動の「緩和」と「適応」をキーワードにステークホルダーとともに考え行動していく活動を続けています。
Think Heat~地球の気候変動には、へらす、そなえる、未来へつなぐ。(別画面が開きます) >
Think Heatでは、世界の子どもたちを「支援する」とともに、地域の子どもたちを「守る」こと、そして「育む」ことを目的に3つの取り組みを展開しています。

気候変動の影響を受ける世界の子どもたちの支援を目的に、「住まいから未来へつなぐプロジェクト~気候変動の影響を受ける子どもたちのために~」を実施し、2025年3月期は総額2,906万円を公益財団法人日本ユニセフ協会に寄付しました。寄付金は気候変動による影響を受ける国と地域の子どもたちへの自然災害緊急支援と気候変動に対する適応力と回復力を強化するための気候変動対策支援の2つの活動に充てられます。今回の寄付額の一部は2024年9月に東南アジア諸国を襲った台風11号(ヤギ)と南西モンスーン豪雨による洪水と地滑りの影響を受けた、ベトナム・タイの子どもと家族への支援、ならびに、頻発する気象災害により被害を受けているフィリピンに送られました。

熱中症から地域の子どもたちを守るために実施している「窓からECOシェアプロジェクト」は、高断熱の窓・ドアを普及させ、住宅からのCO2排出量を減らす緩和策と、外付日よけで室内熱中症に備える適応策を同時に進める活動です。地域の自治体やビジネスパートナーと協働して、CO2排出削減に資する断熱窓などの製品の売り上げの一部によって、公立保育施設に外付日よけを寄贈することで、室内熱中症から子どもたちを守る取り組みを行っています。これまで北関東・甲信越・関東・関西・中国・九州エリアの57施設に外付日よけを寄贈しました。
地域の子どもたちを育むことを目的に、主に小学校を対象とした出前授業を行っており、これまでに204回実施・約5,926人が参加しました。季節の変化に合わせた住まい方の具体的な事例や、風や光、熱をいかして快適に過ごす工夫を知り、自分たちの住まいにいかすチャレンジワークを通じて、子どもたちが日常生活における実践力を育む機会をつくっています。
米国において水使用効率化に向けた政策を連邦および州レベルで推進するAlliance for Water Efficiency (AWE)と連携し、コミュニティの節水支援に取り組んでいます。節水効果の実証実験を行うテキサス州ヒューストンでは、200戸の家庭に水使用効率の高い当社の製品を寄付しました。また、シンプルでスマートな節水ソリューションを提供する「Droplet」の担当チームが、AWEとともに消費者の水使用に関する調査を実施し、今後は同製品を用いた実証実験が予定されています。その他、この分野における政策を推進するため、全米の専門家および水道事業者から成る年次会合のスポンサーなども務めています。
Dropletに関する詳細はこちら(英語・別画面が開きます) >
加えて、ハワイ州ではWastewater Alternatives Innovation (WAI)との協働を通じて、衛生設備の改善による水生生態系の保護に取り組んでいます。こうした取り組みには、既存の下水処理システムに代わる革新的なソリューションが必要不可欠であり、LIXILはWAIの技術パートナーとして水使用効率の高い設備の実用化に向けた実証実験を実施しています。また、州全体における課題解決のため、WAIと共に政策提言にも取り組んでいます。
LIXILは、世界的な水危機に対する意識を高め、責任ある水消費を促進するため、ヨーロッパにおいてTeam Oceanのボート遠征を支援しています。GROHE Team Oceanは、責任ある水使用と持続可能な実践を通じて節水意識を高める活動「アクアウェアネス(Aquawareness)」に注力しています。
2024年、GROHE Team Oceanは最初の遠征として、ライン川の源流であるスイスアルプスから北海までの川下りを実施しました。この遠征を通じ、スイスの氷河の体積がわずか2年間で10%も減少しているという深刻な事実を浮き彫りにしました。2025年の2回目の遠征では、カリフォルニア州からハワイ州までの約4,300kmを無寄港で漕破するという偉業を達成しました。男女3人混合チームによるこのルートでの漕艇は世界初であり、最速記録を樹立しました。航海中は「生きた実験室」として、チームは海水から飲料水をつくり、1人あたり1日6L未満の水で生活することで、水の自給自足の重要性を訴えました。
LIXILとTeam Oceanは、水の価値の啓発、行動変容の促進、そして安全な飲料水へのアクセスをすべての人にとっての基本的人権として擁護するという共通の理念のもとに活動しています。このパートナーシップは、LIXILのインパクト戦略に整合しており、私たちの社会貢献活動をより一層強化するものです。
GROHE Team Ocean for Aquawareness (英語・別画面が開きます) >
株式会社ヘラルボニーが契約するアーティストが描いたアール・ブリュット(障害のあるアーティストによって描かれた作品)デザインをタイル製品「エコカラット」に起用し、販売を行っています。一人ひとりが持つ特性を活かした製品の販売によって得られた利益の一部をアーティストの新たな収入源として還元することで、誰もが一緒に歩めるインクルーシブな社会の構築に貢献します。
支援や福祉ではなく「ソーシャルビジネス」としてアーティストの作品を世に送り出すことで、「障害」に対するイメージを変容することを目指しています。
※エコカラットのアール・ブリュットにおける「障害」の表記について:
「障害」という言葉については多様な価値観があり、それぞれの考え方を否定する意図はないことを前提に、本製品においては社会側に障壁があるというヘラルボニーの考え方に賛同し、「障害」という表記で統一しています
急速に高齢化が進む中国において、LIXILは上海の自治体と連携し、高齢者の生活を支えるための「高齢者体験センター」の運営を支援しています。このセンターでは、LIXILの製品を実際に体験・評価していただく機会を高齢者の方々に提供しています。また、地域の介護サービスセンターの職員の方々とも意見交換を行い、製品情報や高齢者介護に関する政府の補助金制度などの情報を共有しています。
体験センター内の設備
対話の様子
毎年10月に実施される「LIXILコミュニティデー」は、所属先や地域を問わず、世界各国の役員と従業員が、3つの優先取り組み分野に関する社会貢献活動を勤務時間内に行う取り組みです。従業員が各チームの活動の企画から実行までを担うこの取り組みは、従業員エンゲージメントの向上やインパクト戦略に対する理解促進につながっています。2025年3月期は、150以上の取り組みに15,000人以上が参加し、地域清掃や出前授業、従業員による環境負荷低減の取り組みなどを行いました。
地域社会に変化をもたらしている優れた取り組みを、社内SNSを通じて全従業員に紹介することで、参加メンバーの努力と成果を称えるとともに、活動の活性化につなげています。
未来を担う子どもたちが自ら考え、行動を起こすことを目的に、LIXILでは出前授業を通じて持続可能な開発のための教育(ESD)に取り組んでいます。
インパクト戦略の3つの優先取り組み分野であるグローバルな衛生課題、水の保全と環境保護、多様性の尊重のほか、家庭や学校での安全をテーマに、LIXILのオリジナル教材を用いた出前授業を行っています。全国の学校やイベントなどで2010年から累計2,052回開催し、69,682人の児童などが参加しました。また、出前授業の実施および講師を開催地域の事業所と従業員が担当することから、地域コミュニティとの関係強化にもつながっています。

やきものの街として知られる愛知県常滑市にある「INAXライブミュージアム」では、土とやきもの、ものづくりや生活文化をテーマとする展覧会、光るどろだんごづくりなどの体験教室、土と触れ合うワークショップなど、「観て、触れて、感じて、学ぶ」様々な体験の機会を地域の皆さまに提供しています。