断熱住宅で実現する健康・快適生活

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更新:2017年3月8日

伝統的な日本家屋の特徴ともいえる深い軒、縁側や障子。高温多湿な日本では、長雨や湿気、夏の遮熱に備えて、通気性を高め、快適に暮らすため様々な工夫がなされてきました。その反面、日本の住宅の防寒、断熱性能は諸外国に比べ、相対的に低く、多くの人が住まいの冬の寒さに不満を抱えているのが実情です。

リフォームや建替え前後の住まいの悩みに関するLIXILが実施したアンケート結果によると、家づくりを検討する前の人も、新しい家を建てて住み始めた後の人も、上位3つの悩みは「光熱費が高くて不満」、「結露やカビ・ダニが心配」、「冬は寒く、夏は暑い」と、共通する問題意識を抱えていることがわかりました。これらはすべて、住まいの断熱性の低さが大きな原因です。暖房で温めても部屋の中や部屋間の温度差が生じ、すぐに熱が逃げてしまったり、部屋にいる人の体温が奪われたり、外との温度差により窓に結露が発生するのは、まさに住宅の基本性能に起因する問題なのです。一方で、先のアンケートによると、多くの人が住まいの断熱性に不満を抱えているのにもかかわらず、家の建替えやリフォームをしても、その不満は解消されていないことが明らかになっています。これは、実際に家づくりを検討する段になると、断熱性よりも、浴室、トイレ、キッチンの使い勝手を高めたい、汚れをなんとかしたいというニーズが優先されてしまうという傾向によるものです。

断熱性がもたらす健康効果

冬は家が寒いのは当たり前で、我慢するものと思っている人も多いかもしれません。しかし、家の断熱性は健康に暮らすための「鍵」であると健康住宅を提唱する首都大学東京名誉教授の星旦二先生は言います。例えばイギリスでは、住宅の断熱性能は基本的人権の一つとも考えられ、寒さによる健康リスクを軽減するため、室内の過度の寒さを防ぐ法規制があります。一方で、日本の住宅では、断熱性が健康な暮らしを支える重要な役割として注目されるようになったのは近年のことです。

住まいの断熱・気密性能の向上によって、住む人の健康維持につながる効果が期待できます。例えば、断熱性の低い住宅では、冬場に、暖房の効いた居間とお風呂やトイレでは10℃以上の温度差が生じることも珍しくなく、その温度差は「ヒートショック」と呼ばれる急激な血圧変動を引き起こす要因となります。実際、日本衛生学会で発表されたデータ1でも、住宅内で心筋梗塞や脳出血などの循環器疾患が原因の死亡者数は冬場に急増することが報告されています。また、星先生が携わった全国1万軒を対象とした転居者調査2では、暖かい住宅への転居前と転居後で、各種アレルギー性疾患、高血圧性疾患、関節炎、肺炎、糖尿病、心疾患、脳血管疾患と多岐にわたる病気の症状が改善していることがわかりました。これは、結露の減少によるカビやダニの発生減少や、暖房方式、換気システムの改善などによる空気の清浄化など、複合効果と考えられます。「健康に暮らすためには住宅の開口部、壁、床、屋根などの断熱性と気密性を高め、熱の出入りを防ぐことで1年中快適な室温を維持することが重要」と星先生は語ります。

断熱性の高い住宅では、部屋間の体感温度差は小さくなり、冬場のヒートショック低減にもつながる

体感する「未来の家」での暮らし

LIXILでは、家の新築・改修を考える方々に、写真や図面だけではわからない、高断熱住宅のメリットを実際に「体感」していただけるよう、「住まいStudio」を2017年10月にオープンしました。

施設内には、冬と夏の環境を再現。「Studio -冬-」では、外気温が摂氏0度という環境下で、「昔の家(昭和55年基準)」、「今の家(平成28年基準)」、「これからの家(HEAT 20 G2)3」と、窓や壁の断熱性能が異なる3つの室内環境の違いを体感できます。例えば、暖房が効いているリビングと隣接する洗面室との温度差は、「昔の家」では10度以上ですが、「これからの家」では温度差は5度程度におさえられ、均一に暖かさが保たれているのがわかります。加えて、サーモカメラを用いて、窓際の寒さや部屋間の温度差をビジュアルでも認識できます。さらに、「Studio -夏-」では、真夏の日差しと室温を再現したリビングで、南からの強い日差しや強烈な西日に対し、日差し対策による効果を体感することができます。断熱性能を高めると、夏の間も外の熱気を家に取り込まず、冷房効率も上がり、一年中、快適な室内環境を保つことができます。

「住まいStudio」では、室内の温度差をサーモカメラ(右)を通して認識できる

「住まいStudioは、通常のショールームのように商品をご覧いただくのではなく、室内空間がどうあるべきか、どうすれば気持ちよく過ごせるのかを肌で感じる場を提供しています」と住まいStudioディレクターの亀下隆は言います。「住まいの高気密・高断熱化は、家族が健康で快適に過ごせるようになるだけでなく、エネルギーロスの少ない省エネ住宅の実現にもつながります。このようなメリットを、これからマイホームを建てる方、リフォームを考える方に幅広くお伝えし、"健やかで快適な住まい"作りをサポートしていきます」。

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