INAX: 日本の「水の文化」を世界へ

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更新:2019年12月5日

自然の恵みである「水」。私たちの日々の暮らしに欠かせない水に、日本人は、古くから象徴的な意味を与えてきました。そして今日でも、身を清め、身体と心の疲れを癒し、活力を与えるものとして、水を用いています。

例えば、神社仏閣で参拝前に手や口を洗い清めたり、温泉につかって癒され、毎日、お風呂に入ることで1日の疲れを洗い流します。このような日本で育まれてきた水を用いた生活習慣の多くは、日本のみならず海外の人々にとっても、魅力的に感じられています。

日本ならではの「水の文化」を体現したデザイン

先進的な水まわり製品と建材製品を開発・提供するLIXILでは、デザインチームが中心となり、日本の「水の文化」が世界中の家庭でも取り入れられるように、古来の知恵と最先端のテクノロジーを組み合わせた製品開発に取り組んできました。

「INAXブランドの新しい水まわりコレクションには、日本の水の文化を体現したデザインをふんだんに取り入れています」とLIXIL Water TechnologyのVice President of Designを務める白井康裕は言います。

「例えば、日本人は、温泉に浸かることで心身を癒すなど様々な効果を得ています。そこで、INAXのお風呂は、温泉でお湯を愉しむ時と同じように、身も心も存分にリラックスできるデザインにしています。また、『INAXレインシャワー』は、滝に打たれながら瞑想することで心を清める神道の滝行をイメージし、シャワーを浴びるたびに、滝行のようなリフレッシュ感を体感できる製品になっています」

業界初となる製品を数多く生み出してきたLIXILは、100年以上にわたる、ものづくりの歴史を持つブランドを有しています。長年にわたって培われた強みに加え、東京、常滑、ロンドン、ニューヨーク、デュッセルドルフ、シンガポールと世界に広がる社内のデザインチームが、絶え間なく変化する消費者ニーズに常に対応していくことが重要だと白井は語ります。

「INAXブランドを含むLIXILの包括的なデザインコンセプトは“人と建築(humanitecture)”で、この2つの要素の融合を意味します」と白井は解説します。「このコンセプトのもと、建築的要素と人間的要素の両方をバランスよく組み合わせ、プロダクトが空間に美しく納まり、同時に、エンドユーザーにとっての直感的な使いやすさを考慮したデザインを追求しています」

このコンセプトを実現するため、LIXILのデザインチームが製品一つひとつのデザインに織り込んでいるのが、ブランドを象徴する「デザイン・バリュー」と、それを具体的なフォルムとして用いる「シグネチャー・エレメント」です。白井曰く、これらはINAXブランドを視覚的に表現し、感性に訴えることができるアイデンティティ、すなわちブランドのDNAなのです。

様々な業界の消費者トレンドを調査

LIXILのChief Design OfficerのPaul Flowers(ポール・フラワーズ)は、コンセプト段階から製品化という段階を経て生み出されるLIXILの製品はすべて、インテリア・建築関連業界のみならず、あらゆる市場における消費者トレンドからインスピレーションを受けていると力説します。

「エンドユーザーがどのように暮らしているのか、個人的な好みや趣味、文化、漠然としたニーズまで理解することが重要なのです」とFlowersは言います。「だから、デザインしている製品がシャワートイレであれ、浄水機能付き水栓であれ、私たちは車から家具、インテリア、ファッションに至るまで、エンドユーザーのライフスタイルのトレンドを表すものすべてをリサーチしています」

「この作業を私たちは “プリサーチ”(先行調査)と呼んでいますが、これは、LIXILがエンドユーザーにとって意味のある製品を作るために、すべてのブランドで導入しているデザインプロセスの不可欠な要素なのです」

LIXILでは、世界中のデザインチームが絶えず消費者トレンドを追跡しており、そのインサイトをデザインに織り込むことにより、世に出した時点で市場が求めているものとなるように新製品を開発しています。また、このアプローチによって、製品が実際に使用される地域において「文化に根ざすもの」を提供することができます。

アジアの都市部を中心に、世界中で現われているトレンドがあります。土地や住宅の価格がとかく高い地域において、健康的で快適な生活空間を生み出すことが求められているのです。日本では、過去150年の間に限られた土地の中で急速に人口が増加したことにより、小さなスペースを最大限に活用し、水や陽の光などの自然の恵みを効果的に活用するとともに、貴重な資源を無駄にしない知恵を身につけてきました。

LIXILでは、この知恵を活かし、コンパクトでありながら機能的で使いやすい、環境に優しい製品を提供しています。

Flowersは、エンドユーザーのことを第一に考えることが、本来一番重要なことだと言います。「常に一歩先を行きたいと考える多くの企業が、未だに競合他社の商品に基づいて製品を設計しています。しかし、私たちが同じアプローチを採ると、エンドユーザーにとって意味のある製品をデザインしているのではなくなってしまいます。だからこそ私たちは、エンドユーザーの声に耳を傾け、彼らの行動を分析し、真に価値のあるものは何かというインサイトを幅広く集めるプロセスに徹することにしたのです」

INAX Blueの活用で訴求力を強化

更に、Flowersが率いるデザインチームでは、ブランドを表す色を採用することで、バスルーム・インテリア業界における新境地を開いています。レッドソール(赤い靴底)を見るとデザイナー、クリスチャン・ルブタン氏の靴だとひと目でわかるように、この手法は他の業界で効果を発揮しています。INAXでは同様に、ブランド全体を瞬時にビジュアルに伝えるようにINAX Blueを採用しています。

「私たちは、単なる美しいブランディングツールとして製品にINAX Blueを採用しているのではありません」とFlowersは述べています。 「INAX Blueは機能がオンになっている時を示すために用いており、それにより、直ちにユーザーの注意を引き、製品が直感的に使いやすいよう設計しているのです」

今年4月に開催された国際見本市「ミラノデザインウィーク 2019」において、INAXは新しい水まわりコレクションを紹介し、日本独自の「水の文化」を取り入れてデザインされた製品は、大きな注目を集めました。このINAXの新しいコレクションは、日本ブランドや日本の生活関連製品がすでに確固たる支持を得ているアジア市場から展開が開始されています。中国、ベトナム、タイなどの国々では、経済成長とともに所得が増え、自分の意志で自由に使える収入を得た「中流階級」や「富裕層」に分類される人びとが増加しています。こうした消費者は特に、より快適なバスルームを持つことに高い関心を持っています。

調査によると、このような”小さな贅沢”をする余裕を持つ中間層が世界的に増えています。2018年9月にブルッキングス研究所が発表した研究報告では、記録が残る人類史上初めて、世界人口の50%以上(約38億人)が中流階級または富裕層と見なされるという結果が示されています。 そして、そのような人びとこそがINAX製品がもたらす価値を好む消費者なのです。

Flowersは、「INAXブランドには、日本国外で受け入れられる大きなポテンシャルがあります」と胸を張ります。「このブランドは、日本の習慣や文化に深く根付いた水の文化を体現する一方、世界で通じる価値を提供することができるのです」

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