新本社から広がるLIXILの働き方改革

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更新:2020年4月23日

2020年は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大が、世界中で過去に類を見ない甚大な影響を及ぼし、波乱の幕開けとなりました。4月中旬には全世界の新型コロナウイルス感染者数は250万人を突破し¹、多くの人がこれまでの働き方や生活スタイルを変えざるを得ない状況に直面しています。当面こうした状況が続くと予想される中、世界中の企業において、従業員の働き方について方針を見直す動きが広がっています。

今年1月、LIXILは、グローバル対策チームを立ち上げ、COVID-19に関する状況を継続的にモニターするとともに、社内向けSNSを通じ、従業員に対してタイムリーに情報を発信する体制を整えました。オフィスで働く従業員には在宅勤務を推奨し、2月からは、海外出張に加えて日本国内でのイベントや出席者が10人を超える対面での会議を控えるなど、ガイドラインをさらに強化しました。さらに、4月には日本政府が発令した緊急事態宣言を受け、先行して対象地域となった7都府県においては、LIXILの従業員の在宅勤務の比率は7割を超え、東京にある本社、WINGでは、在籍する従業員のうち、98%~99%がすでに在宅勤務に切り替えています。現在では、LIXILグループの取締役会や報道機関向けの会見、研修もオンラインで実施しています。このような新しい働き方への迅速な転換を可能にした背景には、LIXILが以前より推進してきた働き方変革の取り組みがあります。

LIXILグループCEOの瀬戸欣哉は次のようにコメントしています。「LIXILでは、従業員の安全と健康を第一に、様々な対策を講じています。COVID-19の感染拡大が報じられた時点で、当社ではすでにデジタル化に必要なインフラと、柔軟な働き方を可能とする人事制度が整備されていたことが幸いしました。従前からの取り組みによって、今回のような危機的な状況にあっても、従業員の大半が家族と一緒に過ごしながら、在宅勤務で仕事をする体制ができています。」

従来の働き方を根本から変える

COVID-19の感染拡大防止に向けた対応を行う中で、職場における働き方の変革が加速しました。古い労働慣行が根強く残る日本企業も例外ではありません。しかしながら、従来の働き方を変えることはそう簡単ではありません。

「日本社会では、会社に出社することこそが、仕事に対する誠実な姿勢を示すと考えられがちです。そのため、仕事に対する全く新しい考え方を育んでいくことが、新しい働き方を支えるインフラを整備するのと同様に重要なのです」と瀬戸は指摘します。

日本政府の統計によると、COVID-19の感染が広がる以前は、東京圏で朝の通勤のピーク時における電車の乗車率は最大約200%となっていました²。このように混雑を極めた電車内でも、「週刊誌程度なら読むことができる」と言われています³。また、日本では、慢性的に時間外労働を行ったり、休暇を取得せずに働き続けることも珍しくありません。2018年の政府の調査では、日本の労働者の大半が、年次有給休暇の半分の日数しか取得していないことが明らかとなっています⁴。この問題に対処するため、日本では2018年6月29日に「公正な待遇の確保」、「長時間労働の是正」、「柔軟な働き方の実現」を目的とした「働き方改革関連法案」が可決・成立しました⁵。

帝国データバンクの調査⁶によると、現在は大企業の約75%が働き方改革に積極的に取り組んでいます。多くの企業は従業員に時間外労働の削減を促すと共に、年次休暇の取得を推奨しています。ところが、2019年12月時点でテレワークやサテライトオフィスの活用を導入している企業は僅か7.8%に過ぎず、COVID-19の感染拡大を受けて、すぐに働き方を変えるのは困難な状況にあります。実際、厚生労働省がLINEの公式アカウントを通じて実施した全国調査によると、テレワークの実行率は全体の5.6%に過ぎませんでした⁷。

LIXILの働き方改革

2019年11月、東京東部の下町を流れる静かな横十間川に面するWINGに、LIXILはグローバルな本社機能を集約しました。WINGという本社ビルの名称は、新しいアイデアが生まれ、未来に向かって羽ばたいていく場所を想起させます。

LIXILのグローバル本社(東京都江東区 大島)

LIXILグループのChief People Officerを務めるJin Montesanoは次のようにコメントしています。「LIXILの事業戦略を実行し、お客様に製品やサービスを提供したり、社会的価値を創造するのは、従業員の力によるものです。つまり、私たちの競争力と成長の原動力は、従業員にあるのです。だからこそ、従業員同士が互いに協力し、刺激し合えるような拠点を築きたいと考えました。本社機能を集約した新しいWINGは、従業員同士の連携を加速させ、快適な環境と柔軟な働き方の推進によって個々の可能性を伸ばし、その成長をサポートする場所なのです。」

今年完成する新本社は、自然換気機能を取り入れたガラス張りの新棟「HOSHI」を含む4つの棟で構成されています。また、5,000人超の従業員の収容が可能で、R&Dセンターやデザインセンターをはじめ、新しい発想をより加速させるためのオープンなコミュニケーションスペースが設けられています。また、オフィスでの多様性を尊重し、ジェンダーや身体能力に関係なく誰もが利用できるという全く新しいコンセプトのトイレも設置しました。

「ひらめき」と呼ばれるフロアも、こうした考えから生まれた場所です。一つのフロア内に個人が業務に集中できるブース、グループでブレーンストーミングを行うスペース、さらに発表などが行えるロマネスク様式の半円形のイベントエリア、図書室、休憩スペースなどのエリアが設けられ、業務の内容に合わせて、多様なワークスペースを自由に選ぶことができます。

従業員の多様な働き方のニーズに応えるフロア「ひらめき」

Montesanoは次のように指摘します。「LIXILでは、従業員が新しいやり方やアイデアを試すことできる環境を提供することが非常に重要だと考えています。ただ、職場環境の整備だけでは、十分ではありません。結局のところ、私たちはそれぞれ異なるライフスタイルを持っており、各人が能力を発揮する条件は同じとは限りません。そして、LIXILの働き方改革はデジタル化による変革でもあるのです。」

デジタル化で働き方を変える

LIXILはグローバルスタンダードに対応すべく、2017年より、日本の従業員を対象とした独自の働き方改革を開始しました。その一環として、妊娠・育児や介護などの事由を抱える従業員に対して在宅勤務を導入しました。その後、各部署での試験導入を経て、事由を持たない従業員にも対象を拡大し、より柔軟な勤務を実現しました。現在では、在宅勤務からテレワークに拡充し、本社をはじめ、各オフィスで働く従業員は自分の業務やライフスタイルに応じて、日数の制限なく、自宅やサテライトオフィスでの勤務が認められています。

加えて、従業員はフレックスタイムを活用し、仕事をする時間を自らが管理できるようになりました。これにより、「仕事と家族の世話を両立する」といった個々の事情やライフスタイルに応じた働き方が、より容易になりました。

これと同時に、世界各地の従業員を繋ぐために、複数のデジタルツールを導入しました。社内の公式なソーシャルネットワークとして「Workplace」を採用したほか、「Zoom」などのビデオ会議ツールの利用を可能にしました。現在、CEOの瀬戸が実施する従業員向けタウンホールをはじめ、多くのタウンホールミーティングは、こうしたデジタルツールを活用してオンラインで行われています。

現在LIXILは、Workplaceを採用し、積極的に活用している日本企業の中で最大規模です。3月には、Workplaceのアカウントを取得している従業員の90%以上が活発に利用するようになり、Workchatで交換されたメッセージは月間100万件を超え、記録的な増加となりました。また、Zoomを使ったオンライン会議の回数も12月は週7,500件だったのに対し、4月には31,500件にまで増えています。さらにLIXIL経営陣は対面による会議に代わる手段として、Zoomを用いた従業員との活発な意見交換の場を設けるようになり、ショールームでも遠隔による接客業務を試験的に行っています。

Montesanoは次のように話します。「LIXILはデジタル化をさらに加速させていきます。新本社であるWINGでは、新しい職場環境とともに、デジタルツールを活用した新しい働き方によって、従業員はこれまで以上に能力を発揮できるようになると信じています。加えて、従業員にはそれぞれのニーズがあり、それにあわせた柔軟な人事制度を採用していきます。そうすることで、もっと効率的に個々の時間を活用し、自分の仕事にやりがいを感じられるようになると考えています。そして、多くの優れたアイデアが、オンラインで生まれることにもつながっていくでしょう。」

このようにLIXILでは、すでに様々な施策を推進してきましたが、COVID-19への対応を進める中で、実行すべきことがまだ多く残っていることが明らかになったと、瀬戸とMontesanoは口をそろえます。

将来を見据え、瀬戸は次のように話します。「現在、多くの従業員が在宅勤務に切り替えて家族と一緒に過ごしながら仕事をしていますが、一方で、テレワークでは成立しない業務もあります。ショールームや工場で働く従業員の安全確保を最優先に取り組みながら、業務を継続することで、手洗いに必要な洗面器や水栓といった水まわり製品をはじめ、快適で健康的な住まいの実現を支えています。当社における働き方改革は大きく前進しましたが、人びとや社会に継続的に貢献していくために、この危機が去った後も、企業としての社会的な責任を常に考えていかなくてはなりません。」

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