責任あるプラスチックの使い方

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更新:2021年1月15日

プラスチックの歴史のはじまりは、1900年代初頭まで遡ります。汎用性が高い素材として誕生したプラスチックは瞬く間に世界中に普及し、さまざまな商品が多くの人にとって手頃な価格で生産できるようになりました。

現在では世界のプラスチック生産量は過去50年間で20倍に増加し、年間3億8,100万トン¹ が消費されています。しかし、人類が1世紀以上にわたってプラスチックに依存してきたことへの代償は甚大なものになりつつあります。使用されたプラスチックのうちリサイクルされているのはわずか10%だと言われ、残りの90%は容易には分解されず、数百年もの間自然界に残るからです。
世界的な人口増加に伴い、資源の責任ある利用が企業や個人に求められていることは、LIXILにとっても例外ではありません。

パッケージから製品ソリューションまで、包括的なアプローチ

キッチン水栓から直接、「浄水」「微炭酸」「強炭酸」を楽しむことができるGROHE Blue

2020年、LIXILが展開するGROHEは、生産プロセスと製品の使用段階の双方における効率性の高い資源の利用が評価され、「The Sustainability Heroes Award 2020」「German Sustainability Award 2021」「The German Sustainability Design Award 2021」という3つの名誉ある賞を受賞しました。しかし、同ブランドにおけるサステナビリティの推進は今に始まったことではありません。LIXILの全方位的な水の保全と環境保護への取り組みを牽引してきGROHEでは、2018年に始まった「Less Plastics Initiative(プラスチック削減イニシアティブ)」を通じて、約2,350万個の使い捨てプラスチックパッケージを削減し、2021年中に3,500万個の削減を目指しています。

「工場でのワークショップを通じて新しく、優れたアイディアを集めることができました」とCentral Industrial Engineering Corporate PackagingのStephan Thaterはいいます。より効率的なパッケージ設計を考案するこのプロジェクトの成功には、従業員の参加がきわめて重要でした。最も一般的に使用されているプラスチックパッケージの種類の特定から、より持続可能な代替品の調査とさまざまなテストの実施など、パッケージが決定するまでに多くの段階を踏む必要がありました。「従業員の声を吸い上げてプロセスを継続的に見直し、持続可能性を維持することは、ブランドにとって重要なことです」とThaterは言います。

また、Less Plastic Initiativeの活動範囲を製品にも拡大しています。GROHE Blueは、キッチン水栓から直接、「浄水」「微炭酸」「強炭酸」を最適な温度で楽しむことができるウォーターシステムです。このウォーターシステムを利用することで、消費者一人当たり、年間200本のペットボトルを節約することができます²。

ドイツ・デュッセルドルフで開催されたオンライン授賞式でスピーチするThomas Fuhr(2020年12月4日)

人びとの水の消費への意識を変えうる点が評価され、GROHE Blueは「German Sustainability Award 2021 DESIGN」を受賞しました。加えて、バリューチェーン全体を通じて社会に貢献し、持続可能な暮らしの提案する同ブランドは、German Sustainability Awardの「資源」の分野でも賞を獲得しました。

「これらの賞は、これまで一丸となって取り組んできたチームの成果を示すものです。私たちは未来の世代の暮らしを守る責任があり、そのために環境を守る責任を追及しているのです。この思考が、サステナビリティにおける継続的なイノベーションと責任ある資源の利用を可能にすると考えています」と、LIXIL International FittingsリーダーのThomas Fuhrは説明します。

素材のイノベーションで業界に変革を

微生物由来のバイオマスプラスチックのプロトタイプ

「エコバッグを持ち歩くなど、日々の暮らしの中でできる取り組みも大切ですが、根本的な解決に繋がる素材開発は研究者だからこそ挑戦したいと思ったのです」この課題に取り組むきっかけについて語ったのは、微生物由来のバイオマスプラスチックの研究に挑戦している、Technology Research 本部 分析・材料研究所 環境材料グループの保立さやかです。

通常のプラスチックは石油由来ですが、バイオマスプラスチックは再生可能な生物資源を原料としています。LIXILが研究している素材はミドリムシから採れる「パラミロン」という有効成分を利用した非生分解性のバイオマスプラスチックです。非可食成分なので、食糧不安への影響もなく、硬さや耐熱性などを変えてさまざまな既存のプラスチックに似せることができるため、幅広い製品に応用できる可能性を持っています。

同研究に携わる、Technology Research 本部 分析・材料研究所 環境材料グループの田中淳は「化学メーカーは多業界の製品ニーズに応えるため、汎用性の高い素材を研究しますが、LIXILが本当に欲しい仕様の素材を得るためには、先手を打って研究することが必要だと考えました。もし私たちが開発した素材が業界標準になればLIXILの競争力を高めることに繋がります」と説明します。

開発した新素材は、幅広い製品に応用できる可能性を秘めていますが、製品化に向けてさまざまな検証が必要です。将来的には、この新素材をグローバルに、ブランドや部門を超えて使用していくことを目指しています。

環境への影響を最小限にするデザイン視点のアプローチ

INAX Aqua Power Showerheadの紙パッケージ

「アジア諸国において、LIXILの製品は路面店で販売されることも多いのですが、湿度による製品の劣化を防ぐため、従来はプラスチック製のパッケージを使用していました。しかし、インド、タイやベトナム等でもシングルユース(使い捨て)プラスチックに対する規制が強化されました」とLIXIL Global Designの冨岡陽一郎は言います。プロダクトデザイナーとして、INAXがグローバルに販売するAqua Power Showerheadの新しいパッケージデザインを担当した冨岡には大きなチャレンジでした。「消費者が求める『製品』と『体験』を創造することがデザイナーの仕事ですが、消費者の間でも地球環境に対する危機意識が芽生えています。私たちもこの問題に責任を持って取り組むべきと考え、プラスチックの使い方を考え直すことから始めました。INAXは”LIVE WELL(健やかに生き生きとしたライフスタイル)”を生み出すことをブランドコンセプトとしているので、プラスチック問題に対して真摯に取り組むことはブランドの方向性とも一致しています」

表面に必要最低限の薄いプラスチックフィルムを貼ることで、耐久性を担保しつつ、従来のパッケージと比較すると大幅にプラスチックの使用量を削減しました。「成功事例を積み重ね、国や地域の垣根を越えて、代替素材の利用も視野に入れながら、幅広い製品へ応用していきたいです」 と冨岡はコメントしています。

従業員の意識を変え、日々の業務の中での行動を促す

2020年10月には、毎年従業員がさまざまな地域貢献活動を行う全社プログラム「LIXILコミュニティデー」では、NPO法人Social Innovation Japanと協力し、「mymizuチャレンジ」を実施しました。マイボトルを用いた給水を実践し、「mymizu アプリ」に給水量を登録するという本企画には国内外から約 2,500 名の従業員が参加し、1か月間で34,000本³ のペットボトルを削減することができました。

LIXILの環境推進部リーダー、川上敏弘は言います。「グローバルな水まわりと住宅建材メーカーとして、循環型経済の実現に貢献する包括的な取り組みを行っています。『プラスチック行動宣言』は、環境ビジョン2050の達成に向けた方向性を示すものであり、新しい発想を歓迎するものです。例えば、チームミーティングの際にペットボトルではなくコップを使用するといったシンプルな行動から、製品寿命を延ばすための新しいビジネスモデルの構築に至るまで、全従業員の創造性を最大限に引き出すことが、LIXIL の競争力を高め、イノベーションの原動力に繋がると確信しています。」

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