従業員が生き生きと活躍する、アジャイルな組織の実現に向けて

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更新:2020年10月29日

LIXILがかつて本社を置いていたのは、官公庁のビルが立ち並ぶ霞が関。当時のLIXIL本社では、部署ごとに島型のレイアウトでデスクが並ぶオフィス、トップダウン型のコミュニケーションなど、日本企業の伝統的なスタイルが取られていました。このような風土は、毎日の暮らしに欠かせない水まわり製品や住宅建材を扱うメーカーとして、より豊かで快適な住まいの実現に貢献するという企業イメージとは、かけ離れたものだったかもしれません。

2016年、LIXILの社長兼CEOに就任した瀬戸欣哉は、目的意識と起業家精神にあふれた会社へと変革するべく、新たな挑戦に乗り出しました。経営が複雑化し、往々にして非効率さが目立つコングロマリット企業を根本から変えることを目指したのです。LIXILは、より豊かで快適な住まいを実現するべく、先進的な水まわり製品や、住宅建材製品を開発・提供する企業です。瀬戸の狙いは、エンドユーザーのニーズを理解し、その変化に機動的に対応できる、顧客志向の組織へと生まれ変わることでした。

そのためには、組織を簡素化し、より強い企業となるための構造改革が必要でした。そして、従業員が各々の潜在能力を最大限に生かせるような風通しの良い社内風土を根付かせることで、従業員の活力を高め、より機動的な組織を作ることを目指しました。

このような変化を象徴する施策の一つが、瀬戸が推進したオフィスでの服装の自由化でした。そこには、日本企業の伝統的な慣習に従うことよりも、重要なのは仕事で結果を出すことである、という明確なメッセージがこめられていました。服装の自由化に始まり、全社共通の行動指針となる LIXIL Behaviors( 3つの行動)の導入、全世界の従業員をつなぐデジタルプラットフォームを通じた連携の強化やグローバルな統合の推進など、瀬戸は次々に新たな施策を導入し、「アジャイル」な組織の実現に向けたLIXILのトランスフォーメーションを推進してきたのです。さらに、事業ポートフォリオの見直しにより、水まわりと住宅建材という中核事業への注力を進めるとともに、LIXILは現行の持株会社体制から事業会社として運営する体制へとまもなく移行し、意思決定のスピードを上げ、さらなる効率化につなげていきます。

組織力を強化し、前例のない事態にも機動的に対応

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大は、LIXILに新たな試練をもたらしました。LIXILでは国内組織の簡素化を進めるとともに、世界各地で展開する海外事業を一元的に統括するLIXIL International を設置し、地域の枠を超えた連携を強化してきました。また、全社においてデジタル化を推進していたことで、コロナ禍においても機動的な対応を可能とする体制が整っていたといえます。

例えば、サプライチェーンのグローバルな統合を進めていたことから、コロナ禍において北米でシャワートイレの需要が急激に増えた場合にも、柔軟な対応が可能となりました。さらに、組織の階層削減やレポーティングラインの簡素化、地域の枠を超えたプロジェクトチームの構築や主要なビジネスプロセスにグローバルな視点を活用するといった取り組みを進めてきました。このように、予期せぬ事態にも対応できるよう、組織全体としての機動力を高めてきたのです。

LIXILの従業員は、より機動的で起業家精神に富んだ働き方に取り組んでいます

また、個人の働き方という意味でも、変化が生まれています。LIXILでは、社内SNS としてWorkplace を活用していますが、これによって従来の階層的な組織構造によるトップダウンのコミュニケーションという縛りから解放され、従業員同士の連携やコミュニケーションが活性化しました。例えば、欧州と日本のチームが、COVID-19への対応策として、3Dプリンターを利用し、肘でドアを開けることができるハンドル開発のために連携するなど、国境を越えたコミュニケーションが行われたのは良い事例です。COVID-19の感染拡大防止のため、多くの従業員が在宅勤務に移行しましたが、社内アンケート調査によると、66%¹の従業員が、デジタルツールの活用によって生産性が高まり、ワークライフバランスが改善されたと回答するなど、ポジティブな変化につながっています。

役職名ではなく、実際に担っている業務を重視

ドイツのラール工場を見学中のCEO 瀬戸欣哉とLIXIL International リーダー Bijoy Mohan

LIXILは、実力主義を徹底し、より「アジャイル」な組織に転換するため、さらなる変革を進めています。その一環として、全社において、管理職以上の役職の簡素化と統一を行います。まず海外事業を統括するLIXIL International と、グローバルコーポレート部門に所属する国内外の管理職の役職の変更を先行して行い、各自が担当する分野の”Leader(リーダー)”という役職に統一されます。これは経営幹部も例外ではなく、LIXIL International を率い、海外事業全般を統括するBijoy Mohanの役職は、これまでのLIXIL International CEOから、すでにLIXIL International Leaderに変更されています。

役職の簡素化に加え、LIXILは、今年、経営管理体制を見直し、社長1名の下、専務役員と常務役員の2つの階層で構成する体制変更を行いました。経営幹部の数も50人から24人に減少しました。この変更は、よりシンプルで、機動的な組織を作るという目的を反映するものです。加えて、CxOの役職を有する経営幹部の人数を大幅に削減し、会社の方向性を定める上での経営陣の責任を明確にすることで、ガバナンス強化を図ることが狙いです。

瀬戸は、こう強調します。「高い役職にある人だけがリーダーということではなく、誰もがリーダーになる能力を有しています。どのような役職についているかで、貢献度が決まるわけではないのです。役職を気にすることで活躍の場を限定することなく、誰もが実力を発揮できる環境を作ることを目指しています」

また、Mohanは、この役職名の変更は「肩書や階級ではなく、従業員それぞれが実際に担っている仕事を重視して、よりシンプルでオープンな組織文化を作るための重要な施策」だと説明します。「私たちはチームワークを高め、より機動的な組織になることを目指しています。チームワークを高めることで、多様な考えや各人の強みを生かすことができ、新たな価値の創出につながります。一方で、階層型の組織で役職の違いを過度に意識し、失敗を恐れたり、透明性が欠如することは、効果的なチームワークの妨げとなります。高い役職にある人の考えだからということではなく、誰の考えであれ、私たちは最良のアイデアを採用すべきなのです」

コラボレーションとイノベーションの活性化を促進するLIXIL のオフィス環境

さらに、この施策は、ビジネスパートナーやエンドユーザーに対して、よりよいサービスの提供につなげることを目指しています。必要な知識や経験を兼ね備え、意思決定を行うことができる人材を適材適所に配置し、お客様との連携を強化することで、適切なソリューションの提供やイノベーションを生み出すことを重視しています。重要なのは、名刺に書かれた肩書ではなく、求められるソリューションを迅速に提供できるかどうかなのです。

デジタル部門リーダーの金澤 祐悟は、全社における役職の簡素化を進める意義をこう説明します。「この取り組みは、従業員の主体性を高め、変化に機敏に対応できる組織文化の醸成につながるというプラスの効果があると考えます。LIXIL では、日々の仕事の中で、従業員がどう行動すべきかを、『正しいことをする』、『敬意を持って働く』、『実験し、学ぶ』というLIXIL Behaviors(3つの行動)として示していますが、これは、役職の違いにこだわることなく、率直に発言し、意見を共有することが重要であり、誰もが会社の成功に責任を持っているという考えを反映するものです」

従業員の多様な働き方を助長する本社オフィスLIXIL WING

LIXILは、2019年11月に、霞ヶ関ビルから江東区大島にグローバルな本社機能を集約しました。WING と呼ばれる現本社は、川沿いの住宅地にあり、研究開発施設やデザインセンターを含め、オープンなコミュニケーションや新しい考え方を生み出す環境を提供することを重視しています。また、海外においても、米国ピスカタウェイ、シンガポール、デュッセルドルフの各地域におけるオフィスの役割や位置づけを変えたことで、同様の変化が起きています。従業員同士の連携を促し、想像力が発揮できるような職場環境を提供することによって、従業員が能力を存分に生かすことができるようになります。この数年で、LIXILでの働き方は劇的に変化してきましたが、よりアジャイルな組織の実現に向けて、LIXILの挑戦はこれからも続きます。

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