「水の恵み」を未来へとつなぐ:
リサイクルシャワーで変える新たな暮らし

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爽やかな1日のスタートを切るシャワーや、長い一日の疲れを癒すお風呂。私たちは日々、豊かな水の恵みを受けながら、快適で衛生的な暮らしを享受しています。

しかし、今、気候変動や人口増加などを背景に世界中で水不足が広がっています。水の需給は今後さらにひっ迫していくと見られており、私たちの水に対する意識や暮らしのあり方も見直しを迫られています。

ただ、水を大切にしようとする気持ちがあっても、日々の生活に根付いている習慣を変えることは簡単ではありません。

水の使い方を変えることなく、節水が可能になれば、水不足の解消に向けて大きな貢献ができるはずです。こうした持続可能な水の使い方を実現するため、LIXILは革新的な技術を取り入れたさまざまな取り組みを行っています。

心地よさはそのままに、水を再利用できる新しいシャワーシステム

水をリサイクルする新しいシャワーシステム「Everstream」

写真右: Duarte Salvador

例えば、LIXILが展開するGROHEブランドでは、水をリサイクルする新しいシャワーシステム「Everstream」の技術を開発しました。「Everstream」は、シャンプーや石鹸を使って髪や身体を洗った後、「リサイクルモード」をオンにすることで、お湯をそのまま排水せずに回収される仕組みになっています。回収されたお湯を適切に浄化することで、お湯を清潔な状態で再び利用することができるのです。

先進国の多くでは、シャワーやお風呂で使う水が家庭で使用される水の大部分を占めており、こうした水の再利用を可能にすることで、高い節水効果が期待できます。

「リサイクルシャワーシステム『Everstream』は、最新技術によって水の再利用を可能とし、シャワーを浴びる際の水の使用量を、従来型のシャワーシステムのわずか4分の1にまで抑えることができます」と、LIXILのEMENA(欧州・中東・北アフリカ)地域で製品デザインを担当し、数々のデザイン賞の受賞に導いてきた実績を持つDuarte Salvadorは言います。

従来型のシャワーでは、10分間におよそ120Lの水を使うのに比べ、「Everstream」では30Lほどに抑えられます。つまり、シャワーを浴びるのに必要な水の量は最大で75%減少、水をお湯に変える際のエネルギー消費量も従来型より65%減らすことができます。

「私たちはメーカーとして、誰もが持続可能な暮らしができるよう、何ができるかを考え、実践していくことが責務だと考えています」とEMENA地域を統括する責任者であるJonas Brennwaldは語っています。 「一人ひとりが自らの暮らし方を変えることができるような、革新的な技術を生み出すことに挑戦していきます」

世界が直面する水資源の危機

「水は社会を持続的に発展させるための中核となる資源であり、社会や経済の拡大、エネルギー、食糧生産、健康的なエコシステム、そして人間の生存そのものにきわめて大切なものです」と国連は訴えています1

それにもかかわらず、世界の多くの地域が、水不足によって日常生活に不便が生じるような「水ストレス」(1人当たりの年間水消費可能量などをもとに水需給のひっ迫度を算出した指標)にさらされています。国連をはじめとする数々の国際機関や研究機関は、世界の水需給が今後さらにひっ迫すると警鐘を鳴らしており、水不足の解消に向けた対策が急務となっています2

欧州環境庁(EEA)によると、欧州で水ストレスの影響を受けている人々は全人口のおよそ30%(年平均)に及んでいます3。また、国際連合児童基金(UNICEF)は、中東および北アフリカで暮らす子どもたちの90%は、水ストレスが深刻な地域に住んでいると報告しています4

テクノロジーを通じて消費者の行動を変える

拡大する水不足のリスクから暮らしを守るためには、消費者自身が節水の習慣を身につけることも大切です。しかし、消費者の対応は国や地域で大きな格差があります。

GROHEブランドが委託して実施した調査によると、エネルギー危機の影響が大きいオランダ、ドイツ、スペインでは、シャワーの時間を短縮し、さらに使うお湯の温度を下げる人が増えています。一方で、米国や英国などの地域では、こうした新しい習慣はさほど広がっていないことがわかりました。

消費者に行動の変化を求めることは容易ではありません。最も効果的な方法のひとつは、そうした変化を受け入れやすい状況をつくることです5。従来のシャワーと同じ感覚で使うことができ、同時に持続可能な水の使い方を実現する「Everstream」の開発には、消費者が抵抗感なく節水できるようサポートしたい、というLIXILの願いが込められています。

「Everstream」の開発に携わったSalvadorは、水流を50%カットするGROHEの「EcoJoyシャワーヘッド」の開発にも関わりました。水流カットにより温水の消費量が減らすことができ、エネルギーの節約につながります。

タッチレス水栓「ナビッシュハンズフリー」

加えて、LIXILでは水の使用量を減らすことができる製品として、節水型トイレやスマートコントローラーも提供しています。LIXILが展開するAmerican Standardブランドの節水トイレ「Studio S」は、PowerFlo水洗技術を採用し、1回流すのに必要な水をわずか約3.8Lに抑えています。これは米国の業界標準である約6.1L6の40%未満という極めて低い水準です。

さらに、センサー技術により、手をかざすだけで吐水/止水が可能なINAXブランドのタッチレス水栓「ナビッシュハンズフリー」は、水流の開始と停止を自動化することで、従来型の水栓と比べて、流す水の量を30%減らすことができます。

次世代へとつなげる「持続可能な暮らし」

世界が抱える水不足という課題の解決に求められるソリューションは一つではありません。LIXILでは、世界中の誰もが影響を受けるグローバルな課題に対応するため、事業活動を通じた取り組みを進めています。

「安全な水とトイレ」へのアクセスは、基本的人権です。国連の持続可能な開発目標(SDGs)の目標6には「安全な水とトイレを世界中に」が掲げられており、こうした課題解決に貢献するべく、LIXILは持続可能な暮らしの実現を目指しています。

LIXILは、世界中のさまざまな地域で多彩な製品を展開していますが、「Everstream」は、新たな暮らしの可能性を広げるイノベーションの一つです。「より良い暮らしの実現はLIXILのビジネスの根幹にあります。私たちは、貴重な水資源を守るために節水に努めると同時に、より少ない水で、快適な暮らしを実現するソリューションを提供していかなければなりません」とSalvadorは語っています。

Brennwaldはこう指摘します。「誰もが快適な暮らしを諦めることなく、限りある資源を守っていく方法はあると私たちは考えます。先進技術を活用することで、人びとの変化を促していくことができるのです」

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