従業員の健康

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2025年3月期実績

健康診断受診率
(国内)
100%
ストレスチェック受検率
(国内)
96.3%
プレゼンティーズム
76.0%

考え方

LIXILは、従業員一人ひとりが心身ともに健康な状態であることが、活気ある職場づくりを実現し、企業価値の向上につながると考えています。CEOによる「健康経営宣言」のもと、健康経営を推進し、従業員のウェルビーイングを促進しています。

LIXILでは、心身の健康を「能力発揮の源泉」とする組織文化を醸成し、誰もが活躍できる環境を整え、価値創造の原動力としています。このため、従業員が自律的な健康管理を行えるようになることを重視するとともに、会社としてその健康管理を支援する体制を構築し、健康を大切にする組織風土を醸成することを目指しています。健康経営の推進により、従業員を含む社会全体へ様々な価値を提供できる体制を強化し、LIXILのPurpose(存在意義)「世界中の誰もが願う、豊かで快適な住まいの実現」を果たしていきます。

従業員一人ひとりのウェルビーイング実現に向けて >

健康経営宣言

LIXILは、すべての従業員の健康が組織の健康の源泉と捉え、持続的な健康経営を推進することで、世界中の人々の豊かで快適な住まいの実現に貢献することを宣言します。

LIXILは、私たちを取り巻く環境変化に対して迅速に対応できるより強い組織を構築するために、その中核となる従業員がいきいきと個々の能力を最大限に発揮できるような組織文化の醸成に取り組んでいます。環境変化により従業員の働き方が変化しても、より一層健康で活躍できる環境を整えていきます。

従業員の皆さんも世界中の人々の豊かで快適な住まいの実現に向けて、まずはご自身やご家族の健康が最も重要ということを理解し、健康を維持増進するための活動に積極的に参加してください。

株式会社 LIXIL
取締役 代表執行役社長 兼 CEO
瀬戸欣哉

ガバナンス

国内では、健康経営責任者であるCEOの指揮のもと、職場・人事部門・産業医・保健師・健康保険組合が連携し、従業員の健康維持・増進を支援する体制を構築しています。

健康経営推進責任者であるChief People Officer(CPO)は、取締役会に対して年に1回以上、健康経営の目標に対する進捗や課題、施策などについて報告を行い、取締役から適宜助言を受けています。

健康経営推進体制

健康経営推進体制

目標と実績

戦略マップ

経営課題の解決につながる健康課題を特定した上で、それらの課題解決に向けた施策および評価指標を定めた健康経営戦略マップを作成しています。

健康経営戦略マップ

優先施策

戦略マップを踏まえた上で、従業員の健康状態や意識・行動変容に関する主な指標において、2026年3月期までの目標値(定量および定性)を定めています。目標達成に向けて、データに基づく包括的なリスク分析・評価により課題を特定し、事業年度における優先施策を設定しています。

健康経営における課題と2025年3月期の優先施策

側面 課題 2025年3月期 優先施策
経営理念・方針
  • 従業員の健康経営推進体制への参画
  • 取引先への健康経営に関する支援
  • LIXILの健康推進ガイドライン策定にあたって、健康指標の愛称を従業員から募集し、展開(愛称は「カラダシル」に決定)
組織体制
  • 各職場での保健師活動のさらなる拡充
  • 職場分析結果の基盤となるデータベースの整備
  • 健康推進体制の強化(主管部署および全社体制の構築・強化)
  • 保健師体制の安定化
    現場の課題やニーズを把握し、健康増進に向けた取り組みの企画・実施・評価を行う
  • 職場環境や従業員の健康状態に関するデータベース整備
制度・施策実行
  • 精密検査受診率の向上(保健師による受診勧奨・保健指導充実)
  • 特定保健指導実施率の向上
  • 有給休暇取得率の向上
  • 育児・介護の取り組みのさらなる拡充
  • 各施策の充実(メンタルヘルス・高齢従業員特有の健康課題・従業員の家族支援)
  • 健康保険組合や労働組合との情報共有および対策展開に向けた協議を推進
  • 有給休暇取得促進策の検討
  • 育児・介護支援に関する課題分析の実施と支援策の拡充
  • 花粉症に関する現状調査の実施
  • 口腔衛生のセミナーの開催
評価・改善
  • 有給休暇取得率の向上のための効果的な対策の不足
  • 成果につながる施策の企画・立案
  • 施策効果の検証と方針への反映

健康経営の主要指標に関する目標と実績

2025年3月期の主な成果

ストレスチェック受検率は96.3%と高い水準を維持しています。また、受検者へのフォローアップとして、保健師による保健指導の機会を提供しました。

また、全国の拠点に保健師を配置したことによって、保健師が健康上のハイリスク者の特定から、再受診の勧奨、その後の経過観察まで担う体制が確立され、従業員の健康増進を職場で直接サポートできるようになりました。保健師への活動集約により、今期より「重症化防止活動対象者の受診継続率」は指標から削除していますが、対象者をより拡大し、ハイリスク者の治療継続状況の確認と支援を続けています。

※(株)LIXILおよび(株)LIXILと同様の制度を導入している国内子会社の全従業員を対象に厚生労働省が推奨する「職業性ストレス簡易調査票」を用いてストレスチェックを毎年実施。高ストレスが確認された従業員に対しては、産業医との個別面談を推奨しています

職業性ストレス簡易調査票(別画面が開きます) >

指標 2026年3月期目標 2023年3月期実績 2024年3月期実績 2025年3月期実績
アウトプット指標 健康診断受診率 100.0% 100.0% 100.0% 100.0%
定期健康診断後の精密検査受診率 87.0% 58.6% 81.3% 83.7%
ストレスチェック受検率 97.5% 96.4% 97.3% 96.3%
特定保健指導実施率 60.0% 38.5% 60.6% 60.0%
(見込み)
アウトカム指標 健診結果有所見者率(血圧・脂質・血糖・肝機能) 18.0% 18.9% 18.7% 19.2%
高ストレス者率 9.3% 10.4% 10.4% 9.6%
休業日数率(傷病手当金受給者より算出)※1 0.40% 0.48% 0.55% 0.65%

2025年7月末現在

対象会社:(株)LIXIL

対象者:正社員(シニア含む)、嘱託、 パート社員(週20時間以上勤務)、出向受入者を含む

※1 休業日数率:健康経営戦略マップのアウトカム指標「アブセンティーズム」(心身の健康上の問題より欠勤している状態のこと)に関する評価指標。「LIXIL健康保険組合の傷病手当金請求日数÷(在籍者×暦日数) 」の算式により算出。2025年3月期 在籍者数は(株)LIXIL 17,390人

取り組みの評価

健康経営の現状把握および評価のために、毎年従業員を対象にアンケート調査を実施しています。
プレゼンティーズム(出勤しているにも関わらず、心身の健康上の問題が作用してパフォーマンスが上がらない状態のこと)の改善については、2023年3月期(実績75.3%)に対して、2031年3月期に80%まで向上させるという目標を掲げ、下記に記載する健康経営に関する従業員アンケートの結果をもとに改善状況を検証しています。

健康経営に関するアンケート調査

プレゼンティーズム
76.0%
健康経営に取り組むべきと感じている従業員の割合
51.4%
ヘルスリテラシーの肯定回答率
57.3%

従業員を対象※1に健康経営に関するアンケート調査を実施しており、2025年3月期の回答率は95.8%(回答者:20,754人)でした。

調査結果をもとに、各施策の評価と改善を図っています。「健康経営に取り組むべき」と思う従業員が約80%に達している一方、「会社が健康経営に取り組めている」と感じる従業員が少ないことを受け、年1回のヘルスケア研修において健康経営について学ぶ機会を継続的に設けているほか、LIXIL健康推進指標の愛称を従業員から募集するなどの取り組みを行いました。その結果、2025年3月期は「会社が健康経営に取り組めているか」と、ヘルスリテラシー※2においてポイントの向上がみられました。

※1 対象会社:(株)LIXILおよび(株)LIXILと同様の制度を導入している国内子会社
対象者:正社員(シニア含む)、嘱託、 パート社員、出向受入者を含む

※2 ヘルスリテラシー:健康や医療に関する必要な情報を獲得・理解し、効果的に利用して行動する能力のこと

設問 結果
2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
プレゼンティーズム 体調(心と体 双方を含みます)が万全のときにあなたが発揮できる仕事の出来を100%とした場合の過去4週間のあなたの出来 75.3% 75.3% 76.0%
健康経営に対する理解や評価
会社は健康経営に取り組むべきか 78.1% 79.1% 78.6%
会社は健康経営に取り組めているか 40.9% 43.8% 51.4%
ヘルスリテラシー 健康情報をもとに健康改善のための計画や行動を決めることができる 50.2% 52.3% 57.3%
女性の健康課題 女性特有の症状があるか 63.0% 65.4% 63.0%

教育・啓発活動

主に健康経営の方針やメンタルヘルス維持、疾病の予防、生活習慣改善に向けた具体的なアクションを学ぶことができる総合的なe-learningプログラムを全従業員に対して毎年提供しています。また、管理職に対しては、部下の健康管理に特化した教育なども行っています。

2025年3月期に実施した健康教育プログラム

項目 受講率
健康に関する総合的なe-learning 99.0%
管理職向け研修:部下の健康管理 100.0%
新入社員向け研修:健康の基礎知識・メンタルヘルス 100.0%
新任管理職向け研修:管理職としての基礎知識・職場のメンタルヘルス 93.5%

対象範囲:(株)LIXILおよび国内子会社 直接雇用(パート社員を含む)。健康に関する総合的なe-learningは間接雇用の従業員も対象に含む。

2025年3月期は、ヘルスリテラシー向上を目的とした全従業員向けのヘルスケア研修において、従業員のニーズが最も高かった「睡眠」をテーマとして取り上げ、研修資料をリニューアルしました。受講後のアンケートでは、全従業員および管理職向け研修ともに肯定的な回答が寄せられています。全従業員を対象とする健康に関する総合的なe-learningについては、受講者の93.3%が研修内容を自身の健康管理に活かせると回答。また、管理職を対象とした部下の健康管理に関する研修は、受講者の98.6%が研修内容を職場での対応に活かせると回答しました。

上記以外にも、保健師から健康管理に関する情報発信・音声付き資料の配信を2ヵ月に1回行うなど、従業員一人ひとりが主体的に健康・維持増進に取り組むことができる職場環境づくりに努めています。

個別のニーズ・状況に応じた支援策の拡充

全国の拠点へ保健師を配置し、拠点のニーズや状況に応じた支援を提供するなど、従業員に対して直接的なサポートを行える体制を整備しています。

また、「こころとからだの健康相談窓口」を設置し、社内の保健師が電話やメールで個別相談を受け付け、専門的なサポートを行っています。その他、LIXIL健康保険組合では「こころとからだのサポート窓口」を通じて、健康や医療をはじめ育児・介護などについて社外の医師・保健師などに電話やウェブサイト、面談で相談できる体制を整えています。

さらに、疾病により休業した従業員には「職場復帰プログラム」に基づき、休業中のケアから復帰後のフォローまで、職場・人事部門・産業医・保健師が連携した支援を提供しています。

女性特有の健康課題に対する支援

健康経営に関するアンケートの中で女性特有の健康課題に関する設問を設けており、2025年3月期の調査では女性特有の症状を自覚している女性従業員の割合は63.0%であることがわかりました。

調査結果に基づく施策として、このテーマに関する専用相談窓口を開設しているほか、2025年3月期は「セルフケア休暇」の取得要件に、ライフステージごとに異なる女性ホルモンの影響による健康課題(PMS・月経・更年期など)に対する通院を拡充しました。

また、女性特有の健康課題への知識・理解の促進を図るため、保健師による情報発信を行っています。その他、全従業員および管理職を対象としたヘルスケア研修において同テーマに関する教育を行うほか、社外講師によるオンラインセミナーを実施しており、2025年3月期は管理職や男性従業員を含む296名が参加しました。受講後のアンケートでは、肯定的な回答が98.3%となり、「更年期への不安が大きかったが、これからは気軽に病院に相談していこうと思った」「女性特有の病気や症状の知識を習得でき、職場や家庭で寄り添えるようになった」といった声が寄せられています。

従業員向けのHealthcare Letter

従業員向けのHealthcare Letter

健康推進イベント

日常的な健康づくりの重要性から、LIXIL健康保険組合と共同で積極的に運動を奨励しています。

LIXIL健康ウォーク

  • 年2回開催
  • 2025年3月期の参加者数:5,791人
  • アンケート調査結果の概要:90%以上が目標に向かって楽しく参加でき、今後もウォーキングに参加したいと回答

健康づくりキャンペーン

  • 禁煙・運動習慣などをテーマに年2回開催
  • 2025年3月期の参加者数:5,295人
健康ウォークの応募画面

健康ウォークの応募画面

禁煙対策

2020年4月より、国内全事業所および施設の敷地内を終日禁煙としています。また、喫煙者を対象としたアンケートを実施し、禁煙意思がある従業員に支援を提供するなど喫煙率の低下に向けて取り組んでいます。具体的には、ニコチンガムの無償配布や禁煙外来治療費の補助を行うほか、2025年3月期は健康保険組合主催で禁煙セミナーを実施した上で「ノンスモ禁煙サポートプログラム※」を希望者27人に提供しました。

こうした取り組みの結果、株式会社LIXILにおける喫煙率は2025年3月末時点で20.2%と、この数年間で減少傾向にあります。

※ノンスモ禁煙サポートプログラム:禁煙補助薬の服用と10日間のサポートメールによる情報提供および6ヵ月間の継続支援サポート

感染症対策

感染症対策として、LIXIL健康保険組合加入者への常備薬の無料配布や「インフルエンザ予防接種」の費用補助を実施しています。また、感染症に対する予防対策をまとめたハンドブックをイントラネットに掲載するなど、感染防止対策の徹底と従業員への注意喚起を継続的に行っています。

ヨーロッパ地域では、従業員アシスタントプログラム「OPTUM」を導入しています。従業員やその家族の職場や私生活でのチャレンジを支援するとともに、一人ひとりが心身ともに健康でいきいきと働ける職場づくりを推進することを目的としています。また、従業員とその家族を対象に、24時間365日、無料かつ匿名で利用できる社内相談窓口を設置し、専門的なサポートを受けられる体制を構築しています。

ヘルスケアアプリのロゴ

その他、ドイツでは従業員同士が自身の健康維持・増進に関する取り組みを発信・共有できる社内コミュニティを立ち上げ、ヘルスリテラシーの向上にも取り組んでいます。同取り組みの一つとして、新たに導入されたヘルスケアアプリでは、従業員が健康維持・増進に向けたアクションを入力するとポイントが貯まり、貯まったポイントに応じてキャッシュバックが行われる仕組みです。こうした活動を通じて、従業員の健康づくりをサポートするとともに、ウェルビーイングの向上にも取り組んでいます。

健康経営に関する取り組み・ノウハウの普及活動

LIXILは、これまでの取り組みで培ったノウハウや知見を活かし、社会全体の労働者の健康維持に貢献するため積極的な情報発信を行っています。また、サプライヤーをはじめとするビジネスパートナーにおける健康経営を支援するため、戦略マップの作成と運用、従業員の行動変容を促す施策、自社独自の特別休暇制度の導入事例など、具体的な取り組みや事例を共有しています。

サプライヤーに対する情報提供と支援

サプライヤー向けの年次集会において、LIXILの健康経営に関する取り組みを共有し、希望者を対象に個別説明会を実施しています。また、年次集会後のアンケートを通じて、サプライヤーの健康経営の取り組み状況やLIXILの取り組みへの関心度を確認し、支援策や社会への普及活動に活かしています。

ヘルスケア研修プログラムの提供

LIXIL独自のe-learningによるヘルスケア研修プログラムを取引先にも公開し、受講を呼びかけています。

「Kenko企業会」への参画

労働者の健康維持・増進は、一企業の活動にとどまらず働く人たち全員の課題と考え、健康管理のノウハウを共有することにより、社会全体での健康増進活動の有効性・活用性向上を目的とする「Kenko企業会」に参画しています。2025年3月期は、「女性の健康分科会」に所属し、全5回の分科会に参加しました。同分科会では、女性の健康課題に関する制度や職場環境について情報交換・課題検討などを行っており、当社は生理などを理由としたセルフケア休暇制度の拡充に向けた取り組みについて検討しました。

社外からの評価・表彰

健康経営優良法人に認定

株式会社LIXILは、「健康経営優良法人2025(ホワイト500)」に3年連続で認定されました(「健康経営優良法人」としては9年連続の認定)。
戦略マップに基づいた活動を実践していること、その中でも特に次のような取り組みが評価されています。

  • 経営課題解決に向けた戦略的な健康経営の推進
  • 管理職・従業員のヘルスリテラシー向上のための健康教育の充実
  • 健康診断の結果、医療機関への受診が必要と判定された従業員への個別アプローチの強化
  • 従業員の健康不調によるパフォーマンスおよび生産性の低下防止に向けた幅広い取り組みの展開
  • 女性特有の健康課題に対する支援策(制度、情報発信、セミナーなど)の拡充
健康経営優良法人2025(ホワイト500)のロゴ

スポーツエールカンパニーに認定

株式会社LIXILは、「スポーツエールカンパニー2025」(シルバー認定)に7年連続で認定されました。
LIXILでは、従業員の日常的な健康維持・増進への取り組みとして、LIXIL健康保険組合と共同開催のウォーキングイベント「LIXIL健康ウォーク」や、社内保健師による健康情報発信などを積極的に行っていることなどが評価されています。

※スポーツ庁が従業員の健康増進のためにスポーツの実施に向けた積極的な取り組みを行っている企業を認定する制度

スポーツエールカンパニー2025(シルバー認定)のロゴ

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