LIXILは、世界中の誰もが描く住まいの夢を実現するために、日々の暮らしの課題を解決する先進的なトイレ、お風呂、キッチンなどの水まわり製品と窓、ドア、インテリア、エクステリアなどの建材製品を開発、提供しています。
2024年3月期実績
LIXILは、従業員一人ひとりが心身ともに健康な状態であることが、活気ある職場づくりを実現し、企業価値の向上につながると考え、従業員の健康維持・増進を重要課題の一つに位置付けています。こうした考え方に基づき、CEOによる「健康経営宣言」のもと、健康経営を推進しており、このような取り組みは従業員のウェルビーイングの促進にもつながっています。
健康を能力発揮の源泉とする組織文化を醸成し、従業員が自律的な健康管理によって心身ともに健康でいられる職場環境を整備することで、生産性やモチベーションの向上を図っています。こうした取り組みを通じて、個人が能力を最大限に発揮できる環境を整えることは、価値創造の原動力となります。健康経営の推進により、環境の変化に迅速に対応できるより強い組織を構築し、LIXILのPurpose(存在意義)「世界中の誰もが願う、豊かで快適な住まいの実現」に貢献していきます。
LIXILは、すべての従業員の健康が組織の健康の源泉と捉え、持続的な健康経営を推進することで、世界中の人々の豊かで快適な住まいの実現に貢献することを宣言します。
LIXILは、私たちを取り巻く環境変化に対して迅速に対応できるより強い組織を構築するために、その中核となる従業員がいきいきと個々の能力を最大限に発揮できるような組織文化の醸成に取り組んでいます。環境変化により従業員の働き方が変化しても、より一層健康で活躍できる環境を整えていきます。
従業員の皆さんも世界中の人々の豊かで快適な住まいの実現に向けて、まずはご自身やご家族の健康が最も重要ということを理解し、健康を維持増進するための活動に積極的に参加してください。
株式会社 LIXIL
取締役 代表執行役社長 兼 CEO
瀬戸欣哉
国内では、健康経営責任者であるCEOの指揮のもと、職場・人事部門・産業医・保健師・健康保険組合が連携し、従業員の健康維持・増進体制を構築しています。
健康経営推進責任者である人事担当役員は、取締役会に対して年に1回以上、健康経営の目標に対する進捗や課題、施策などについて報告を行い、取締役から適宜助言を受けています。
経営課題の解決につながる健康課題を特定した上で、それらの課題解決に向けた施策および評価指標を定めた健康経営戦略マップを作成しています。
戦略マップを踏まえた上で、従業員の健康状態や意識・行動変容に関する主な指標において、2025年3月期までの目標値を定めています。また、目標達成に向けて取り組みを強化していくため、データに基づく包括的なリスク分析・評価を実施した結果、次のような課題が特定されました。
これらの課題解決は健康経営推進の土台および既存の取り組みの強化につながると考え、2024年3月期は以下の施策を重点的に展開しました。
①健康経営推進の土台づくり
②積極的な情報開示
③既存施策の実行・強化
※(株)LIXILおよび(株)LIXILと同様の制度を導入している国内子会社の全従業員を対象に厚生労働省が推奨する「職業性ストレス簡易調査票」を用いてストレスチェックを毎年実施。高ストレスが確認された従業員に対しては、産業医との個別面談を推奨しています
指標 | 2025年3月期目標 | 2022年3月期実績 | 2023年3月期実績 | 2024年3月期実績 | |
---|---|---|---|---|---|
アウトプット指標 | 健康診断受診率 | 100.0% | 98.1% | 100.0% | 100.0% |
定期健康診断後の精密検査受診率 | 80.0% | 51.6% | 58.6% | 71.7% (見込み) |
|
ストレスチェック受検率 | 98.0% | 90.4% | 96.4% | 97.3% | |
特定保健指導実施率 | 55.5% | 28.9% | 38.5% | 55.5% (見込み) |
|
重症化防止活動対象者の受診継続率※1 | 100.0% | 88.7% | 86.2% | 90.0% (見込み) |
|
アウトカム指標 | 健診結果有所見者率(血圧・脂質・血糖・肝機能) | 18.0% | 19.4% | 18.9% | 18.7% |
高ストレス者率 | 8.8% | 10.5% | 10.4% | 10.4% | |
休業日数率(傷病手当金受給者より算出)※2 | 0.40% | 0.48% | 0.48% | 0.55% |
2024年5月末現在
対象会社:(株)LIXIL
対象者:正社員(シニア含む)、嘱託、 パート社員(週20時間以上勤務)、出向受入者を含む
※1 重症化防止活動対象者の受診継続率:健康経営戦略マップのパフォーマンス指標「治療継続率」を測る指標の一つ
※2 休業日数率:健康経営戦略マップのアウトカム指標「アブセンティーズム」に関する評価指標。「LIXIL健康保険組合の傷病手当金請求日数÷(在籍者×暦日数) 」の算式により算出。2024年3月期 在籍者数は(株)LIXIL 17,356人
健康経営の現状把握および評価のために毎年アンケート調査を実施しているほか、特定の課題解決に向けた重点施策や、従業員の健康維持の基礎となる取り組みを推進しています。
従業員を対象※1に健康経営に関するアンケート調査を実施しており、2024年3月期の回答率は95%(回答者:20,458人)でした。
また、調査結果を基に、各施策の評価と改善にも取り組んでいます。2023年3月期の調査では健康経営に対する理解が50%を下回ったため、全管理職および従業員を対象とした研修、社内SNSを通じた定期的な健康情報発信といった啓発活動などを行ってきた結果、2024年3月期においては数値が4.9ポイント上昇しました。その他、ヘルスリテラシー※2に関しても数値の向上がみられました。
※1 対象会社:(株)LIXILおよび(株)LIXILと同様の制度を導入している国内子会社
対象者:正社員(シニア含む)、嘱託、 パート社員、出向受入者を含む
※2 ヘルスリテラシー:健康や医療に関する必要な情報を獲得・理解し、効果的に利用して行動する能力のこと
設問 | 結果 | ||
---|---|---|---|
2023年3月期 | 2024年3月期 | ||
プレゼンティーズム※ | 体調(心と体 双方を含みます)が万全のときにあなたが発揮できる仕事の出来を100%とした場合の過去4週間のあなたの出来 | 75.3% | 75.3% |
健康経営に対する理解や評価 | 健康経営を理解しているか | 47.7% | 52.6% |
会社は健康経営に取り組むべきか | 78.1% | 79.1% | |
会社は健康経営に取り組めているか | 40.9% | 43.8% | |
ヘルスリテラシー | 健康改善行動を起こせるか | 50.2% | 52.3% |
女性の健康課題 | 女性特有の症状があるか | 63.0% | 65.4% |
※ プレゼンティーズム:出勤しているにも関わらず、心身の健康上の問題が作用してパフォーマンスが上がらない状態のこと
主に健康経営の方針やメンタルヘルス維持、疾病の予防、生活習慣改善に向けた具体的なアクションを学ぶ総合的なeラーニングプログラムを全従業員向けに実施しています。また、管理職に対しては、部下の健康管理に特化した教育なども行っています。
項目 | 受講率 |
---|---|
健康に関する総合的なeラーニング | 98.2% |
管理職向け研修:部下の健康管理 | 100.0% |
新入社員向け研修:健康の基礎知識・メンタルヘルス※ | 100.0% |
新任管理職向け研修:管理職としての基礎知識・職場のメンタルヘルス※ | 88.9% |
対象範囲:(株)LIXILおよび国内子会社 直接雇用(パート社員を含む)・間接雇用の従業員
※新入社員向け研修および新任管理職向け研修は直接雇用の従業員(パート社員を含む)のみを対象とする
2024年3月期は、従業員のヘルスリテラシーの向上に向けて研修資料をリニューアルしました。受講後のアンケートでは、全従業員および管理職向け研修ともに肯定的な回答が寄せられています。
こうした研修以外にも、保健師から健康管理に関する情報・動画配信を2ヵ月に1回行うなど、従業員一人ひとりが主体的に健康・維持増進に取り組むことができる職場環境づくりに努めています。
従業員に対して直接的なサポートを行える体制を強化するため、2023年3月期より保健師を増員してきました。2024年4月時点で、計19人が工場をはじめとする独立した各拠点に配置され、それぞれのニーズや状況に応じた支援に取り組んでいます。
また、「こころとからだの健康相談窓口」を設置し、社内の保健師が電話やメールで個別相談を受け付け、専門的なサポートを行っています。その他、LIXIL健康保険組合では「こころとからだのサポート窓口」を通じて、健康や医療をはじめ育児・介護などについて社外の医師・保健師などに電話やウェブサイト、面談で相談できる体制を整えています。
さらに、疾病により休業した従業員には「職場復帰プログラム」に基づき、休業中のケアから復帰後のフォローまで、人事・部門所属長・産業医・保健師が連携した支援を提供しています。
健康経営に関するアンケートの中で女性特有の健康課題に関する設問を設けており、2024年3月期の調査では女性特有の症状を自覚している女性従業員の割合は65.4%であることがわかりました。
調査結果に基づく施策として、このテーマに関する専用相談窓口を開設したほか、セルフケア休暇の利用事由に更年期障害のための通院も追加するなど支援体制や制度の拡充を図っています。
また、女性特有の健康課題への知識・理解の促進を図るため、保健師による情報発信を行っています。その他、全従業員および管理職を対象としたヘルスケア研修において同テーマに関する教育を行うほか、社外講師によるオンラインセミナーを実施しており、2024年3月期は管理職や男性従業員を含む100人以上が参加しました。受講後のアンケートでは、肯定的な回答が94%となり、「女性の健康課題について相互理解を深めていく必要性を強く感じた」「更年期障害は治療が必要な病気だと知ることができ、我慢せずに声をあげてよいのだと思えた」などといった声が寄せられています。
従業員向けのHealthcare Letter
日常的な健康づくりの重要性から、LIXIL健康保険組合と共同で積極的に運動を奨励しています。
健康ウォーク2023の応募画面
2020年4月より、国内全事業所および施設の敷地内を終日禁煙としています。また、喫煙者を対象としたアンケートを実施し、禁煙意思がある従業員に支援を提供するなど喫煙率の低下に向けて取り組んでいます。具体的には、ニコチンガムの無償配布や禁煙外来治療費の補助を行うほか、2024年3月期は健康保険組合主催で禁煙セミナーを実施した上で「ノンスモ禁煙サポートプログラム※」を希望者65人に提供しました。
こうした取り組みの結果、株式会社LIXIL全体の喫煙率は2024年3月末時点で20.9%と、この数年間で徐々に減少傾向にあります。
※ノンスモ禁煙サポートプログラム:禁煙補助薬の服用と10日間のサポートメールによる情報提供および6ヵ月間の継続支援サポート
感染症対策として、LIXIL健康保険組合加入者への常備薬の無料配布や「インフルエンザ予防接種」の費用補助を実施しています。また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対応ガイドラインや、COVID-19およびその他の感染症に対する予防対策をまとめたハンドブックをイントラネットに掲載するなど、感染防止対策の徹底と従業員への注意喚起を行っています。
ヨーロッパ地域では、従業員アシスタントプログラム「OPTUM」を導入しています。従業員やその家族の職場や私生活でのチャレンジを支援するとともに、一人ひとりが心身ともに健康でいきいきと働ける職場づくりを推進することを目的としています。また、従業員とその家族を対象に、24時間365日、無料かつ匿名で利用できる社内相談窓口を設置し、専門的なサポートを受けられる体制を構築しています。
その他、ドイツでは従業員同士が自身の健康維持・増進に関する取り組みを発信・共有できる社内コミュニティを立ち上げ、ヘルスリテラシーの向上にも取り組んでいます。同取り組みの一つとして、新たに導入されたヘルスケアアプリでは、従業員が健康維持・増進に向けたアクションを入力するとポイントが貯まり、貯まったポイントに応じてキャッシュバックが行われる仕組みです。こうした活動を通じて、従業員の健康づくりをサポートするとともに、ウェルビーイングの向上にも取り組んでいます。
株式会社LIXILは、「健康経営優良法人2024(ホワイト500)」に認定されました(「健康経営優良法人」としては8年連続の認定)。
戦略マップに基づいた活動を実践していること、その中でも特に次のような取り組みが評価されています。
株式会社LIXILは、6年連続で「スポーツエールカンパニー」に認定されています。従業員の健康維持・増進のため、運動を継続できるような取り組みを行っています。
労働者の健康維持・増進は、一企業の活動にとどまらず働く人たち全員の課題と考え、健康管理のノウハウを共有することにより、社会全体での健康増進活動の有効性・活用性向上を目的とする「Kenko企業会」に参画しています。
2024年3月期は、「女性の健康分科会」に所属し、全6回の分科会に参加しました。同分科会では、女性の健康課題に関する制度や職場環境について情報交換・課題検討などを行っており、当社は生理などを理由としたセルフケア休暇の社内における浸透状況や利用状況などについて調査および対策を検討しました。