LIXILは、世界中の誰もが描く住まいの夢を実現するために、日々の暮らしの課題を解決する先進的なトイレ、お風呂、キッチンなどの水まわり製品と窓、ドア、インテリア、エクステリアなどの建材製品を開発、提供しています。
2025年3月期実績
LIXILは、お客さまや社会からの信頼の源泉は「品質」であるという考えのもと、製品の品質向上と安全性の実現に取り組んでいます。世界各国において常に最高品質のものづくり・サービスを追求するため、ISO9000規格やJIS規格など、国内外の規格への準拠はもちろんのこと、「LIXIL品質方針」を掲げています。
特に、重大な品質課題については、「LIXIL製品安全行動指針」に基づき、法定基準を上回る、より厳格な自社の品質基準に従い、ビジネスパートナーと協働して品質マネジメントを推進しています。
LIXIL品質方針(別画面が開きます) PDF:99KB >
LIXIL製品安全行動指針(別画面が開きます) PDF:50KB >
国内では、CEO直属のChief Environmental Impact Officer(CEIO)が管轄する安全・品質統括部が中心となり、「Japan品質管理委員会」を四半期に1回開催し、マネジメントレビューを行っています。各事業部門が掲げた目標の進捗状況を各々の品質管理責任者がCEIOに報告し、助言や指示・指導を仰ぎながら、品質マネジメントシステムの展開と品質課題の解決に取り組んでいます。CEIOは、取締役会に対して目標に対する進捗、監査結果、その他品質リスクに関する重要な情報について報告を行い、助言や指示・指導を受けています。
また、国内の生産工場および子会社すべてに対して、ISO9000規格に準拠した「LIXIL品質方針」および自社の品質基準に基づく内部監査を毎年実施しており、一部の工場と子会社ではISO9001の外部認証も取得しています。
海外拠点に関しては、製品別のChief Operations Officer(COO)が品質を統括しています。

LIXILでは、お客さまの安全を確保するため、すべての製品において、設計・開発段階から、調達、製造、流通、販売後のサポートまでライフサイクル全体で品質向上に取り組んでいます。

1)設計・開発
LIXILでは国内外の法規制を正しく認識し、遵守する仕組みを展開しています。リスクアセスメントの手法として国内外で広く採用されているFTA(Fault Tree Analysis)やFMEA(Failure Mode and Effects Analysis)、DRBFM(Design Review Based on Failure Mode)を、設計・開発のプロセスに取り入れています。
2)材料・部品の調達
サプライヤー(部品供給元)に対して品質に関する基準を設定し、定期的な品質監査により基準が遵守されていることを確認しています。また、製造プロセスの4M※変更時や品質に関する問題が発生した場合は、臨時の監査を実施しています。さらに、調達方針や改善事例などを共有することで、サプライヤーと協働して一層の改善活動を行い、連携して品質課題の解決にあたっています。
※Man(人)、Machine(機械)、Material(材料)、Method(方法)の4つの要素で分析し、課題の発見および解決を図る手法
3)製品化・製造・販売
耐久性、耐候性など、過酷な条件でのテストを重ね、品質基準を満たしたものだけを製品化しています。流通に際しては、全社共通の品質マネジメントシステムを適用しています。品質基準を示した「施工説明書」をすべての流通店と常に共有しているほか、LIXILに属する流通店および社外の施工認定店に対しては、品質管理意識の啓発に関するワークショップを定期的に開催しています。特にLIXILに属する流通店においては、該当する全従業員が品質管理研修プログラムを受講しています。
また、お客さまに適切な製品を選択いただけるよう、安全や品質に関する基準への適合表示が必要な製品については、カタログや販売ツールに該当するマークを表示しています。さらに、体験型のショールーム展示やウェブサイトでの動画公開などを通じて、製品説明のわかりやすさ向上に努めています。
4)故障・不具合への備え
安全に製品を利用いただくため、すべての主要製品の取扱説明書、お手入れやお掃除方法を説明する動画をウェブサイトで公開しているほか、製品を長く安全に使用いただけるよう、最長10年の「LIXIL長期保証サービス」を提供しています。
また、万一、事故や不具合が発生した際には、迅速かつ適切な対応ができるよう、発生時の連絡体制の整備から原因究明のプロセス構築、再発防止策の策定および確実な実行に向けた仕組みまで、万全の体制を整えています。発生した不具合に対しては、原因を徹底的に検証し、製品設計だけではなく、製造や流通に至る全プロセスの改善につなげています。また、改善策を定着させるための組織マネジメントや、品質マネジメントシステムの実効性を高めるガバナンス体制についても継続的な改善を行っており、故障・不具合の発生予防に向けた体制を強化しています。さらに、お客さま相談センターなどの窓口に寄せられたご意見や困りごとといった顧客の声を定期的に分析し、その結果を設計・開発部門に共有することで改善につなげる仕組みを運用しています。
取扱説明書閲覧(別画面が開きます)>
お手入れ・お掃除の動画一覧(別画面が開きます)>
ライフサイクル全体での品質向上を目指す取り組みの中でも、特に製品開発に際しては、研究開発から事業化・製品化に至るプロセスを「ステージ」に区分する「ステージゲート法」を導入し、顧客目線での品質を最優先する風土の醸成に努めています。
各ステージでの開発は、設計・品質・生産の完成度を高めるため、開発・生産・営業が部門を横断して協働で行っています。次のステージに移行する前に「ゲート」を設け、評価審議を経た上で、各事業部門の品質責任者の判断を仰ぐ仕組みを敷いています。また、ゲートの評価基準は継続的に見直し、より品質の高い製品の開発につなげています。

LIXILは、不具合や事故の原因となるリスクを洗い出し、従業員の意識強化や横断的な改善活動につなげることで、品質不具合や事故の未然防止および再発防止に努めています。その一環として、国内では、従業員※を対象に品質強化や製品安全に関する定期的な教育を実施しています。
また、こうした教育の一環として、過去の品質不具合や製品事故の事例を実物や背景要因とともに展示し、根本原因に対する理解を促進する活動を行っています。
※対象:直接雇用の従業員(契約社員、嘱託社員を含む)

過去の品質不具合や製品事故事例を展示した資料館
2025年3月期実績
啓発活動の一環として、社内SNSを利用し、品質方針やCEOメッセージ、活動事例などを広く周知しています。また、従業員の品質意識を継続的に高めることを目的に、情報メディア「LIXIL Quality Journal」を年に4回発行し、工場各部署の取り組みや、失敗を改善につなげた事例などを掲載しています。そのほかにも、製造部門でのベストプラクティスを記事や動画で紹介し、品質活動の普及と文化の醸成を推進しています。また、LIXILでは毎年11月に品質フォーラムを開催し、国内外から選ばれた優秀な改善活動を表彰しています。こうした啓発活動を継続的に行ってきた結果、近年では、お客さまのニーズをより重視した顧客志向の改善活動が増えてきました。

品質意識の向上と改善活動の推進を目指して、国内の全従業員※を対象に品質意識調査を毎年行っています。調査結果を踏まえ、部署ごとに品質向上に向けた設備投資を含むアクションプランを策定し、対策が進んだ結果、品質の重要性に対する従業員の認識の度合いを測るスコアは安定しています。
さらに、部門別のスコア分析で低い傾向にあった製造部門において、工場間でベストプラクティスを学び合う横展開活動を実施しました。その結果、多くの工場でスコアの向上が見られるなど着実な成果が表れています。優れた活動事例は「LIXIL Quality Journal」に掲載するほか、工場長や各部署責任者などのインタビュー動画を制作し、国内はもとより海外拠点にまで共有を図ることで、組織全体における品質意識のさらなる強化に取り組んでいます。

国内においては、製品事故が発生した際、情報入手から24時間以内に品質部門に情報を集約し、関連部門に緊急連絡を行う体制を整備しています。リスクの影響度が甚大な場合は特に迅速に対応できるよう、窓口部門からCEOおよび管掌役員に直接報告を行います。さらに、担当窓口が関連部門と連携して現場対応を行い、事故調査などを実施します。行政機関に対しては、10日以内に「消費生活用製品安全法に基づく製品事故情報報告·公表制度」に従い報告を行っています。緊急対応後は、事故原因の設計への反映や、未然防止に向けた安全技術の開発により、再発防止に取り組んでいます。
法規制違反が疑われる事象に対しては、技術などの専門部門が抵触の有無の確認と所轄官庁への届け出を行います。製品事故と同様、原因の究明と対策の実施により、再発防止に取り組んでいます。
| 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | |
|---|---|---|---|
| 重大製品事故発生件数 | 6 | 7 | 11 |
| 法規則違反件数 | 1※ | 0 | 0 |
※LIXILの三面鏡とともに納材したLED照明(他社製品)に、電気用品安全法で定められているPSEマークが非表示であったことについて:当該製品を営業担当者が独自に手配したことによるものであったため、対策として事業部門が関与しない状態での仕入れの禁止を再周知するとともに、営業部門を対象に電気安全法に関する教育を実施しています。また、同部門による仕入れプロセスの見直しを行い、類似事象の発生防止に努めています。

日本国内では、交通事故による死亡者数の約4〜5倍に相当する年間約16,000人が家の中の事故で亡くなっています。こうした状況を踏まえ、LIXILでは、消費者の製品安全に関する意識を高め家庭内の事故防止につなげるため、様々な啓発活動を行っています。
2013年より高齢者や教員など対象者別の製品安全セミナーを実施しているほか、2014年には学校授業用教材DVDセットの無償配布と従業員による出前授業を開始しました。さらに、2022年からは過疎地小学校に対してリモート授業を展開し、家庭内だけではなく学校の事故防止をテーマとするなど、啓発活動を提供する対象者や地域を順次拡大しています。
小学生を対象とした安全教育教材をNPO法人「企業教育研究会」と共同で開発し、教育関係者に無償提供しています。同教材は、「家の中に潜むキケン」について学び、自ら考えて行動することで、事故防止を促すものです。
従業員による出前授業は、これまでに474回実施し、16,683人の児童が参加しています。上記教材に加え、小学校低学年向けの出前授業では、自社開発したアニメーション動画教材を使用しています。こうした安全教育教材やアニメーション教材は公益財団法人消費者教育支援センター主催の「消費者教育教材資料表彰」において、2014年と2022年にそれぞれ優秀賞を受賞しています。
過疎地域の子どもたちにも平等な機会を提供するため、新たにオンライン授業の教材を一般社団法人「プロフェッショナルをすべての学校に」と共同開発し、小学生504人を対象に全26回の授業を実施しました。本教材は「消費者教育教材資料表彰2023」の優秀賞を受賞しています。
学校の安全を保つための教育プログラム(別画面が開きます) >
出前授業の様子
オンライン授業の様子
全国女性団体連絡協議会や全国の消費者関連機関が開催する製品安全セミナーなどにおいて「家の中の安全」をテーマに講演を行い、トイレや浴室での事故、段差でのつまずき、落下事故といった家の中の事故防止策について考えるきっかけを提供しています。
2025年3月期は、計19回実施し、約860人が受講しました。これまでの実施回数は111回、参加人数は9,871人です。
製品安全セミナーの様子
LIXILは、経済産業省の主催に よる令和6年度「製品安全対策優良企業表彰(PSアワード2024)」において、「大企業 製造事業者・輸入事業者部門」の「経済産業大臣賞」を受賞しました。この受賞は、「DX推進による施工の適正化と事故防止の取り組み」や「CAE解析を活用したより安全な製品の設計開発」「製品安全基準の構築や出前授業など製品安全の向上に精力的に取り組んでいること」について評価されたことによるものです。