品質と製品安全

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考え方

LIXILは、お客さまや社会からの信頼の源泉は「品質」であるという考えのもと、製品の品質向上と安全性の実現を重要課題の一つに位置付けています。世界各国において常に最高品質のものづくり・サービスを追求するため、ISO9000規格やJIS規格など、国内外の規格への準拠はもちろんのこと、「LIXIL品質方針」を掲げ、14言語で展開しています。
特に、重大な品質課題については、「LIXIL製品安全行動指針」に基づき、法定基準を上回る、より厳格な自社の品質基準に従い、ビジネスパートナーの皆さんとともに品質マネジメントを推進しています。

LIXIL品質方針(別画面が開きます) PDF:99KB >
LIXIL製品安全行動指針(別画面が開きます) PDF:50KB >

ガバナンス

国内では、CEO直属のChief Environmental Impact Officer(CEIO)が管轄する安全・品質統括部が中心となり、「Japan品質管理委員会」を四半期に1回開催し、マネジメントレビューを行っています。テクノロジー事業の各部門が掲げた目標の進捗状況を各々の品質管理責任者がCEIOに報告し、助言や指示・指導を仰ぎながら、品質マネジメントシステムの展開と品質課題の解決に取り組んでいます。CEIOは、少なくとも年2回以上、取締役会に対して目標に対する進捗、監査結果、その他品質リスクに関する重要な情報について報告を行い、助言や指示・指導を受けています。

また、国内の生産工場および子会社すべてに対して、ISO9000規格に準拠した「LIXIL品質方針」および自社の品質基準に基づく内部監査を毎年実施しており、一部の工場と子会社ではISO9001の外部認証も取得しています。

海外拠点に関しては、製品別のChief Operations Officer(COO)が品質を統括しています。

品質管理体制

品質管理体制

ライフサイクル全体での品質管理

LIXILでは、お客さまの安全を確保するため、すべての製品において、設計・開発段階から、調達、製造、流通、販売後のサポートまでライフサイクル全体で品質向上に取り組んでいます。

1)設計・開発

グローバルで協働開発を進める中、LIXILでは国内外の法規制を正しく認識し、遵守する仕組みを展開しています。設計・開発段階から製品の使用場面を想定し、グローバルでも用いられているリスクアセスメント手法であるFTA(Fault Tree Analysis)やFMEA(Failure Mode and Effect Analysis)、DRBFM(Design Review Based on Failure Mode)を取り入れています。

2)材料・部品の調達

サプライヤー(部品供給元)に対して品質に関する基準を設定し、定期的な品質監査により基準が遵守されていることを確認しています。製造プロセスの4M※変更時や品質に関する問題が発生した場合は、臨時の監査を実施し、迅速に対応しています。さらに、調達方針や改善事例などを共有することで、サプライヤーと協働して一層の改善活動を行い、連携して品質課題の解決にあたっています。

※Man(人)、Machine(機械)、Material(材料)、Method(方法)の4つの要素で分析し、課題の発見および解決を図る手法

3)製品化・製造・販売

耐久性、耐候性など、過酷な条件でのテストを重ね、品質基準をクリアしたものだけを製品化しています。流通に際しては、全社共通の品質マネジメントシステムを適用しています。品質基準を示した「施工説明書」をすべての流通店と常に共有しているほか、LIXILに属する流通店および社外の施工認定店に対しては、品質管理意識の啓発に関するワークショップを定期的に開催しています。特にLIXILに属する流通店においては、該当する全従業員が品質管理研修プログラムを受講しています。

また、お客さまに適切な製品を選択いただけるよう、安全や品質に関する基準への適合表示が必要な製品については、カタログや販売ツールに該当するマークを表示しています。さらに、体験型のショールーム展示やウェブサイトでの動画公開などを通じて、製品説明のわかりやすさ向上に努めています。

4)故障・不具合への備え

安全に製品を利用いただくため、すべての主要製品の取扱説明書、お手入れやお掃除方法を説明する動画をウェブサイトで公開しているほか、製品を長く安全に使用いただけるよう、最長10年の「LIXIL長期保証サービス」を提供しています。

また、万一の事故や不具合などがあった場合に備え、お客さまの声を反映する万全の体制を整えています。原因は徹底的に検証し、製品設計だけではなく、製造や流通に至る全プロセスの改善につなげています。改善策を定着させるための組織マネジメントや、マネジメントの推進を確実にするガバナンスの仕組みにおいても継続的な改善を行っており、故障・不具合の発生予防に取り組んでいます。

取扱説明書閲覧(別画面が開きます)>
お手入れ・お掃除の動画一覧(別画面が開きます)>

設計・開発~販売後のサポートにおける品質管理の流れ

「ステージゲート法」導入による品質向上

ライフサイクル全体での品質向上を目指す取り組みの中でも、特に製品開発に際しては、研究開発から事業化・製品化に至るプロセスを「ステージ」に区分する「ステージゲート法」を導入し、顧客目線での品質を最優先する風土の醸成に努めています。

各ステージでの開発は、設計・品質・生産の完成度を高めるため、開発・生産・営業が部門を横断して協働で行っています。次のステージに移行する前に「ゲート」を設け、評価審議を経た上で、各事業部門の品質責任者の判断を仰ぐ仕組みを敷いています。また、ゲートの評価基準は継続的に見直し、より品質の高い製品の開発につなげています。

ステージゲート法の概念

ステージゲート法の概念

最高品質のものづくりとサービスの追求

品質管理・製品安全に関する教育

LIXILは、不具合や事故の原因となるリスクを洗い出し、従業員の意識強化や横断的な改善活動につなげることで、品質不具合や事故の未然防止および再発防止に努めています。その一環として、国内では、従業員※を対象に品質強化や製品安全に関する定期的な教育を実施しています。

2024年3月期実績

  • 管理職の品質意識のさらなる向上を目指し、グループリーダーやチームリーダーなど新任管理職48人を対象に、品質マネジメントや製品事故防止に関する研修を計8回実施。
  • 製品安全教育に関しては、対象となる新入社員42人に対して計5回実施。
  • 品質規定、品質マネジメントシステム、品質関連法制、問題解決手法などに関しては、管理職以外にも対象を広げ、対面およびeラーニングによる研修を実施し、のべ2,585人が受講。
  • 遵法意識の強化に向けて、営業部の全従業員を対象に電気安全法などに関わる教育を実施し、約1,000人が受講。

また、こうした教育の一環として、過去の品質不具合や製品事故の事例を実物や背景要因とともに展示し、根本原因に対する理解を促進する活動を行っています。

※対象:直接雇用の従業員

過去の品質不具合や製品事故事例を展示した資料館

過去の品質不具合や製品事故事例を展示した資料館

情報発信やフォーラムを通じた社内啓発

啓発活動の一環として、社内SNSを利用し、品質方針やCEOメッセージ、活動事例などを掲載しています。従業員の品質意識を継続的に高めることを目的に、情報メディア「LIXIL Quality Journal」を年に4回発行し、工場各部署の取り組みや、失敗を改善につなげた事例などを掲載しています。

また、毎年11月開催の品質フォーラムでは、LIXIL全社から選ばれた優秀な改善活動を表彰しています。こうした啓発活動を継続的に行ってきた結果、近年では、お客さまのニーズをより重視した顧客志向の改善活動が増えてきました。

啓発ポスター(左)と「LIXIL Quality Journal」(右)

全従業員対象の意識調査とアクションプラン

品質意識の向上と改善活動の推進を目指して、国内の全従業員※を対象に品質意識調査を毎年行っています。調査結果を踏まえ、部署ごとに品質向上に向けた設備投資を含むアクションプランを策定しています。各部署での対策が進んだ結果、品質の重要性に対する従業員の認識の度合いを測るスコアは4年連続で向上しました。

さらに、部門別のスコア分析で低い傾向にあった製造部門において、工場間でベストプラクティスを学び合う横展開活動を実施しました。その結果、前年比でスコアが22ポイント上昇する工場が出てくるなど、着実な成果が表れています。そうした好事例は「LIXIL Quality Journal」に掲載するほか、工場長や各部署責任者などのインタビュー動画を制作し、国内はもとより海外拠点にまで共有を図ることで、全社において品質意識のさらなる強化に取り組んでいます。

品質意識調査 好意的回答 総スコア

品質意識調査 好意的回答 総スコア

※対象:(株)LIXILおよび国内子会社 直接雇用の従業員

重大製品事故発生時の対応

国内においては、製品事故が発生した際、情報入手から24時間以内に品質部門に情報を集約し、関連部門に緊急連絡を行う体制を整備しています。リスクの影響度が甚大な場合は特に迅速に対応できるよう、窓口部門からCEOおよび管掌役員に直接報告を行います。さらに、担当窓口が関連部門と連携して現場対応を行い、事故調査などを実施します。行政機関に対しては、10日以内に「消費生活用製品安全法に基づく製品事故情報報告·公表制度」に従い報告を行っています。緊急対応後は、事故原因の設計への反映や、未然防止に向けた安全技術の開発により、再発防止に取り組んでいます。

法規制違反が疑われる事象に対しては、技術などの専門部門が抵触の有無の確認と所轄官庁への届け出を行います。製品事故と同様、原因の究明と対策の実施により、再発防止に取り組んでいます。

重大製品事故発生件数・法規制違反数

2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期
重大製品事故発生件数 6 6 7
法規則違反件数 0 1 0

※LIXILの三面鏡とともに納材したLED照明(他社製品)に、電気用品安全法で定められているPSEマークが非表示であったことについて:当該製品を営業担当者が独自に手配したことによるものであったため、対策として事業部門が関与しない状態での仕入れの禁止を再周知するとともに、営業部門を対象に電気安全法に関する教育を実施しています。また、同部門による仕入れプロセスの見直しを行い、類似事象の発生防止に努めています

事故発生時における対応の流れ

事故発生時における対応の流れ

社外での啓発活動

国内では、消費者の製品安全に対する意識を高め、家庭内の事故防止につなげるため、社外においても様々な啓発活動を行っています。

子ども向けの教材開発および出前授業

安全教育授業プログラム~家の中の安全を考えよう~

小学生を対象とした安全教育教材をNPO法人「企業教育研究会」と共同で開発し、教育関係者に無償提供しています。同教材は、「家の中に潜むキケン」について学び、自ら考えて行動することで、事故防止を促すものです。
また、従業員による出前授業も行っており、これまでに327回実施し、10,042人の児童が参加しています。上記教材に加え、小学校低学年向けの出前授業では、自社開発したアニメーション動画教材を使用しています。こうした安全教育教材やアニメーション教材は公益財団法人消費者教育支援センター主催の「消費者教育教材資料表彰2014・2022」において、それぞれ優秀賞を受賞しています。

出前授業回数・参加人数
累計341回・ 10,289

学校の安全を保つための製品企画を考えよう~遠隔安全教育プログラム~

過疎地域の子どもたちにも平等な機会を提供するため、新たにオンライン授業の教材を一般社団法人「プロフェッショナルをすべての学校に」と共同開発し、小学生247人を対象に全14回の授業を実施しました。本教材は「消費者教育教材資料表彰2023」(同上)の優秀賞を受賞しています。

安全教育授業プログラム(別画面が開きます) >
遠隔安全教育プログラム(別画面が開きます) >
出前授業の様子

出前授業の様子

オンライン授業の様子

オンライン授業の様子

消費者向けのセミナー

全国女性団体連絡協議会や消費者関連機関が開催する製品安全セミナーなどにおいて「家の中の安全」をテーマに講演を行い、トイレや浴室での事故、段差でのつまずき、落下事故といった家の中の事故防止策について考えるきっかけを提供しています。

2024年3月期は、計12回実施し、約500人が受講しました。これまでの実施回数は92回、参加人数は9,012人です。

セミナー実施回数・参加人数
累計92回・ 9,012
製品安全セミナーの様子

製品安全セミナーの様子

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