LIXILは、世界中の誰もが描く住まいの夢を実現するために、日々の暮らしの課題を解決する先進的なトイレ、お風呂、キッチンなどの水まわり製品と窓、ドア、インテリア、エクステリアなどの建材製品を開発、提供しています。
2024年3月期実績
LIXILは、「世界中の誰もが願う、豊かで快適な住まいの実現」というPurpose(存在意義)の実現に向けて、多様なニーズに合った革新的な製品やサービスの提供に取り組む上で、多様性こそが競争力や独自性を高め、イノベーションや持続可能な成長の原動力になると考えています。また、すべての従業員が働きやすい職場環境や風土を整えることで、誰もが起業家精神を持って高いハードルに挑戦し、その成果が正当に評価される組織を目指しています。
その実現に向けて、全社で2030年3月期までにインクルージョンの文化を定着させ、ジェンダー不均衡を是正することを目標に掲げ、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)戦略に沿った施策を展開しています。
目標として掲げるインクルージョンの文化の定着に向けて、LIXILでは従業員意識調査「LIXIL Voice」の結果指標の一つに同項目を設定し、進捗を可視化、調査結果に基づき施策を展開しています。
これまで全従業員を対象に「アンコンシャス・バイアス」や「心理的安全性」などD&Iの理解促進に向けたワークショップやeラーニングをグローバル規模で実施してきたほか、以下のような取り組みに注力しています。
各部門がD&I推進の効果を自ら把握しアクションを起こす仕組みづくりに向けて、部長クラスの管理職向けにLIXIL Voiceのインクルージョンスコアや社内で定めた女性管理職比率などの結果指標を可視化したダッシュボードを導入したほか、「リーダー向けD&I推進ガイドブック」を発行し、より実践的な事例を共有しています。効果的なD&I推進を目的とする同ガイドブックは、外部の先行モデルおよびリサーチを基に、社内の事例や意見を取り入れながら制作されました。
2024年3月期は、ガイドブックの活用に向けたワークショップをグローバル全体で125回開催し、全体の86%にあたる約6,000人の管理職が参加しました。ワークショップでは、部長クラスの管理職がファシリテーターを務め、自身の経験や考えを交えてガイドブックの活用方法を伝えました。参加者はワークショップを通じて、D&Iの重要性とその実践法について学び、日々の行動につなげています。具体的には、ケーススタディのテーマとして「心理的安全性の確保」を取り上げ、チームディスカッションを実施しました。こうした取り組みの結果、2024年3月期に実施したLIXIL Voiceでは「心理的安全性」を問う設問のスコアが前年比で1ポイント上昇しました。
リーダー向けD&I推進ガイドブック
2023年10月のグローバルダイバーシティ推進月間では、LIXILのD&I推進に向けた取り組みをわかりやすく可視化したインフォグラフィックを制作し、社内で共有しました。従業員の多様性を尊重し、誰もが能力を最大限に発揮できる職場環境と公平な機会を提供するため、LIXILがD&I推進の明確な目標や指標を設定していること、人事制度の改革や教育プログラムの提供に取り組んでいること、インクルーシブな企業文化が新たなイノベーションをいかに促進するかということ、そして社外からの評価についてこのツールを通じて伝えています。
LIXILにおけるD&Iの取り組みを可視化したインフォグラフィック
LIXILでは、インクルーシブな職場環境の構築につなげるため、従業員主体の活動を活性化させる仕組みを整えています。2022年3月期には、それまで各地域で進めていた活動を組織の変革につなげていくため、ジェンダー平等、多文化、障がい、働く親や介護者、LGBTQ+のテーマにフォーカスした5つのERGsをグローバル規模で立ち上げました。各グループには執行役がエグゼクティブ・スポンサーとして就任しており、ERGsの活動と会社の方向性を一致させるとともに、同活動を通じて寄せられた声を当社の制度や製品・サービスに反映させるなどして、インクルーシブな職場環境および社会の実現に向けた取り組みを加速させています。
5つのERGs
ERGsは、地域・テーマごとに運営メンバーが主体となって活動しています。社内SNSを利用し、テーマにまつわる情報の発信やイベントの開催告知を行っており、従業員は全地域・全グループへの参加が可能です。
グローバルダイバーシティ推進月間である10月には、各グループが従業員参加型のイベントを開催しています。2024年3月期は、「LGBTQ+ ERG」によるAllyship(アライシップ)の醸成についてのセッション、「Multi-cultural ERG」主催の異文化間のコミュニケーションに関するディスカッションなど、12のイベントを実施しました。また、全地域の運営メンバーのメッセージをリレー形式でつないだ動画を作成するなど、ERGsの活動の促進を一丸となって進めました。
国内では、ERGsの活動の一環として、話している人の言葉をリアルタイムで字幕にするシステムを使った実証実験を行いました。このシステムを利用することで、聴覚障がいのあるメンバーは朝礼や面談の内容をタイムラグなく理解することができるほか、外国人従業員の日本語理解の一助にもなっています。
また、ERGsの活動を通じて寄せられた声は、製品やサービスの開発にもつながっています。LIXILオンラインショールームでは、AI音声認識による文字起こしアプリを活用した字幕サービスを開始するなど、耳が不自由な方にも安心して利用いただけるサービスを展開しています。
聴覚障がいのある従業員も働きやすい職場へ 実証実験に参画(別画面が開きます) >
オンラインショールーム 字幕サービス(別画面が開きます) >
LIXILでは、2021年よりグローバル規模で国際女性デーイベントを開催しています。2024年は国際女性デーのテーマ「#InspireInclusion(行動で示すインクルージョン)」に合わせ、公平な職場環境の構築においてインクルージョンの推進に向けた行動が必要不可欠であり、そうした環境は従業員がその力を発揮し顧客志向なイノベーションを起こす上で重要であることを示しました。3月8日の国際女性デー当日には、社外スピーカーを招いた講演を行ったほか、各地域ではジェンダー平等をテーマとして活動する「Better Together ERG」が従業員参加型のイベントを実施しました。社内SNSでは、関連する写真や行動宣言が共有され、D&I推進を日々の行動で示すことの重要性を認識する機会となりました。
LIXILでは、ジェンダー不均衡の是正に向けて全社で2030年までに達成すべき目標を掲げるとともに、各事業部門・部署の女性管理職比率および職務レベルなどの女性比率の目標と施策を設定し、取り組みを進めています。
また、主要ポジションの後継者育成計画の作成に向けたPeople & Organizational Development(POD:人材組織レビュー)プロセスにD&Iの観点を組み込み、全社で有望な女性人材の発掘に取り組んでいます。2024年3月のレビューでは、後継者候補として選抜された従業員に占める女性の割合は30.5%となりました。
PODのフォローアップ施策の一つとして、特定された女性人材を対象にリーダーシップ向上を目指す「女性アウトリーチプログラム」を実施しています。このプログラムは、有望な女性従業員が経営陣との対面セッションを通じて自らのキャリア観を共有することで、経営陣の女性人材に対する理解を深め、組織づくりに寄与することを目的としています。対象者には、ネットワーキング、能力向上、キャリア開発の機会を提供するなど、女性人材の昇進・育成を推進しています。2024年3月期は、国内において54人の女性従業員が同プログラムに参加し、今後グローバル展開を予定しています。
「女性アウトリーチプログラム」参加者の様子
さらに、国内では女性活躍推進法に基づき「一般事業主行動計画」を策定し採用施策や職場環境の整備を進めるほか、男女の均等な機会および待遇の確保に向けた人事制度改革に取り組んでいます。
一般事業主行動計画(別画面が開きます)PDF:253KB >
厚生労働省:女性の活躍推進企業データベース(別画面が開きます) >
人事制度改革の詳細はこちら >
採用については、新卒採用を男女同率とすることを目標に掲げており、その施策として女子学生を対象とした社外イベントへの登壇、社内での女性技術者の働き方・キャリアを知る1dayイベントの実施、採用広報活動の強化、ダイレクトスカウトを活用した女性人材への積極的アプローチなどを実施しています。
また、従業員の成長を促す施策として展開している選抜型の次世代人材育成プログラム「NEXT」においても、有望な女性従業員の育成に取り組んでいます。
こうした取り組みの結果、株式会社LIXILおよび国内子会社では女性従業員のインクルージョンスコアが上昇しています。
LIXILでは、研究開発や生産、営業事務、企画管理などの幅広い職場で、一人ひとりの特性にマッチした業務を提供することで、障がいのある従業員がやりがいを持って活躍できる環境を整備しています。2024年6月1日時点での株式会社LIXILの国内の障がい者雇用数は335人※、障がい者雇用率は2.59%となっています。
2024年7月で10周年を迎える障がい者就労センター「LIXIL NIJI」では、様々な障がいのある従業員の就労上の支援、業務適性評価、職務能力開発を行うとともに、障がい者と健常者がともに働ける環境や条件を探るための様々な試みを実施しています。バリアフリーを基本とするほか、視覚に障がいのある従業員向けに文字を大きくするソフトの導入や、車椅子用に高さが調整できる机の設置など、働きやすい環境を整備しています。
また、国内の各拠点においても取り組みを強化しています。例えば、聴覚障がいのある従業員への配慮として、研修に手話通訳を導入する、動画に字幕を入れるなどの試みを行っています。一人ひとりの特性を踏まえた業務上の工夫や配慮、職場環境の改善を行い、不安を感じやすい人には、業務を見える化しコミュニケーションをとる仕組みにする、他人の気配が気になる人には自席の前を空席にしフリースペースで業務を行うようにするなどの工夫も実施しています。
これらの取り組みを他社や行政機関と共有することで、LIXILは障がいのある方が活躍できる社会づくりに貢献することを目指しています。
※LIXIL ESGデータブックに掲載されている障がい者雇用者数は、「厚生労働省 障害者雇用率制度」の算出方法に基づいたカウント方法のため数値が異なります。
LIXILでは、LGBTQ+の従業員が働きやすい職場づくりを進めています。
国内では、慶弔休暇・慶弔金の制度において同性パートナーを配偶者とみなすほか、健康診断における配慮や希望する性の制服着用など就労環境の整備を行っています。
また、社内での理解・支援を広めるための活動として、性の多様性に関するオンライン講義などを開催し、受講を推奨しています。さらに、勉強会やワークショップなどを通じてLGBTQ+の理解者・支援者であるAlly(アライ)を募り、賛同した従業員にはアライであることを示すバッジやシールを配布しています。
従業員が働く場所や時間を柔軟に選択できる、また自律的なキャリアを形成できる多様な働き方の推進に向けて、制度や職場環境の整備を進めています。効率的に高いアウトプットを出す働き方を重視しており、こうした制度や職場環境の整備によって長時間労働の削減や、仕事と生活の健康的なバランスによる生産性の向上にも取り組んでいます。
制度・施策 | 対象者 | 内容 |
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テレワーク制度※1 | 正社員、嘱託社員、パート社員 | 労働生産性の向上、ワークライフバランスの向上、自然災害や感染症発生時などの非常時の業務遂行などを目的に、自主的に勤務場所を決められる制度(在宅勤務を含む通勤可能圏内)。 |
フレックスタイム制度 | 本社・本部管理部門、営業部門、工場間接部門の正社員 | フレキシブルタイム(5:00~22:00)の間で、業務の繁閑に即し、自主的・主体的に始業・終業時刻を決められる制度。 ※コアタイムなし |
タッチダウンオフィス | 正社員、嘱託社員、パート社員 | 外出先や出張時に、移動によるロスタイムを減らし、業務効率を高めることを目的に一時的に外部共有オフィスサービスを利用できる施策。 |
副業制度 | 正社員、フルタイム勤務の契約社員(休職者、休業者、時短勤務者は除く)※2 | 働き方・雇用の柔軟化および自律的なキャリア意識醸成支援を目的に以下2種類の制度を運用。
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※1(株)LIXILでは、2022年3月期に出社を要する日数に応じて「通勤型」「在宅型」を明確に定め、諸手当を整備。「通勤型」は、概ね週4日以上出社する者とし、通勤手当を支給。「在宅型」は、概ね週3日以下出社する者とし、在宅勤務補助手当を支給
※2 嘱託社員やパート社員を含む
従業員が多様なライフステージの中で高いパフォーマンスを発揮し続けられるよう、仕事と育児・介護・治療などとの両立を支援する制度の拡充や風土づくりに取り組んでいます。
株式会社LIXILでは、2025年までに男性従業員の育児休業取得率100%※を目指しており、様々な施策を展開しています。毎月19日を育休理解促進日として情報発信を行い男性育休に対する認識や理解の促進に努めているほか、2024年3月期は相談窓口の設置や対象従業員への働きかけなど積極的な促進活動を実施しました。
※直接雇用の従業員のみを対象。(株)LIXIL独自の育児目的休暇である「ぱぱの子育て休暇(配偶者出産・育児休暇)」を含む
制度 | 対象 | 取得可能期間・日数 | 内容 | |
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育児関連制度 | 育児休業 | 正社員・嘱託社員・パート社員 | 子が3歳になるまで (無給) |
日本国内の法定休業期間(子が1歳、一定の場合は2歳に達するまで)。 法定要件を上回る(株)LIXIL独自の取り組みとして以下を制度として導入。 1. 取得可能な期間を子が3歳になるまで延長 2. 2回まで分割取得が可能 3. 勤続年数1年未満の従業員も取得可能 |
時短勤務制度 | 子が小学校6年生満了を迎えるまで (無給) |
以下の労働時間短縮が可能。
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始業・終業時間の繰り上げ・繰り下げ | 妊娠中および子が小学校6年生満了前まで | 妊娠・育児を理由として、始業・終業時刻を30分または1時間繰上げ・繰下げすることが可能。 | ||
看護休暇 | 年間10日 (有給) |
小学校就学前の子を養育する従業員は、負傷や疾病にかかった子の看護、予防接種や健康診断などの理由により取得可能。 | ||
ぱぱの子育て休暇(配偶者出産・育児休暇) | 10日 (有給) |
子が1歳になるまで取得可能。 | ||
育児サービス・経費補助 | 制度により異なる | ― |
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介護関連制度 | 介護休業 | 正社員・嘱託社員・パート社員 | 通算で2年間 (無給) |
日本国内の法定休業期間(93日)。 法定要件を上回る(株)LIXIL独自の取り組みとして以下を制度として導入。
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介護休暇 | 年間10日 (有給) |
要介護状態にある家族の介護のために取得可能。 | ||
時短勤務制度 | 開始日から3年に達するまで (無給) |
1日最大2時間の労働時間短縮が可能。 | ||
始業・終業時間の繰り上げ・繰り下げ | 1ヵ月以上、3年以内(取得開始日より連続する3年の範囲で最大3年間) | 要介護状態にある家族を介護する理由として、始業・終業時刻を30分または1時間繰り上げ・繰り下げすることが可能。 | ||
休暇休業制度 | 年次有給休暇 | 年間最大20日 (有給) |
勤続年数と前年度の出勤率に応じて付与され、「1日」・「半日」・「時間単位」で取得可能。 | |
ゆとり休暇 | 5日以内 (有給) |
当年の有休付与日数が10日以上の従業員を対象に、心身ともにリフレッシュすることや、自己研磨・家族との時間確保を目的に、連続5日以内の年次有給休暇取得を促進。 | ||
メモリアル休暇 | 2日以内 (有給) |
当年の有休付与日数が10日以上の従業員を対象に、自身や家族の特別な日、大切な日をより有意義に過ごすことを目的に連続2日以内の年次有給休暇取得を促進。 | ||
セルフケア休暇 | 年間12日以内 (有給) |
生理時や妊娠中の体調不良時、不妊治療や更年期症状・更年期障害改善のための通院時、会社が実施する健康診断(人間ドックを含む)結果において再検査が必要と判断され通院する場合に取得可。 | ||
不妊治療による休職制度 | 正社員 | 最長1年6ヵ月 (無給) |
多様な人生選択を支援していくためにワークライフバランスの担保、D&Iの実現を目的として導入。勤続年数に応じて、取得可能な休職期間は異なる。 | |
その他 | キャリアリターン制度 | 正社員 | ― | 65歳未満かつ在籍期間が3年以上であり以下の事由に該当する退職者に再雇用の機会を提供。 【退職事由】
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短時間勤務制度 | 正社員・嘱託社員・パート社員 | 会社が必要と認めた日数 | 以下の事由に該当する、または会社が認めた場合、所定労働時間を短縮して勤務することが可能。
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※(株)LIXILおよび子会社原籍従業員(契約社員含む)