LIXILは、世界中の誰もが描く住まいの夢を実現するために、日々の暮らしの課題を解決する先進的なトイレ、お風呂、キッチンなどの水まわり製品と窓、ドア、インテリア、エクステリアなどの建材製品を開発、提供しています。
2025年3月期実績
LIXILは、「世界中の誰もが願う、豊かで快適な住まいの実現」というPurpose(存在意義)の実現に向けて、多様なニーズに応える革新的な製品・サービスを提供しています。「Inclusive for ALL(すべての人にインクルージョンを)」に注力し、多様な従業員一人ひとりがその能力を最大限に発揮できるインクルーシブな企業文化を醸成してきました。誰もが尊重され、挑戦し、その成果が正当に評価されるインクルーシブな環境こそが、イノベーションを生み出し社会課題の解決に貢献するとともに、持続的な成長を推進する原動力になると確信しています。
その実現に向けて、全社で2030年3月期までにインクルージョンの文化を定着させ、ジェンダー不均衡を是正することを目標に掲げ、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)戦略に沿った施策を展開しています。
目標として掲げるインクルージョンの文化の定着に向けて、LIXILでは従業員意識調査「LIXIL Voice」の結果指標の一つに同項目を設定し、進捗を可視化、調査結果に基づき施策を展開しています。
これまで全従業員を対象に「アンコンシャス・バイアス」や「心理的安全性」などD&Iの理解促進に向けたワークショップやe-learningをグローバル規模で実施してきたほか、以下の取り組みに注力しています。
各部門がD&I推進の効果を自ら把握しアクションを起こす仕組みづくりに向けて、部長クラスの管理職向けにLIXIL Voiceのインクルージョンスコアや社内で定めた女性管理職比率などの結果指標を可視化したダッシュボードを導入したほか、「リーダー向けD&I推進ガイドブック」を発行し、より実践的な事例を共有しています。効果的なD&I推進を目的とする同ガイドブックは、外部の先行モデルおよびリサーチを基に、社内の事例や意見を取り入れながら制作されました。
2024年3月期は、ガイドブックの活用に向けたワークショップをグローバル全体で125回開催し、全体の86%にあたる約6,000人の管理職が参加しました。ワークショップでは、部長クラスの管理職がファシリテーターを務め、自身の経験や考えを交えてガイドブックの活用方法を伝えました。2025年3月期は、新任管理職および中途採用の管理職を対象にD&Iワークショップを継続、ファシリテーターはD&I審議会メンバーが務めました。参加者はワークショップを通じて、D&Iの重要性とその実践法について学び、日々の行動につなげています。
リーダー向けD&I推進ガイドブック
LIXILでは、D&Iへの理解を深め、行動を促すことを目的に、グローバルダイバーシティ推進月間を設けています。期間中は、全従業員が積極的に参加し、インクルーシブな企業文化の醸成に貢献できることを実感する機会として、様々な活動を実施しています。
一例として、ポッドキャストシリーズを展開しました。この取り組みは、「ひとりでも多くの従業員にD&Iについて知ってほしい」「インクルーシブな環境を推進する助けになりたい」という従業員の声をきっかけに始まりました。5つのERGグループのメンバーがトピック別に実体験を語り、エピソードを聞いた従業員からは、「当事者の経験が直接聞けて良かった」「日々の行動に活かしていきたい」という反響があり、従業員のD&I意識向上につながる機会となりました。

LIXILでは、従業員リソースグループ(ERGs:Employee Resource Groups)を立ち上げ、インクルーシブな職場環境を構築するための推進力となる従業員主体の活動を促進しています。現在、MULTI-CULTURAL(多様性や多文化コミュニティの支援)・ABILITY(障がいのある人が最大限にパフォーマンスを発揮できる職場づくり)・BETTER TOGETHER(ジェンダー平等の実現に向けた取り組み)・WORKING PARENTS & CAREGIVERS(働く親や介護者の支援)・LGBTQ+(LGBTQ+の従業員にとって安全で協力的な職場づくり)の5つのテーマがあり、従業員は属性や働く場所にとらわれず、多様な考え方や異なる視点を相互に学び、地域を越えたコラボレーションなどを実践しています。各グループには執行役がエグゼクティブ・スポンサーとして就任しており、ERGsの活動と会社の方向性を一致させるとともに、同活動を通じて寄せられた声を当社の制度や製品・サービスに反映させるなどして、インクルーシブな職場環境および社会の実現に向けた取り組みを加速させています。
5つのERGs
聴覚障がいのある従業員も働きやすい職場へ 実証実験に参画(別画面が開きます) >
オンラインショールーム 字幕サービス(別画面が開きます) >
ERGsは、地域・テーマごとに各グループの運営メンバーが主体となって活動しています。社内SNSを利用し、テーマにまつわる情報の発信やイベントの開催告知を行っており、従業員は全地域・全グループへの参加が可能です。
一例として、3月8日の国際女性デーに合わせて、「BETTER TOGETHER(ジェンダー平等の実現に向けた取り組み)」のメンバーが主体となり、毎年イベントを実施しています。2025年は国連女性機関(UN Women)のテーマである「すべての女性と少女のためにー権利、平等、エンパワーメントをー」をもとに、アライシップとバイアスに関するビンゴゲームを開催しました。参加者はゲームを通じてD&Iやインクルーシブな企業文化の醸成について話し合い、学びました。

国内では、ERGsの活動の一環として、話している人の言葉をリアルタイムで字幕にするシステムを活用しています。このシステムを利用することで、聴覚障がいのあるメンバーは朝礼や面談の内容をタイムラグなく理解することができるほか、外国人従業員の日本語理解の一助にもなっています。
また、ERGsの活動を通じて寄せられた声は、製品やサービスの開発にもつながっています。LIXILオンラインショールームでは、AI音声認識による文字起こしアプリを活用した字幕サービスを開始するなど、耳が不自由な方にも安心して利用いただけるサービスを展開しています。
LIXILでは、ジェンダー不均衡の是正に向けて全社で2030年までに達成すべき目標を掲げるとともに、各事業部門・部署の女性管理職比率および職務レベルなどの女性比率の目標と施策を設定し、取り組みを進めています。
また、主要ポジションの後継者育成計画の作成に向けたPeople & Organizational Development(POD:人材組織レビュー)プロセスにD&Iの観点を組み込み、全社で有望な女性人材の発掘に取り組んでいます。2025年3月期においては、26部門のセッションを経て、全社で909人の後継者と51人(ハイポテンシャル人材全体163人のうち31%)の女性ハイポテンシャル人材を特定しました。
LIXILではPODのフォローアップ施策の一つとして、特定された女性人材を対象にリーダーシップ向上を目指す「女性アウトリーチプログラム」を実施しています。このプログラムは、有望な女性従業員が経営陣との対面セッションを通じて自らのキャリア観を共有することで、経営陣の女性人材に対する理解を深め、組織づくりに寄与することを目的としています。対象者には、ネットワーキング、能力向上、キャリア開発の機会を提供するなど、女性人材の昇進・育成を推進しています。2024年3月期は、国内において54人の女性従業員が同プログラムに参加し、今後グローバル展開を予定しています。
また、従業員の成長を促す施策として展開している選抜型の次世代人材育成プログラム「NEXT」においても、有望な女性従業員の育成に取り組んでいます。
「女性アウトリーチプログラム」参加者の様子
さらに、国内では女性活躍推進法に基づき「一般事業主行動計画」を策定し採用施策や職場環境の整備を進めるほか、男女の均等な機会および待遇の確保に向けた人事制度改革に取り組んでいます。
一般事業主行動計画(別画面が開きます)PDF:301KB >
厚生労働省:女性の活躍推進企業データベース(別画面が開きます) >
人事制度改革の詳細はこちら >

採用については、新卒採用を男女同率とすることを目標に掲げています。その施策として、女子学生を対象としたイベントや、社内で活躍する女性社員にフォーカスした記事や動画配信など、新たな施策を積極的に導入し、パイプライン構築と採用ブランディングの向上を図っています。
また、2024年5月には、学生だけでなく社会人の女性も対象とした初の社外向けネットワーキングイベントを実施しました。女性役員によるキャリアについての講演や、女性従業員によるパネルディスカッション、参加者との交流を通じて、LIXILで働く魅力を広く伝える場となりました。
女性を対象とした社外向けネットワークイベント
こうした取り組みの結果、株式会社LIXILおよび国内子会社では女性従業員のインクルージョンスコアが上昇しています。
LIXILでは、研究開発や生産、営業事務、企画管理などの幅広い職場で、一人ひとりの特性にマッチした業務を提供することで、障がいのある従業員がやりがいを持って活躍できる環境を整備しています。2025年6月1日時点での株式会社LIXILの国内の障がい者雇用数は331人※、障がい者雇用率は2.49%です。
2014年に開設した障がい者就労センター「LIXIL NIJI」では、様々な障がいのある従業員の就労上の支援、業務適性評価、職務能力開発を行うとともに、障がい者と健常者がともに働ける環境や条件を探るための様々な試みを実施しています。バリアフリーを基本とするほか、視覚に障がいのある従業員向けに文字を大きくするソフトの導入や、車椅子用に高さが調整できる机の設置など、働きやすい環境を整備しています。
また、国内の各拠点においても取り組みを強化しています。例えば、聴覚障がいのある従業員への配慮として、研修に手話通訳を導入する、動画に字幕を入れるなどの試みを行っています。一人ひとりの特性を踏まえた業務上の工夫や配慮、職場環境の改善を行い、不安を感じやすい人には、業務を見える化しコミュニケーションをとる仕組みにする、他人の気配が気になる人には自席の前を空席にしフリースペースで業務を行うようにするなどの工夫も実施しています。
これらの取り組みを他社や行政機関と共有することで、LIXILは障がいのある方が活躍できる社会づくりに貢献することを目指しています。
※LIXIL ESGデータブックに掲載されている障がい者雇用者数は、「厚生労働省 障害者雇用率制度」の算出方法に基づいたカウント方法のため数値が異なります。
LIXILでは、LGBTQ+の従業員が働きやすい職場づくりを進めています。
国内では、慶弔休暇・慶弔金の制度において同性パートナーを配偶者とみなすほか、健康診断における配慮や希望する性の制服着用など就労環境の整備を行っています。
2024年10月には、「セルフケア休暇」の取得事由に「トランスジェンダーのホルモン療法のための通院」を追加し、当事者が働きやすい職場環境の向上を図っています。また事由追加に伴い、より理解を深めることを目的にLGBTQ+ラーニングを全従業員向けに公開しました。
従業員が働く場所や時間を柔軟に選択できること、また自律的なキャリアを形成できる多様な働き方の推進に向けて、制度や職場環境の整備を進めています。効率的に高いアウトプットを出す働き方を重視し、制度や職場環境の整備による長時間労働の削減や、仕事と生活の健康的なバランスによる生産性の向上にも取り組んでいます。
| 制度・施策 | 対象者 | 内容 |
|---|---|---|
| テレワーク制度※1 | 正社員、嘱託社員、パート社員 | 労働生産性の向上、ワークライフバランスの向上、自然災害や感染症発生時などの非常時の業務遂行などを目的に、自主的に勤務場所を決められる制度(在宅勤務を含む通勤可能圏内)。 |
| フレックスタイム制度 | 本社・本部管理部門、営業部門、工場間接部門の正社員 | フレキシブルタイム(5:00~22:00)の間で、業務の繁閑に即し、自主的・主体的に始業・終業時刻を決められる制度。 ※コアタイムなし |
| タッチダウンオフィス | 正社員、嘱託社員、パート社員 | 外出先や出張時に、移動によるロスタイムを減らし、業務効率を高めることを目的に一時的に外部共有オフィスサービスを利用できる施策。 |
| 副業制度 | 正社員、フルタイム勤務の契約社員(休職者、休業者、時短勤務者は除く)※2 | 働き方・雇用の柔軟化および自律的なキャリア意識醸成支援を目的に以下2種類の制度を運用。
|
※1(株)LIXILでは、2022年3月期に出社を要する日数に応じて「通勤型」「在宅型」を明確に定め、諸手当を整備。「通勤型」は、概ね週4日以上出社する者とし、通勤手当を支給。「在宅型」は、概ね週3日以下出社する者とし、在宅勤務補助手当を支給
※2 嘱託社員やパート社員を含む
従業員が多様なライフステージの中で高いパフォーマンスを発揮し続けられるよう、仕事と育児・介護・治療などとの両立を支援する制度の拡充や風土づくりに取り組んでいます。
株式会社LIXILでは、男性従業員の育児休業取得率100%※を目指しており、様々な施策を展開しています。2022年以降はさらに活動に注力しており、育休に関する人事からの情報発信、相談窓口の設置、子が産まれた男性従業員への制度の個別周知などを実施しています。その結果、育児休業取得率は2020年3月期の51%から2025年3月期には90.7%まで増加しています。取得者の増加に伴い、取得経験者のパネルディスカッションやインタビューが部門や拠点主体で実施され、社内SNSで発信されるなど、制度だけでなく風土の醸成も進んでいます。
※直接雇用の従業員のみを対象。(株)LIXIL独自の育児目的休暇である「ぱぱの子育て休暇(配偶者出産・育児休暇)」を含む
| 制度 | 対象 | 取得可能期間・日数 | 内容 | |
|---|---|---|---|---|
| 育児関連制度 | 育児休業 | 正社員・嘱託社員・パート社員 | 子が3歳になるまで (無給) |
日本国内の法定休業期間(子が1歳、一定の場合は2歳に達するまで)。 法定要件を上回る(株)LIXIL独自の取り組みとして以下を制度として導入。 1. 取得可能な期間を子が3歳になるまで延長 2. 2回まで分割取得が可能 3. 勤続年数1年未満の従業員も取得可能 |
| 時短勤務制度 | 子が小学校6年生満了を迎えるまで | 以下の労働時間短縮が可能。
|
||
| 始業・終業時間の繰り上げ・繰り下げ | 妊娠中および子が小学校6年生満了前まで | 妊娠・育児を理由として、始業・終業時刻を30分または1時間繰上げ・繰下げすることが可能。 | ||
| 子の看護等休暇 | 年間10日 (有給) |
小学校就学前の子を養育する従業員は、負傷や疾病にかかった子の看護、予防接種や健康診断、感染症に伴う学級閉鎖等になった子の世話、子の入園(入学)式、卒園(卒業)式に参加などの理由により取得可能。 | ||
| ぱぱの子育て休暇(配偶者出産・育児休暇) | 10日 (有給) |
子が1歳になるまで取得可能。 | ||
| 育児サービス・経費補助 | 制度により異なる | ― |
|
|
| 介護関連制度 | 介護休業 | 正社員・嘱託社員・パート社員 | 通算で2年間 (無給) |
日本国内の法定休業期間(93日)。 法定要件を上回る(株)LIXIL独自の取り組みとして以下を制度として導入。
|
| 介護休暇 | 年間10日 (有給) |
要介護状態にある家族の介護などのために取得可能。 | ||
| 時短勤務制度 | 開始日から3年に達するまで | 1日最大2時間の労働時間短縮が可能。 | ||
| 始業・終業時間の繰り上げ・繰り下げ | 1ヵ月以上、3年以内(取得開始日より連続する3年の範囲で最大3年間) | 要介護状態にある家族を介護する理由として、始業・終業時刻を30分または1時間繰り上げ・繰り下げすることが可能。 | ||
| 休暇休業制度 | 年次有給休暇 | 年間最大20日 (有給) |
勤続年数と前年度の出勤率に応じて付与され、「1日」・「半日」・「時間単位」で取得可能。 | |
| ゆとり休暇 | 5日以内 (有給) |
有給休暇取得促進のため、当年度に10日以上の有休が付与された従業員に対して、心身のリフレッシュ、自己学習または家族と過ごす時間のために、連続した最大5日間の有休取得を奨励。 | ||
| メモリアル休暇 | 2日以内 (有給) |
有給休暇取得促進のため、当年度に10日以上の有休が付与された従業員に対して、自身や家族の特別な日、大切な日をより有意義に過ごすために、連続した最大2日間の有休取得を奨励。 | ||
| セルフケア休暇 | 年間12日以内 (有給) |
生理に関連した症状や妊娠中の体調不良、不妊治療、更年期症状・更年期障害および当該症改善のための通院、会社が実施する健康診断(人間ドック含む)結果に対して再検査受診のための通院、トランスジェンダーの身体的治療におけるホルモン療法のための通院などの場合に取得可能。 | ||
| 不妊治療による休職制度 | 正社員 | 最長1年6ヵ月 (無給) |
多様な人生選択を支援していくためにワークライフバランスの担保、D&Iの実現を目的として導入。勤続年数に応じて、取得可能な休職期間は異なる。 | |
| その他 | キャリアリターン制度 | 正社員 | ― | 65歳未満かつ在籍期間が3年以上であり以下の事由に該当する退職者に再雇用の機会を提供。 【退職事由】
|
| 短時間勤務制度 | 正社員・嘱託社員・パート社員 | 会社が必要と認めた日数 | 以下の事由に該当する、または会社が認めた場合、所定労働時間を短縮して勤務することが可能。
|
|
※(株)LIXILおよび子会社原籍従業員(契約社員含む)