LIXILは、世界中の誰もが描く住まいの夢を実現するために、日々の暮らしの課題を解決する先進的なトイレ、お風呂、キッチンなどの水まわり製品と窓、ドア、インテリア、エクステリアなどの建材製品を開発、提供しています。
2024年3月期実績
LIXILは、従業員が会社に誇りを持ち高い生産性のもと持てる力を最大限に発揮できる環境づくりに取り組んでいます。その土台として、従業員のウェルビーイングの実現に向けた様々な施策を展開し、働きやすい・働きがいのある職場環境の醸成に努めています。
また、従業員のエンゲージメントを高めることを目的に「従業員エクスペリエンス」(従業員が組織の中で体験するあらゆる価値経験)に注力した取り組みを実施しており、その一環として従業員の声に耳を傾ける「Employee Listening」戦略を展開しています。
その他、国内では、従業員がやりがいと活力を持ち続けられるよう成長志向のマインドセットの醸成や実力主義の徹底、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の推進を目指して、2023年3月期から資格・等級制度や人事評価制度、報酬制度などの改定を順次行っています。
LIXILのPurpose(存在意義)は、持続的な成長に向けてよりアジャイルで起業家精神にあふれ、従業員一人ひとりがいきいきと誇りを持って業務に取り組むための指針です。Purposeの実現に向けて、当社では業務内容や拠点に関わらず、従業員が日々の業務の中でどのように考え、行動すべきかを示す「LIXIL Behaviors(3つの行動)」を掲げており、人事評価の項目にも設定されています。
LIXIL Behaviorsの推進に向けて、当社ではワークショップを実施したり、オフィスや工場などでポスターやステッカーを掲示したりするほか、会議などの場でLIXIL Behaviorsを積極的に会話の中に取り入れることで日々の意識付けを行っています。
こうした活動を通じて、従業員は自身が考えるLIXIL Behaviorsを具体的なエピソードを交えながら共有し、身近に取り入れる方法を学び、実践しています。
LIXILのPurpose(存在意義)とBehaviors(3つの行動)
LIXILでは、従業員一人ひとりが心身の健康を向上させ、豊かで充実した生活を送れる環境づくりを目指しています。従業員のウェルビーイング実現に向けて働きやすい・働きがいのある職場環境を醸成するために、次のような取り組みを実施しています。
全社的な取り組み
福利厚生制度の整備
国内での取り組み
国内では、従業員のウェルビーイングをサポートするためカフェテリアプランの導入や安心・安全に働くための諸制度の改定、退職金制度をはじめとする資産形成に関する制度の改定を行いました。
制度・施策 | 対象 | 内容 |
---|---|---|
カフェテリアプランの導入 | (株)LIXILおよび子会社原籍従業員 (契約社員含む) |
旅行や自己啓発、人間ドックなど様々な福利厚生メニューに利用できるポイント制度を導入。 |
遺族補償制度の拡充 | (株)LIXILおよび子会社原籍正社員 | 遺族補償関連制度を再編し、従業員本人が死亡した場合の遺族補償を拡充。 |
GLTD(団体長期障害所得補償保険)の導入 | ケガや病気の際の所得補償関連制度を再編し、GLTD(団体長期障害所得補償保険)を導入。 | |
退職金制度の改定 | 基本給に連動する形で役割・貢献度が反映されたわかりやすい制度とし、企業型確定拠出年金(DC)100%に改定。 |
こうした取り組みに対して管理職の理解・支援を呼びかけるほか、従業員一人ひとりの意識向上に向けて、情報プラットフォーム「ウェルビーイング 情報ライブラリー」を開設しています。ここでは、ウェルビーイングに関する全社的な取り組みや各地域の活動を紹介するほか、相談窓口や推奨される働き方などに関する情報提供も行っています。
さらに、毎月14日を「ウェルビーイングデー」に設定し、ウェルビーイングについてオープンに話し合える環境づくりに向けた様々な情報を発信しています。
グローバルに展開する「ウェルビーイング 情報ライブラリー」
ウェルビーイングの実現に向けた各施策の策定・展開において核となるのが、従業員の声です。LIXILでは、従業員意識調査「LIXIL Voice」の結果を分析し、施策への反映を進めています。また、同調査ではウェルビーイングを重要な結果指標の一つに設定しており、これらの施策に関する効果測定を行っています。
LIXILは、従業員のエンゲージメントを高めることを目的に「従業員エクスペリエンス」に注力した取り組みを実施しています。従業員が会社を好きになる・働きがいを感じるプロセスや経験を把握するために、その声に耳を傾ける「Employee Listening」戦略を展開しており、その一環として全従業員※1を対象とした意識調査「LIXIL Voice」を年1回実施しています。
同調査では、当社が優れた従業員エクスペリエンスを提供しているかを測る結果指標※2として以下を設定しています。
従業員意識調査における従業員エクスペリエンスに関する結果指標
※1 対象範囲:(株)LIXILおよび子会社の直接雇用の従業員(パート社員を含む)
※2 エンゲージメント、インクルージョン、ウェルビーイングのスコアは、これらに関連する設問における肯定的回答率(5段階評価のうち4と5を選んだ人の割合)にて測定。エンゲージメントについては、以下4つの設問で構成し測定を行っています
1)私は、LIXILは働くのにとても良い場所だと知人や友人にも話したり勧めたいと思う
2)私の仕事は、私に達成感を与えてくれる
3)LIXILでは、期待されている以上の貢献をしたいと思える
4)私は、LIXILで働くことを誇りに思う
過去4年間の回答率およびエンゲージメントの調査結果は以下をご覧ください。
インクルージョンとウェルビーイングに関する施策は以下をご覧ください。
インクルージョンの文化の定着に向けた取り組み >
従業員一人ひとりのウェルビーイングの実現に向けて >
国内では、LIXIL Voiceに加えて、特定の従業員を対象とした深堀調査も実施しており、調査結果を基により効果的なアクションの策定・実行を行っています。
取り組み①:会社の将来性に対する意識調査
背景:2023年6月に実施した調査においてエンゲージメントに関するスコアが低下したため、エンゲージメントとの相関が高いとされる会社の将来性に対する従業員の意識を調査。
対象:ランダムに選出された国内の従業員 2,445人 (回答率72%)
結果:業績や外部環境以上に、従業員のビジネス戦略や変革に対する理解が会社の将来性に対する思いを左右することがわかった。また、会社の将来に対して前向きな気持ちの従業員を増やすためには、チームメンバーと会社との橋渡し役を担う管理職の存在が不可欠だということが回帰分析を通じて確認された。
アクション:会社の戦略に関する管理職のコミュニケーションスキル強化を図るため、中長期的な育成プログラムを展開。
取り組み②:従業員の働き方に関する意識調査
背景:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による影響の緩和に伴い、対面での会議数が増加している一方で、LIXIL Voiceやその他の従業員意識調査においてリモートワークを基軸とした働き方に対する肯定的な声が多かったため、現在の出社率を可視化するとともに、今の働き方に対する意見や課題について深掘りする調査を実施。
対象:ランダムに選出されたリモートワークが可能な国内従業員 2,500人 (回答率89%)
結果:現在、リモートワークが可能な国内従業員のうち8割が「週1日以下の出社」で仕事を行っており、通勤時間やそれに伴うストレスの削減につながっていることがわかった。さらに、この傾向は30代女性に顕著に見られ、現在の働き方が多様な人材の確保や維持につながっていることを改めて確認できた。一方、リモートを中心とした働き方によるコミュニケーション関連の課題も明らかになった。
アクション:従業員のコミュニケーションやコラボレーション、ネットワーキングの機会を増やし、帰属意識を高めるために、従来から実施していたLIXILコミュニティデーへの参加に加え、対面でのセッション、中途入社者の歓迎イベント、本社訪問などといった従業員同士が交流できる場を増やすことでオンラインと対面の双方の利点を活かした働き方を推進。
各部門においては、世界各地の管理職を対象にチームの調査結果を確認するためのダッシュボードを配布しているほか、トレーニングを行うなど、部門単位で質の高いアクションを実行できる体制を構築しています。
事例:LIXIL Housing Technology サッシ・ドア事業部
背景:調査結果を年齢別で分析した際に、30代前半においてエンゲージメントスコアの落ち込みが見られた。この層をさらに深掘りしたところ、キャリアに関する対話やフィードバックなどにおいて、上司とのコミュニケーションに関連する課題が特定された。
アクション:管理職と30代前半の従業員双方へのアプローチを実施。管理職に対しては、心理的安全性、アサーティブコミュニケーション、1on1などの研修を実施し、30代前半の従業員に対しては、キャリア形成やコミュニケーションなどに関する研修をネットワーキングの要素も含めて実施。また、効果が確認できた研修については、対象範囲を拡大するなど、毎年継続的な活動を行っている。
効果:同施策を重点的に実施した30代の従業員にて、エンゲージメントを含む従業員意識調査の結果指標がすべて上昇。
研修中の従業員の様子
これらの好事例を社内SNSで紹介することで、ベストプラクティスの共有を促進し、全社において従業員エクスペリエンスの向上に努めています。
LIXILは、暮らしの未来を叶えるため従業員がともに力を合わせて挑戦し、そこからやりがいや達成感が得られることが、イノベーションの創出やさらなる成長につながると考えています。こうした考え方に基づき、当社では世界各地で働く従業員が互いに日々の努力や成果を認め、また功績を称え合う全社共通の表彰制度「LIXIL AWARDS※」を導入しています。
経営戦略との結びつきを高めるため、制度の評価基準には「LIXIL Playbook」で設定した優先課題を採用しています。毎回、各部門から選抜された取り組みの中から、優先課題に対して特に貢献度の高い取り組みが執行役および部門長によって選ばれ、表彰されます。また、受賞者には報奨金が授与されます。結果発表後には、受賞者へのインタビューを実施し、従業員投票によって選ばれたチームがより詳細な活動内容を全社に共有するなど、インタラクティブな仕組みを導入しています。
2024年6月に開催されたLIXIL AWARDSでは850件以上のプロジェクトが表彰され、受賞者4,300人に報奨金が授与されました。受賞したプロジェクトには、「LIXIL Playbook」の基盤であるインパクト戦略の推進や目標達成に貢献する取り組みが含まれます。事業活動・事業成長を通じた企業価値の向上と、社会や環境課題の解決におけるインパクト(良い影響)創出との両立を目指し、原動力となる全従業員が同じ方向に向かって力を結集できる職場環境づくりを制度面から支えています。
※全従業員(パート社員を含む)を対象とした表彰制度。国内では、2018年3月期より毎年表彰を実施しており、LIXIL Internationalにおいても2021年3月期に同制度を導入
国内では、年齢、性別などに関係なく、誰もが能力を最大限に発揮できる環境を整え、従業員の成長を後押しできるよう「チャレンジを加速させる資格・等級制度」「人と組織の成長へつながる人事評価制度」「成果に応じた報酬制度」を重点項目とする人事制度改革を2022年4月より進めています。
制度・施策 | 対象 | 内容 |
---|---|---|
等級・報酬制度の改定 | (株)LIXILおよび子会社原籍正社員 (管理職) |
|
勤務地限定社員制度の廃止 | 将来的な転勤の可能性や勤務する地域による賃金差をなくし、個々人の職務・職責による実力主義の報酬体系を目指す。 | |
住宅手当の廃止 | (株)LIXILおよび子会社原籍正社員 (管理職・一般) |
属人的な要素を排し、職務内容や業績貢献に応じた報酬の実現を目指す。 |
子ども手当の拡充 | (株)LIXILおよび子会社原籍正社員 (一般) |
D&I推進の取り組みの一環として、子育て世代の支援を拡充する。 |
LIXILは、労使双方が信頼関係を築き、良好な職場づくりに努めることが、会社の業績向上とやりがい・働きがいのある職場の実現につながると考えています。国内では、株式会社LIXIL原籍の正社員を対象としたユニオンショップ制による労働組合を結成しており、組合加入率は100%(2024年3月末時点)となっています。
労使基本協定には、安全衛生や作業環境に関する事項が含まれており、労使協議においては、経営状況や労働条件、安全衛生などに関する諸課題について、定期的に情報共有や議論の場を持ち、課題解決にあたっています。
また、国内で推進している人事制度改革についても、労使双方より代表者を選出し専門委員会を設置した上で協議を重ねるなど、労使一体となり取り組みを進めています。協議を経て労働条件や各種制度が導入・改定された際には、社内イントラネットや人事部門を通じて浸透を図るほか、労働組合も独自にポイントをまとめた「ユニオンガイド」を全組合員に配布するなど、労使が協力して周知活動を行っています。
国内工場では、地域社会の活性化に向けて、操業地域の高等専門学校、高等学校から採用を行っています。従業員が自身の仕事を通じて地域社会に貢献することで、やりがいや誇りを持ち、それがモチベーションの向上にもつながっています。また、同じ地域で長く働き続けることで、自社の製造技術・ノウハウ・スキルなどを次世代に継承することにも寄与しています。近年では、これらの取り組みを営業職や専門職などにも拡大し、地域人材の確保や育成に積極的に取り組んでいます。