LIXILは、世界中の誰もが描く住まいの夢を実現するために、日々の暮らしの課題を解決する先進的なトイレ、お風呂、キッチンなどの水まわり製品と窓、ドア、インテリア、エクステリアなどの建材製品を開発、提供しています。
2023年3月期実績
世界では、人口増加などに伴い、家庭における水使用量は1960年から6倍に増加しています※1 。水資源の枯渇で2050年までに世界の40%以上の人が 必要な量の水を使えなくなると予想され※2 、安全に管理された飲料水※3にアクセスできない人は2022年時点で22億人に上ります※4 。
LIXILは、環境ビジョンが掲げる循環型の暮らしの実現に向け、「水の持続可能性を追求」を重点領域の一つに定めるとともに、重要課題の優先項目に位置付けています。水まわり製品のリーディングカンパニーとして、次世代を含む誰もが水の恩恵を最大限活用できるよう、事業プロセスにおいて責任ある水の利用を推進するとともに、安全性を高めたおいしい水を提供することを通じて、水の持続可能性を追求します。
目標の実現に向け、「事業プロセス」「自社バリューチェーン」「インパクトの拡大」の各フェーズを通じた包括的な戦略アプローチおよび中期目標を定めて、取り組みを進めています。事業活動や自社製品の使用に伴う環境負荷を最小限にするという企業責任を果たすだけでなく、あらゆるステークホルダーを巻き込みながら環境分野における新しい価値を創造し、地球環境や社会に対してより一層大きなインパクトを生み出すための取り組みを推進しています。
※1 世界資源研究所(World Resource Institute)(英語・別画面が開きます) >
※2 Indiatimes(英語・別画面が開きます) >
※4 「家庭の水と衛生の前進2000-2020」(WHO・ユニセフ共同監査プログラム(JMP)による報告書)(英語・別画面が開きます) >
LIXILは、事業プロセスにおいて責任ある水の利用をグローバルで推進し、2031年3月期までに事業所における水の使用効率を2019年3月期比で20%向上させる目標を掲げています。製造工程で水を使用する拠点において地域ごとの水関連事業リスクを把握し、特に水不足拠点を中心にリサイクル水の循環利用、排水管理などの適切な施策を通じて、水の使用効率を向上させ、水使用量の削減に取り組みます。
LIXILでは、水資源を有効に活用するため、リサイクル水の活用を推進しています。2023年3月期は約66万m3のリサイクル水を使用しました。また、水不足が深刻なアジアや北米地域の工場において、積極的な取り組みを行うことで、さらなるリサイクル水の利用拡大と、水使用量の削減を進めていきます。
世界で水不足が深刻化する中、地域の実情を把握し適切な施策を実行するため、LIXILでは、2017年3月期から製造プロセスで水を使用する生産拠点77拠点における水リスク調査を実施しています。リスク評価のプロセスでは、まず国際的な評価ツール(WWF Water Risk Filter)により地理的なリスク評価を行い、その中で高リスクと認定された拠点を対象にアンケート調査を実施しています。これらを通じて、総合的な水リスク評価を行っています。
加えて、Science Based Targets Network (SBTN)のコーポレートエンゲージメントプログラムに参画し、 SBTNにおける水リスク評価に関する指針策定に貢献しています。 2023年3月期はSBTNで示された手法を参考に、生産拠点の流域における水量に関連するリスク(水ストレス)と影響(取水量)を調査しました(調査結果については下記グラフ参照)。 定期的に分析を更新しながら、さらなるリスク低減に向け、各拠点における適切な対応を計画、実行していきます。
2023年3月期は、水不足のリスクが高いタイの工場において、雨水と工場廃水をリサイクルすることができる水循環システム導入や水使用量の最適化を継続的に実施し、工業水使用量を前期から年間約24,800m3削減しています。
LIXILは、節湯水栓や節水型トイレなどの節水性能の高い製品・サービスを通じて、2025年3月期までに年間20億m3の水使用量の削減に貢献することを目指します。節湯水栓や節水型トイレなどの節水性能の高い製品・サービスのほか、スマートコントローラーなどIoTによる漏水防止対策に貢献するソリューションを通じて、エンドユーザーの水使用量の削減に貢献しています。
高い洗浄性能を持ちながら、超節水を実現しています。従来品(大洗浄1回あたり8L)と比べ最大49%※の節水が可能です。また、「アクアセラミック」の搭載により、水を流すたびに汚物を浮かせて流すので、日頃の簡単なお掃除で新品の輝きが100年※続きます。
SATIS(INAX)施工イメージアクアセラミック
米環境保護局「Water Senseプログラム」の厳格な基準を満たし、米国政府規格の20%以上の節水を可能にします。加えて、節水を義務付ける米カリフォルニア州のグリーンビルディング基準(CALGreen)を満たす製品を提供しているほか、障がいのある方でも使いやすい便座の高さを実現したユニバーサルデザインを追求しています。
Studio S Low-Profile Toilet
水をリサイクルして使うことを可能にしたシャワーシステムにより、水の使用量を最大75%削減、水をお湯に変える際のエネルギー消費量は最大66%削減、CO2排出量も最大70%削減することが可能です。GROHEブランドでは、2030年までにすべてのコンシールド・シャワーをリサイクル対応にするという野心的な目標を掲げており、本製品はその第一弾として2023年3月期に発表され、2024年春の発売を予定しています。
GROHE Everstream
スマートフォンのアプリと連動したスマートリモートコントローラーにより、漏水などの異常を感知すると通知し、水の供給を止めることができるなど、水まわりのトラブルを防止することで、水使用量の削減に貢献しています。
LIXILは、衛生的な水のサービスを提供することにより、地下水汚染のリスクを低減し、管理された衛生設備とより安全な水へのアクセスを向上する取り組みを推進しています。水道水へのアクセスがある地域においては、浄水栓・浄水カートリッジによって、安全性を高めたよりおいしい水を提供することを通じて、水の持続性を追求しています。
水と衛生の分野における官民連携強化のために設立されたLIXIL Public Partners(LPP)では、米国の公共下水道が整っていない農村地域において、排水処理設備や節水型製品などを導入する実証実験を行っています。地下水汚染のリスクを低減し、管理された衛生設備とより安全な水へのアクセスを向上する取り組みです。実証実験を通じて、今後グローバルに官民連携モデルの展開を加速させることを目指しています。
LIXILは、水栓と浄水に関する独自技術を有する世界有数の企業として、一体型浄水栓用のコンパクトな高性能フィルターをはじめとする高性能製品を開発し、市場における競争優位性を確立してきました。浄水技術の研究開発施設「X-Water Fab Tokoname」(愛知県常滑市)と「X-Water Lab Tokyo」(東京都)のほか、海外拠点においても各市場に適した技術開発を通じて浄水技術のさらなる進化を図ることで、グローバルで展開できる差別化された浄水製品の開発を進めています。
高いろ過技術により、水道水に含まれる鉛や塩素、微粒子などの不純物を取り除き、安全でおいしい飲み水を提供します。付属のフィルターは小型で画期的なデザインで、手の届きやすい調理台の天板の高さに取り付けられるほか、調理台下の棚の内壁にも設置できるサイズです。きれいな水が手軽に飲めることで、ペットボトル飲料水や水の宅配の利用がなくなり、環境負荷の低減にもつながります。
Saybrook Faucet
キッチン水栓から冷水や炭酸水を飲めるようにする家庭用ウォーターシステムです。常温の水も適温まで冷たくすることができます。市販のペットボトル飲料水では1Lの製造に7Lもの水が使われているとされ、GROHE Blueの導入により水資源の使用量を削減します。また、ペットボトル飲料水を利用した場合に比べ、ペットボトルの製造や輸送にかかるCO2排出量を年間最大61%※削減するとともに、プラスチックごみを減らすことにもつながります。
※各効果については、製品ウェブサイトをご参照ください(英語・別画面が開きます) >
GROHE Blue(別画面が開きます) >
GROHE Blue施工イメージ