水の持続可能性の追求

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2024年3月期実績

水使用効率向上
(2019年3月期比)
+23.6%
節水製品による水使用削減
貢献量
13億m3

考え方

世界では人口増加などに伴い、家庭における水使用量は1960年から6倍に増加しています※1。安全に管理された飲料水にアクセスできない人は2022年時点で約22億人に上り※2、2050年には世界で50億人が水不足の状態に陥ると予想されています※3

LIXILは、「LIXIL 環境ビジョン2050」が掲げる循環型の暮らしの実現に向け、「水の持続可能性を追求」を重点領域の一つに定めるとともに、重要課題の優先項目に位置付けています。水まわり製品のリーディングカンパニーとして、次世代を含む誰もが水の恩恵を最大限に受けられるよう、事業プロセスにおいて責任ある水の利用を推進するとともに、安全性を高めたおいしい水の提供を通じて、水の持続可能性を追求します。

目標の実現に向け、「事業プロセス」「自社バリューチェーン」「インパクトの拡大」の全フェーズを通じた包括的な戦略アプローチおよび中期目標を定めて、取り組みを進めています。事業活動や自社製品の使用に伴う環境負荷を最小限にするという企業責任を果たすだけでなく、あらゆるステークホルダーを巻き込みながら環境分野における新しい価値を創造し、地球環境や社会に対してより一層大きなインパクト(良い影響)を生み出すための取り組みを推進しています。

戦略アプローチおよび中期目標

戦略アプローチおよび中期目標

※1 世界資源研究所(World Resource Institute)(英語・別画面が開きます) >
※2 「家庭の水と衛生の前進2000-2022」(WHO・ユニセフ共同監査プログラム[JMP])(英語・別画面が開きます) >
※3 「2021 State of Climate Services: Water」(世界気象機関[WMO])(英語・別画面が開きます) >

事業プロセスにおける取り組み

LIXILは、事業プロセスにおいて責任ある水の利用をグローバルで推進し、2031年3月期までに事業所における水の使用効率(取水量/生産高)を2019年3月期比で20%向上させる目標を立てています。2024年3月期は、全社における水使用効率を23.6%向上させました。製造工程で水を使用する拠点において地域ごとの水関連事業リスクを把握し、水不足拠点を中心にリサイクル水の循環利用や排水管理などの適切な施策を通じて、水の使用効率を向上させ、使用量の削減に取り組んでいます。

水使用効率向上のための取り組み

LIXILでは、水資源を有効利用するため、リサイクル水の活用を推進しています。2024年3月期は、約64万㎥のリサイクル水を使用しました。また、各工場においては、屋根に遮熱塗装を施すことで散水による屋根冷却を廃止したり、より節水性能の高いトイレへの改修を進めたりすることで、水使用量を削減しています。水不足が深刻なアジアや北米地域の工場においては、より積極的な取り組みを行うことで、さらなるリサイクル水の利用拡大と、水使用量の削減を進めています。

事業所における水の使用効率
(2019年3月期比向上率)

事業所における水の使用効率(2019年3月期比向上率)

排水管理の取り組み

LIXILの工場では、流域の水環境保全のため各国地域の法定基準またはより厳しい自主基準値を設け、徹底した排水管理を行っています。化学物質を含む排水については、特に厳格に管理し、排水処理設備にて膜ろ過および生物処理を通じて浄化することで、基準値を大きく下回る状態に処理しています。水質は工場における日々のモニタリングに加え、第三者による検査を通じて確認しています。

水リスク拠点における取り組み

水リスク評価のステップ

水リスク評価のステップ

世界で水不足が深刻化する中、地域の実情を把握し適切な施策を実行するため、LIXILでは、製造プロセスで水を使用する83ヵ所の全生産拠点を対象に水リスク調査を毎年実施しています。リスク評価のプロセスでは、まず国際的な評価ツール(WWF Water Risk Filter)により地理的なリスク評価を行い、その中で高リスクと認定された拠点を対象にアンケート調査を実施しています。これらを通じて、総合的な水リスク評価を行っています。

加えて、2023年3月期からScience Based Targets Network(SBTN)のコーポレートエンゲージメントプログラムに参画し、SBTNにおける水リスク評価に関する指針策定に貢献しています。2024年3月期はTNFDの開示に向け、水不足リスクに加えて水質リスクの評価を行いました。定期的に分析を更新しながら、さらなるリスク低減に向け、各拠点における適切な対応を計画・実行していきます。

例えば、水不足のリスクが高いタイの工場において、雨水と工場廃水をリサイクルできる水循環システムを導入したほか、水使用量の最適化を継続的に実施し、2024年3月期は工業水使用量を前期から年間約72,700m3削減しました。

水リスク別の生産拠点割合(2024年3月時点)
水リスク別の生産拠点割合※(2024年3月時点)

水リスク別の取水量割合(2024年3月時点)
水リスク別の取水量割合※(2024年3月時点)

自社バリューチェーンにおける取り組み

LIXILは、節湯水栓や節水型トイレなどの節水性能の高い製品・サービスを通じて、2025年3月期までに年間20億m3の水使用量の削減に貢献することを目指します。節湯水栓や節水型トイレなどの節水性能の高い製品・サービスのほか、スマートコントローラーなどIoTによる漏水防止対策に貢献するソリューションを通じて、エンドユーザーの水使用量の削減に貢献しています。

・SATIS(INAXブランド)

高い洗浄性能を持ちながら、超節水を実現しています。従来品(大洗浄1回あたり8L)と比べ最大49%の節水が可能です。また、「アクアセラミック」の搭載により、水を流すたびに汚物を浮かせて流すので、日頃の簡単なお掃除で新品の輝きが100年続きます。

※各効果については、製品ウェブサイトをご参照ください(別画面が開きます)>
節水型トイレ(別画面が開きます)>

SATIS(INAX)施工イメージ / アクアセラミック

左)SATIS(INAXブランド)施工イメージ
右)アクアセラミック

・STUDIO S(American Standardブランド)

米環境保護局「Water Senseプログラム」の厳格な基準を満たし、米国政府規格の20%以上の節水を可能にします。加えて、節水を義務付ける米カリフォルニア州のグリーンビルディング基準(CALGreen)を満たす製品を提供しているほか、障がいのある方でも使いやすい便座の高さを実現したユニバーサルデザインを追求しています。

American Standard節水トイレ(英語・別画面が開きます)>

Studio S Low-Profile Toilet

Studio S Low-Profile Toilet

・Everstream(GROHEブランド)

水をリサイクルして使うことを可能にしたシャワーシステムにより、水の使用量を最大75%削減、水をお湯に変える際のエネルギー消費量は最大66%削減、CO2排出量も最大70%削減することが可能です。GROHEブランドでは、2030年までにすべてのコンシールド・シャワーをリサイクル対応にするという野心的な目標を掲げており、本製品はその第一弾として2023年3月期に発表されました。2024年夏より一部のパートナーを対象に販売開始しました。

GROHE Everstream(英語・別画面が開きます)>
リサイクルシャワーシステムについて(別画面が開きます)>

GROHE Everstream

GROHE Everstream

・Suru(GROHEブランド)

スマートフォンのアプリと連動したスマートリモートコントローラーにより、漏水などの異常を感知すると通知し、水の供給を止めることができるなど、水まわりのトラブルを防止することで、水使用量の削減に貢献しています。

Suru(英語・別画面が開きます)>

Suruの装置およびアプリ

インパクトの拡大に向けた取り組み

LIXILは、衛生的な水のサービスを提供することにより、地下水汚染のリスクを低減し、管理された衛生設備とより安全な水へのアクセスを向上する取り組みを推進しています。水道水へのアクセスがある地域においては、浄水栓・浄水カートリッジによって、安全性を高めたよりおいしい水を提供することを通じて、水の持続性を追求しています。

LIXIL Public Partners(LPP)による水と衛生の分野に関する取り組み

水と衛生の分野における官民連携強化のために設立されたLIXIL Public Partners(LPP)では、米国の公共下水道が整っていない農村地域において、排水処理設備や節水型製品などを導入する実証実験を行っています。地下水汚染のリスクを低減し、管理された衛生設備とより安全な水へのアクセスを向上する取り組みです。実証実験を通じて、今後グローバルに官民連携モデルの展開を加速させることを目指しています。

LIXIL Public Partners(LPP)>

浄水技術による、安全性を高めたおいしい水の提供

LIXILは、水栓と浄水に関する独自技術を有する世界有数の企業として、一体型浄水栓用のコンパクトな高性能フィルターをはじめとする高性能製品を開発し、市場における競争優位性を確立してきました。浄水技術の研究開発施設「X-Water Fab Tokoname」(愛知県常滑市)と「X-Water Lab Tokyo」(東京都)のほか、海外拠点においても各市場に適した技術開発を通じて浄水技術のさらなる進化を図ることで、グローバルで展開できる差別化された浄水製品の開発を進めています。

・Saybrook Filtered Kitchen Faucet (American Standardブランド)

高いろ過技術により、水道水に含まれる鉛や塩素、微粒子などの不純物を取り除き、安全でおいしい飲み水を提供します。付属のフィルターは小型で画期的なデザインで、手の届きやすい調理台の天板の高さに取り付けられるほか、調理台下の棚の内壁にも設置できるサイズです。きれいな水が手軽に飲めることで、ペットボトル飲料水や水の宅配の利用がなくなり、環境負荷の低減にもつながります。

Saybrook Faucet(英語・別画面が開きます) >

Saybrook Faucet

Saybrook Faucet

・GROHE Blue(GROHEブランド)

キッチン水栓から冷水や炭酸水を飲めるようにする家庭用ウォーターシステムです。常温の水も適温まで冷たくすることができます。市販のペットボトル飲料水では1Lの製造に7Lもの水が使われているとされ、GROHE Blueの導入により水資源の使用量を削減します。また、ペットボトル飲料水を利用した場合に比べ、ペットボトルの製造や輸送にかかるCO2排出量を年間最大61%削減するとともに、プラスチックごみを減らすことにもつながります。

※各効果については、製品ウェブサイトをご参照ください(英語・別画面が開きます) >
GROHE Blue(別画面が開きます) >

GROHE Blue施工イメージ

GROHE Blue施工イメージ


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