LIXILは、世界中の誰もが描く住まいの夢を実現するために、日々の暮らしの課題を解決する先進的なトイレ、お風呂、キッチンなどの水まわり製品と窓、ドア、インテリア、エクステリアなどの建材製品を開発、提供しています。
2024年3月期実績
LIXILは、インパクト戦略の基盤としてサプライチェーンマネジメントを重要課題の一つに位置付けており、責任ある調達と製品の安定供給に取り組んでいます。こうした考え方に基づき、国連グローバル・コンパクトの人権、労働、環境、腐敗防止の4分野・10原則を踏まえた上で、「調達方針」および「調達先に関するコンプライアンス基本規程」に則り、世界中のサプライヤーとの健全なパートナーシップのもと、調達活動を行っています。また、「LIXIL行動指針」で贈収賄禁止などの倫理的行動を定めLIXILの全構成員に遵守を求めるほか、「LIXIL人権方針」に基づきサプライヤーなどのビジネスパートナーの人権にも配慮した事業活動を推進しています。
さらに、サプライヤーに対しても、当社の人権方針の内容を支持し、同様の方針を採用するよう期待する旨を明記するほか、「調達先行動指針」を複数言語で展開・配布し、人権の尊重、国際的な労働基準の遵守、環境保護や公正な事業活動などを求めています。2023年3月期には、同行動指針を改定し、人権・労働・環境などの側面で項目を追加するとともに、違反に関する報告窓口を明記するなどリスク管理体制を強化しました。また、直接のサプライヤーのみならず、その先のサプライヤーに対しても同行動指針の遵守を期待する旨を記載しています。
さらに、地球環境への負荷が低い部品・原材料を調達するための方針・基準を示した「グリーン調達ガイドライン」に基づき、環境部門と連携しながら、サプライヤーにも当社の環境活動およびガイドラインに沿った調達活動の理解・協力をお願いしています。
① 環境マネジメントシステムの構築
② 環境コンプライアンスの遵守
③ 化学物質管理の徹底
④ 温室効果ガス排出量の削減
⑤ 水資源の保全
⑥ 資源循環の推進
⑦ 生物多様性の保全
当社は社会からの期待やサプライチェーンにおける変化に対応するため、調達活動および方針を継続的に見直しています。調達方針を改定する場合、サステナビリティ関連課題への具体的な行動をサプライヤーに期待する旨を明記した調達先行動指針およびグリーン調達ガイドラインとの間に不整合が生じていないことを確認しています。
その他、国内では、内閣府や中小企業庁(経済産業省)などが推進する「未来を拓くパートナーシップ構築推進会議」の趣旨に賛同し、「パートナーシップ構築宣言」を公表しています。サプライチェーン全体における持続可能な共存共栄関係の構築を目指しており、社内や取引先に対して宣言内容の周知徹底を行っています。また、公正取引委員会などの官公庁が定める指針などに沿って、2024年1月に「適正な取引価格の取決めに関する方針」を制定し、取引先と社内へ周知を図りました。さらに、同方針の適切な運用に向けて実行状況の継続的なモニタリングを実施していく予定です。
人権の尊重 >
LIXIL調達方針(別画面が開きます)PDF:186KB >
調達先行動指針(別画面が開きます)PDF:570KB >
グリーン調達ガイドライン(別画面が開きます)PDF:529KB >
パートナーシップ構築宣言(別画面が開きます)PDF:145KB >
適正な取引価格の取決めに関する方針(別画面が開きます)PDF:302KB >
LIXILは、世界各国のサプライヤーと取引を行っており、国別調達金額ベースでは日本のサプライヤーが65%を占め、続いて中国、ドイツ、タイの順となっています。
人権や環境に配慮した責任ある調達を推進し、サプライヤーの皆さまとともに持続可能なサプライチェーンの構築を実現するため、新規サプライヤーの選定および既存サプライヤーのモニタリングにおいて、当社の調達先行動指針で求めるサステナビリティへの取り組み状況を評価しています。評価の結果、改善が必要と判断したサプライヤーに対しては、訪問やオンライン面談など対話の機会を取り入れ、是正措置計画について協議し、その後、課題解決に向けた取り組みを支援しています。一定期間において是正措置が実施されないなど、人権または環境への負の影響の軽減・防止が困難と判断した場合には、取引終了も選択肢として検討します。
新規サプライヤーの選定については「取引評価基準」を設け、品質、コスト、納期や技術力、安定供給能力に加え、持続可能な資源利用や化学物質の管理といった環境や人権、労働安全などの項目において評価を行っています。同時に、コンプライアンスリスク評価を実施し、ビジネスの特性などを踏まえた初期リスク評価の結果に応じて、贈収賄の防止、労務管理、安全衛生、人権尊重のための取り組みについても状況を確認しています。
新規サプライヤーとの取引開始にあたっては、当社の調達先行動指針を周知し、理解と実践を求めています。その後、調達品についても評価を行い実際の取引に至ります。
また、ヨーロッパ地域では、2023年1月から適用されたGerman Supply Chain Act(GSCA)に対応するため、第三者評価プラットフォーム「Integrity Next※」を導入し、新規サプライヤーの選定において人権および環境のデューデリジェンスを実施しています。取引開始にあたっては、当社がサプライヤーに求める最低基準を満たすことを条件としています。また、取引開始後も既存サプライヤーのサステナビリティ関連課題への取り組み状況のモニタリングツールとして同システムを利用し、サプライチェーン全体における人権や環境への直接的または間接的な負の影響の特定・評価・軽減・防止に努めています。
※Integrity Next (英語・別画面が開きます) >
ドイツ連邦経済・輸出管理庁(Federal Office for Economic Affairs and Export Control)が公表したガイドラインに沿った総合的なリスクマネジメントシステム。German Supply Chain Act(GSCA)の要求事項への遵守を目的とする
国内では、取引規模の大きいサプライヤー向けの年次集会を開催し、当社の調達方針やサプライヤー行動指針、サプライチェーンマネジメント戦略について説明するとともに、特に優れたサプライヤーを対象に表彰を行っています。
2024年3月期サプライヤー向け年次集会実績
また、以下の基準によって特定された重要なサプライヤーについては、責任ある調達アンケートをはじめとするモニタリングや是正措置および支援を優先的に実施しています。
LIXILでは、「重要な取引品目の扱いの有無・代替の困難性・取引金額の規模」を基準に、以下のフローに基づいて重要なサプライヤーの特定を行っています。
LIXILは、サプライチェーンにおけるリスクを特定するために責任ある調達アンケートの実施とフォローに取り組んでいます。アンケートの結果は、サプライヤーの選定や取引継続の判断材料の一つとしています。
具体的なプロセスは以下のとおりです。
1) 前年の取引金額などを考慮し、調査対象のサプライヤーを選定。
2) 選定したサプライヤーに「CSR経営」「公正な事業」「人権」「労働」「安全・衛生」「地球環境保全」「地域貢献」の分野で構成された「責任ある調達アンケート」を実施。
3) アンケートの結果を集計し、評価項目適合率が基準に満たないサプライヤーを「高リスクサプライヤー」として特定。
4) 「高リスクサプライヤー」は、改善対象として個別に管理。
調達先行動指針の内容を基につくられた50の設問※からなるアンケートをオンラインで実施し、対応の迅速化につなげています。
責任ある調達アンケートまたは訪問により明らかになったサステナビリティ関連の課題に対して改善が必要と判断した場合、サプライヤーと是正措置計画について協議し、その後、課題解決に向けた取り組みを支援しています。
国内では、調査対象を二次サプライヤーに拡大するための5ヵ年計画を2023年3月期より実行しており、順次対象を拡大しています。
さらに、Americas地域、Asia地域では中国において、一次サプライヤーを対象に責任ある調達アンケート調査を実施しています。その他、ヨーロッパ地域においても同様の仕組みでリスクの特定と改善に取り組んでいます。
※2025年3月期より、国内では責任ある調達アンケートの「公正な事業」および「人権」の項目において設問数を増やしました。そのため、日本語版と他言語ではアンケートの設問数が異なります。他言語への展開は、2026年3月期に予定されています
CSR経営 | 5 |
---|---|
公正な事業 | 14 |
人権 | 9 |
労働 | 6 |
安全・衛生 | 7 |
地球環境保全 | 7 |
地域貢献 | 2 |
計 | 50 |
取り組み項目 | KPI | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
目標 | 実績 | 目標 | 実績 | 目標 | 実績 | |||
調達方針の共有化・アンケート調査と活動フォロー | 実施率 (購入金額換算) |
国内 | 90% | 90% (1,357社) |
90% | 90% (1,185社) |
90% | 90% (1,216社) |
海外 | 90% | 90% (415社) |
90% | 90% (421社) |
90% | 90% (427社) |
||
評価項目適合率 | 国内 | 90% | 91% | 90% | 92% | 90% | 92% | |
海外 | - | 89% | - | 92% | -※ | 91% | ||
改善率 | 国内 | 100% | 100% | 100% | 100% | 100% | 100% |
対象範囲:(株)LIXILとその子会社のサプライヤー
国内:国内事業所での調達
海外:海外事業所での調達
※ 対象範囲を再検討中のため未定
国内外のサプライヤーに対して、責任ある調達アンケートを通じて発見された課題やリスクへの対策について様々な情報提供を行うほか、訪問やオンライン面談などによる対話を通じて継続的な支援を行っています。
また、サプライヤーの取り組みを踏まえて、サステナビリティ関連情報の開示・発信へのアドバイスを行うなど、活動促進につながるサポートにも力を入れています。
2024年3月期に訪問・オンライン面談を実施したサプライヤー数
サプライチェーン全体において、CO2排出量の削減を推し進めていくため、国内外の調達によるCO2総排出量の上位80%のサプライヤーに対して、CO2排出量集計や削減目標設定の状況を把握するためのアンケート調査を実施しました。
調査結果を基に、現在サプライヤーのCO2排出量削減につながる取り組みの支援を行っています。
購買部門に所属する従業員は、調達方針および調達先に関するコンプライアンス基本規程を遵守し、サプライヤーの選定や購買活動を行っており、サプライチェーン上のサステナビリティ関連課題に対応する上で、重要な役割を担っています。
LIXILでは、本社購買部門に所属するメンバーが講師となり、国内および海外の事業所のバイヤーに対して購買コンプライアンス教育を年3回行っており、うち少なくとも1回は人権に関する教育を実施しています。
教育テーマの一例
さらに、より実践的な訓練として本社購買部門のメンバーが現地のバイヤーとともにサプライヤーを訪問するなど、全社で責任ある調達を促進することでサプライヤーに対して必要な支援を行っています。
中国の工場では、本社購買部門が講師となり現地の購買部門を対象に研修を実施し、責任ある調達に関する社会の動きや重要性を共有した上で、調達方針を踏まえた自社の取り組み課題を再確認しました。また、実地研修として、現地および本社の購買部門が一緒にサプライヤーの工場を訪問し、課題改善に向けたサポートを行いました。
研修後は、現地工場の購買部門が独自に計画をして、サプライヤー訪問およびサポートを強化するなど、自律的なフォロー活動が行われています。こうしたフォロー活動の結果、サプライヤーでの安全対策や防災対策の強化など具体的な改善につながった事例も増えています。
サプライヤーの安全衛生教育を強化する様子
サプライヤー訪問で、消防用圧力ポンプの管理事項を確認する様子
18言語で利用できるオンラインシステム「LIXILコンプライアンスホットライン―Speak Up!」を通じて、資材購入先や業務委託先などの社外取引先からLIXILのコンプライアンス違反に関する懸念の報告を受け付けています。また、国内では、社外の法律事務所を通じた窓口からも報告を受け付けています。これらの制度はいずれも匿名での通報が可能です。制度を通じてサプライヤーから懸念の報告を受け付けることで、リスクの低減および是正・救済措置につなげています。
LIXILコンプライアンスホットライン―Speak Up!での情報提供はこちらから(別画面が開きます) >
社外法律事務所経由での情報提供はこちらから(別画面が開きます) >