LIXILは、世界中の誰もが描く住まいの夢を実現するために、日々の暮らしの課題を解決する先進的なトイレ、お風呂、キッチンなどの水まわり製品と窓、ドア、インテリア、エクステリアなどの建材製品を開発、提供しています。
2024年3月期実績
世界の資源消費量は、2050年には現在の2倍になると試算されています※1。LIXILは、「CO2ゼロと循環型の暮らし」を掲げる環境ビジョンの実現に向け、「資源の循環利用を促進」を重点領域の一つに定めるとともに、重要課題の優先項目に位置付けています。限りある資源の持続的な利用および廃棄物削減を目指して、金属・木材・樹脂・セラミックなどの原材料の調達から製造、使用、廃棄、さらに再利用までの製品ライフサイクル全体において、持続可能な利用や省資源・再利用に配慮した設計などの資源循環の取り組みを推進しています。
また、世界ではプラスチックの廃棄量が過去20年間で2倍以上に増加する一方、そのリサイクル率は9%にとどまるという課題がある中※2、2021年3月期に発表した「LIXIL プラスチック行動宣言」のもと、使用量削減や循環利用、代替素材の開発にも取り組んでいます。
LIXILプラスチック行動宣言(別画面が開きます)PDF:1.3MB >
目標の実現に向け、「事業プロセス」「自社バリューチェーン」「インパクトの拡大」の全フェーズを通じた包括的な戦略アプローチおよび中期目標を定めて、取り組みを進めています。事業活動や自社製品の使用に伴う環境負荷を最小限にするという企業責任を果たすだけでなく、あらゆるステークホルダーを巻き込みながら環境分野における新しい価値を創造し、地球環境や社会に対してより一層大きなインパクト(良い影響)を生み出すための取り組みを推進しています。
※1「Assessing Global Resource Use」(国連環境計画[UNEP])(英語・別画面が開きます) >
※2「Global Plastics Outlook: Economic Drivers, Environmental Impacts and Policy Options」(OECD)(英語・別画面が開きます) >
LIXILは資源の持続的な利用および廃棄物削減を実現するため、設計および生産工程の改善を通じて原材料使用量を減らすとともに、リサイクル率の向上に積極的に取り組んでいます。2026年3月期までに、事業所から排出される廃棄物のリサイクル率をグローバル全体で90%にする目標を掲げ、廃棄物の削減やリサイクル化につなげています。
生産拠点では、製造工程の改善を通じた原材料使用量および廃棄物の削減や、廃棄物の再資源化を進めています。2023年3月期は、メキシコのアグアスカリエンテス工場で衛生陶器の製造に使用した石膏型のリサイクルを開始し、リサイクル率は前期の49.6%から84.0%へ向上しました。また、メキシコのサンタクララ工場では汚泥のリサイクルなどを2023年3月期から開始し、リサイクル率は前期の16.6%から54.9%へ向上しました。
LIXIL Housing Technology (LHT)のベトナム工場では、汚泥の発生量削減に取り組んでおり、発生した汚泥はすべて原材料として活用する社内リサイクルの実現を目指し、対象物の無害化証明を取得しています。
取り組みを開始した2022年3月期は63.3%だった汚泥を含む工場の廃棄物のリサイクル率を大きく向上させ、2024年3月期には99.4%のリサイクル率を達成しています。
名張工場ではバイオマス事業者認定を取得するとともに、木材サプライヤーに森林認証団体への加盟を働きかけた結果、これまで廃棄物として処理していた木屑をバイオマス燃料として売却することができ、木屑廃棄物排出ゼロを実現しました。
LIXILは、バリューチェーン全体における資源の持続的な利用と廃棄物削減に向けて、新規に投入する資源を最小化するため、アルミや再生樹脂、再生木材などのリサイクル材・再生可能素材の使用比率を向上する取り組みを推進しています。その一環として、2031年3月期までに、ハウジング事業で使用されるアルミ形材におけるリサイクルアルミの使用比率を100%にする目標を掲げています。この他、使い捨てプラスチックパッケージの削減や製品寿命の長期化、再利用に配慮した設計などによる資源効率性の高い製品の拡充、製品から製品への循環システムの構築にも取り組んでいます。
LIXIL国内工場では、新地金精錬などのアルミ製品製造に必要なエネルギーの削減に向けて、市中アルミ資材を再生利用した製品開発を推進しています。また、LIXIL Internationalの水栓金具の製造拠点では、溶解炉での合金精錬工程を内製化しており、GROHEブランド製品の原材料となる真鍮の最大80%は工場内外から収集したリサイクル材です。樹脂については、窓から窓へのマテリアルリサイクルを目指し、国内の工場内で発生する「端材」のリサイクルシステム構築や分別設備導入など、樹脂材の有効利用・循環利用を推進しています。
アルミ溶解炉への原料投入
• 低炭素型アルミ形材「PremiAL」シリーズ
LIXILでは長年にわたりアルミ資材のリサイクル技術の開発に取り組み、業界トップクラスのアルミリサイクル使用比率74%を実現しています。2024年3月期には、原材料の100%にアルミリサイクル材を使用した「PremiAL R100」の展開をビル用形材から開始しました。新しい地金を使用した製品に比べて約80%のCO2排出量の削減に貢献しており、第三者検証「SuMPO EPD(旧:エコリーフ)」を取得しています。
• 人工木デッキ
LIXILの人工木デッキは、基材部の原料に、製造工程で発生する木粉や木くずと、自治体が回収・再生した再生プラスチックを使用し、リサイクル材を100%使用した環境に配慮した設計です。
デッキDCの施工イメージ
• 使い捨てプラスチックパッケージの削減
LIXILは、エンドユーザーが廃棄するプラスチックパッケージについて、環境配慮型資材への代替や梱包材の削減などに取り組んでいます。GROHEブランドのイニシアティブ「Less Plastic Initiative」では、2018年より製品のパッケージ資材をプラスチックから持続可能な代替素材へ切り替えを進め、2023年3月期には梱包材からプラスチックを完全に排除しました。国内では、エンドユーザーの手元に届くキッチンと浴室の取扱説明書のパッケージを、海洋生分解性を有するバイオプラスチックへ切り替えました。
• 「Cradle to Cradle®」認証製品(GROHEブランド)
原材料の安全性、原料の再利用、再生可能エネルギー利用とCO2排出管理、責任ある水管理、社会的な公正さの5つの条件を満たした4つの製品が、国際的な環境認証「Cradle to Cradle®」のゴールド認証を取得しています。GROHEブランドでは、真鍮の最大80%にリサイクル材を使用するなど、長年にわたりサーキュラーエコノミーの実現に取り組んでいます。廃棄物の再資源化率は、99%以上に達しています。
Cradle to Cradle🄬認証製品
• 取り換え浄水スパウト
LIXILの一部のキッチン用水栓では、スパウト(吐水口部分)だけを後から浄水機能付きスパウトに取り替えられるように設計されているため、使用後の水栓の廃棄を減らすことができます。
浄水栓へアップグレード
• 樹脂窓「EW」(TOSTEMブランド)
世界トップクラスの断熱性能でCO2排出量削減に貢献するとともに、リサイクル材と再生利用しやすい原材料を使用し、樹脂フレームとガラスの分離回収が容易でリサイクルしやすい製品設計を行うなど、資源循環に取り組んでいます。LIXILではEWをはじめ、省エネと資源循環を軸に、日本の地域の気候特性に合わせて効果的にCO2排出量を削減できる窓製品を提案する販売戦略「GREEN WINDOW」を2024年3月期に開始しました。
樹脂フレームとガラスを分離回収しやすいEW断面図
• 可動式アメニティブース「withCUBE」
大掛かりな工事を必要とせず、最短1日※でトイレの設置が可能で、簡単に撤収もできるため、物流センターなどの施設が抱えるトイレの課題を改善しています。様々な場所で簡単に設置・撤収ができるトイレ空間を、レンタル・リース契約で提供することで、製品のライフサイクルで投入される資源やエネルギー、廃棄物の削減につなげています。
※事前準備として給排水、電気工事などが別途必要
withCUBE施工イメージ
使い終わった製品を再び同じ製品に生まれ変わらせることを目指して、政府や自治体、業界団体、ビジネスパートナーなどのステークホルダーと連携しながら、調達から生産、販売、施工、回収に至るエコシステムの構築を通じて、資源循環システムの実現に取り組んでいます。
LIXILは、再資源化が困難な廃プラスチックの削減に向け、廃プラスチックを有効活用した循環型素材の開発に取り組んでいます。
• 循環型素材「レビア」
これまで再資源化が困難とされてきた複合プラスチックをはじめ、ほぼすべての種類の廃プラスチックと、建築物の解体や補修などから生じる廃木材を融合したLIXILの循環型素材です。従来は焼却・埋め立て処分、熱回収されてきた廃プラスチックを再資源化することで、CO2排出量の削減にも貢献します。2023年3月期には、第一弾として舗装材「レビアぺイブ」を発売しました。
レビア
レビアぺイブ施工イメージ