LIXILは、世界中の誰もが描く住まいの夢を実現するために、日々の暮らしの課題を解決する先進的なトイレ、お風呂、キッチンなどの水まわり製品と窓、ドア、インテリア、エクステリアなどの建材製品を開発、提供しています。
LIXILおよびグループ会社は、業務の適正性・効率性、財務報告の信頼性を確保するため、内部統制システムを構築・運営・評価し、企業価値の向上に努めています。また、グループ全体でリスクを意識した業務管理体制を強化し、コンプライアンス経営を重視する企業グループとして、法令等に適合した様々な仕組みを構築しています。その一環として、リスクマネジメントの管理・構築およびそれらの監査機能は、法務・コンプライアンス・内部監査担当の執行役専務の統括のもと、事業部門とは独立した形で強固なリスクマネジメントを構築しております。
当社グループでは、グループ全体でのERMの構築・運用を通じて、事業の継続と安定的発展を図っています。また、ERMの中でも事象の発生時に即時対応が求められるリスクについては、クライシスマネジメントとして管理しています。
リーダーたちが経営目標の達成に影響を及ぼすリスクを識別し、対応の責任を担うリスクオーナーとなり、リスクの管理を行っています。リスクを戦略リスクとオペレーショナルリスクに分類し、戦略リスクについては経営方針、事業戦略やインパクト戦略などの、中長期な視点やステークホルダーの視点などを幅広く捉えたフレームワークとなるよう、各関係部門との連携を図り、「重要課題」の目標達成を阻害する可能性のあるリスクを特定・評価することで、対応すべきリスクの優先順位を決定しています。オペレーショナルリスクについては自律的なリスクマネジメントを推進しており、各組織や地域で定期的にまたは必要に応じてリスク会議体やアジェンダを設け協議・対応し、その内容を本社に報告する仕組みを構築しています。
様々なリスクに対応できるよう、トップダウンとボトムアップの両方向のアプローチを取り、また、主要な地域ごとにリスク担当者を配置することにより、本社・地域・事業現場の円滑な連携を図っています。こうした一連の活動を通じて、リスクの選好度や許容度も考慮しながら、LIXILの役員・従業員のリスク感度を向上させるとともに、当社グループの重要リスクと対応策を社内外に開示することでリスク管理の透明性を高めています。
当社グループ全社を対象とする危機管理体制を確立しています。危機事象が発生した際の迅速な初動対応とエスカレーションを可能とするため危機管理に関する規程等を展開し、本社、事業部門、現場といった階層での対策本部をいつでも起動できる体制を整えています。
当社グループでは年々巧妙化するサイバーセキュリティの重要性を理解し、サイバー攻撃などによる被害を最小化するためにLIXIL-CSIRT(LIXIL Computer Security Incident Response Team)を設置し、運用しています。コンピュータやネットワークを常時監視することで問題を早期発見し、発生時の影響分析や原因解析を行うことにより、迅速な対応に努めています。さらに、サイバー攻撃に対するBCP(事業継続計画)を構築し、緊急時の報告基準やフロー、各部門の連携した対応など、危機管理体制を整備しています。
LIXILでは、知的財産のマネジメント体制を海外グループ会社にまで拡大し、LIXIL全体での知的財産の創出価値の最大化とリスクの最小化を図ることを目的として、グローバル知的財産マネジメント方針を定めています。
知的財産の適切な保護・活用を通じて、研究開発の成果である差別化された技術やデザイン、世界各地のユーザーから支持されているブランドを第三者の模倣から守るとともに、第三者が保有する知的財産による事業リスクの低減を図っています。また、模倣品に対しては、水際対策の強化やインターネット販売の取締り等断固とした措置を講じ、ブランド価値の毀損防止とユーザーの安全を確保する努力をしています。各事業における事業戦略と知的財産戦略、及び、グループ全体で得られるシナジーを考慮して、LIXIL全体で保有する知的財産ポートフォリオを、グループ一体となって構築、維持、活用していきます。
知的財産部門と各事業部門とで知的財産戦略会議を毎年開催するとともに、本社知的財産部門及び海外グループ会社の知的財産部門が参加するグローバル知的財産会議を毎月開催しています。これにより、グループ全体での知的財産マネジメントに取り組んでいます。
また、知的財産部門から取締役会にグループ全体の知的財産戦略等を定期的に報告し、取締役から監督を受ける体制を構築しています。
LIXILでは、製品差別化と競争優位確保のため、質の高い知的財産の保護を進めています。各事業部門から生まれた発明及びデザインについては、先行する技術やデザインの有無を調査する等して、その発明やデザインの事業上の価値を判断した上で、権利を取得するかどうかを決定します。また、競争優位を維持するために秘匿すべきノウハウについては、営業秘密として保護しています。
一方、事業推進の過程で第三者が保有する知的財産権の侵害が発生してしまうと、販売差止めや損害賠償請求などの事業上のリスクにつながります。このようなリスクを未然に防止するため、事業化前の開発段階から、第三者の知的財産権を調査・分析することを徹底しています。
これらの活動を適切に進めていくため、マネジメント層及び新入社員向けの知的財産教育も実施するなど、知的財産にかかわる従業員及び関係者の知識・スキル向上にも積極的に取り組んでいます。