LIXILは、世界中の誰もが描く住まいの夢を実現するために、日々の暮らしの課題を解決する先進的なトイレ、お風呂、キッチンなどの水まわり製品と窓、ドア、インテリア、エクステリアなどの建材製品を開発、提供しています。
気候変動や海洋プラスチック、衛生環境、人権、そして感染症。社会課題は世界中に無数に存在し、国境を越えて複雑化しています。その解決に取り組む主体は、国や政府だけではありません。企業や市民一人ひとりの行動が今や不可欠であり、大きな期待も寄せられています。
持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)は、2030年までの達成を目指す世界共通の目標です。国連総会で2015年に採択された「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」に掲載され、17の目標と169のターゲットから構成されています。2030年まであと10年。国連は「行動の10年」を提唱し呼びかけるなど、取り組みの加速が求められています。
LIXILは、SDGsの達成にどのように貢献できるのか。LIXILのコーポレート・レスポンシビリティへの考え方と、3つの優先取り組み分野を通じたSDGsへの貢献についてご紹介します。
LIXILは、「世界中の誰もが願う豊かで快適な住まい」の実現を目指しています。私たちのコーポレート・レスポンシビリティ(CR)の取り組みは、その実現において重要な役割を果たしています。
現在、世界150か国に展開し、毎日10億人に上る人たちがLIXILの製品を利用しています。製品やサービスをはじめ、技術、ノウハウ、知財、人材、人脈、情報、資金など、LIXILの持つあらゆる資源を活かし、事業活動を通じて社会課題の解決に貢献することは私たちの使命です。
CEOの瀬戸欣哉は次のように述べています。
「CR活動は事業の持続的な成長の基盤であり、CR戦略と事業戦略は一致すべきであると考えています。事業活動を通じて社会課題を解決することで、従業員一人ひとりがより大きな力を発揮でき、それがひいては長期的な競争力の強化につながると信じているからです」
取締役 代表執行役社長 兼 CEO 瀬戸 欣哉
事業を通して社会課題に貢献するLIXILのCR戦略は、
1.事業を展開する地域での関連性や緊急性が高く
2.専門性を活かし、自社の基幹事業を通して影響を与えられるか
という視点で、2017年に3つの優先取り組み分野を設けて以来、重点的な施策を展開しています。
安全で衛生的なトイレがない環境で暮らす人は、世界で約17億人。そのうち4.9億人は、日常的に屋外で排泄をしています。LIXILが取り組むのは、地域特性やニーズに合わせた課題解決です。なかでも、下水道の整備が十分ではない開発途上国の農村地域向けに開発された簡易式トイレシステム「SATO」は、これまでに45カ国へ約650万台を出荷し、約3,500万人¹の衛生環境改善に貢献してきました。事業を通じて衛生課題の解決に取り組んでいることは社外からも高く評価され、2019年3月期には、「第2回SDGsアワードSDGs推進副本部長(外務大臣)賞」を受賞しました。
¹2022年6月現在
また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な感染拡大を受け、新しい手洗いソリューション「SATO Tap」を開発し、世界23億人とされる手洗い設備を利用できない方の衛生環境改善に取り組み始めています。
LIXILは、2025年までに1億人の衛生環境を改善し、生活の質を向上させることを目指しています。
新しい手洗いソリューション「SATO Tap」(動画)
目標6のターゲット2では、「2030年までに、すべての人々の、適切かつ平等な下水施設・衛生施設へのアクセスを達成し、野外での排泄をなくす。女性及び女子、ならびに脆弱な立場にある人々のニーズに特に注意を向ける」とあります。LIXILは、トイレをはじめとする衛生ソリューションの展開を通じて、生活の質を向上させることを目指しています。
不衛生な環境は、人びとの健康を脅かします。衛生問題に起因する下痢性疾患で命を落とす5歳未満の子どもの数は、1日に約700人を超えています。また、COVID-19をはじめ感染症の流行を防ぐには、衛生的な環境が不可欠です。トイレや手洗いの普及啓発、製品展開は、この目標で掲げられている新生児および5歳未満児の予防可能な死亡の根絶や、感染症への対処を目指すものです。
ジェンダー平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワメントを図る上で、衛生課題の改善は必要不可欠です。安全で衛生的なトイレがない環境では、女性や子どもが人目につかない場所まで用を足しに行く途中で、暴力被害にあうケースが後を絶ちません。また、学校に清潔なトイレがないことで、初潮を迎えた女子生徒が通学を諦め、教育の機会を失う現状が世界には存在しています。安全で衛生的なトイレの提供は、これらを解決する手助けとなります。
LIXILのグローバルな衛生課題の解決~現地最前線からの声~(動画)
ケニア・シアヤ群でSATOの設置に携わる女性
SATOの展開においては、パートナー企業やNGOと連携し、現地での生産・販売体制の構築を進めてきました。雇用を生み出し、開発途上国での衛生産業の成長に貢献したいと考えています。
また、様々な専門機関やNGO、ビジネスパートナーと連携することは、衛生課題解決に不可欠です。国際連合児童基金(ユニセフ)とのグローバル・パートナーシップ「MAKE A SPLASH!」や、独立行政法人国際協力機構(JICA)との連携など、お互いの強みを生かしたパートナーシップで取り組みを進めています。
「MAKE A SPLASH!」
プロジェクトサイトはこちら(別画面が開きます) >
産業革命以前からの世界の平均気温の上昇を2℃未満に抑え、1.5℃を目指すパリ協定の目標実現に向け、2050年までにCO₂などの温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすることが求められています。また、世界には安全な飲料水にアクセスできない人が約8億人いるとされ、水資源の保全は大きな課題です。さらに、世界の資源消費量は2050年までに現在の2倍以上になるといわれており、資源循環型の経済(サーキュラー・エコノミー)への移行が急務です。
先進的な水まわり製品と住宅建材のメーカーとしてLIXILは、2020年3月期、2050年を見据えた新たな環境ビジョンを策定し、「Zero Carbon and Circular Living(CO₂ゼロと循環型の暮らし)」を掲げました。
2050年までに、事業活動と製品・サービスを通じてCO₂排出を実質ゼロにし、水の恩恵と限りある資源を次世代につなぐリーディングカンパニーになることを目指しています。
LIXIL環境ビジョン(別画面が開きます)PDF:8.2MB >
詳細はこちら >
空調や給湯など建物で消費されるエネルギーは、世界で消費されるエネルギーの約3割を占めます。LIXILの製品やサービスのライフサイクルを通じたCO₂排出量のうち、9割以上がエンドユーザーによる製品使用時に発生していることを踏まえ、当社は省エネや節水を実現する製品を開発・提供し、住まいやオフィスなどの環境負荷低減に貢献することで、気候変動対策に取り組んでいます。
またLIXILは、事業で使用する電力をすべて再生可能エネルギーにすることを目指す企業イニシアチブ「RE100」に参加しています。2020年3月期は、本社拠点やドイツに本拠地を置くグループ会社であるGROHEのすべての生産工場を、再生可能エネルギーに転換しています。GROHEは2020年4月、生産におけるCO₂ニュートラルを水まわり業界として初めて実現し、「ドイツ・サステナビリティ・アワード」も受賞するなど高い評価を得ています。
省施工で断熱窓にリフォームできるリプラスの断面
GROHEのラール工場(ドイツ)の高効率なエネルギー設備
LIXILは、未活用地や建屋の屋根を利用したメガソーラー発電施設の運営や、再生可能エネルギー由来の電力の導入を進め、目標7が目指すクリーンなエネルギーの推進に取り組んでいます。また、エネルギー収支がゼロ以下の住宅やビル「ZEH(ネットゼロエネルギーハウス)」「ZEB(ネットゼロエネルギービル)」など、省エネや創エネ、断熱に貢献する製品・サービスの提供で、暮らしにおけるCO₂排出量削減に貢献しています。目標11の中で掲げられる、都市一人当たりの環境上の悪影響軽減につながる取り組みです。
LIXILの知多工場(日本)のメガソーラー発電施設
水資源の枯渇により、2050年には世界人口の4割が必要な量の水を使えなくなると予想されています。LIXILは、節水トイレや水栓金具など、住生活での節水につながる製品・サービスを開発し、水資源の保全に貢献しています。
また、事業プロセスにおける効率的な水使用を推進するため、生産拠点における水使用状況や地域特性の把握を通した水リスク調査や節水対策、水循環システムを導入しています。
エコセンサー付きタッチレス水栓 ナビッシュハンズフリー
世界の資源消費量の増加に伴い、大量生産・大量廃棄の経済から、資源循環型の経済(サーキュラー・エコノミー)への移行が求められています。LIXILでは、リサイクル原料など環境負荷の低い原材料の利用のほか、製品の長寿命化、修理・交換しやすい部品仕様やリサイクルしやすい設計の採用など、資源循環型の製品・サービスの開発に取り組んでいます。また、製品パッケージに使用されている使い捨てプラスチックの削減に着手しています。
アルミ溶解炉への原料を投入する様子
グローバル展開に先んじてパッケージの主原料を使い捨てプラスチックではなくパルプにしたINAX AQUAPOWER
2050年には人口の5人に1人が60歳以上となり、その多くが単身あるいは夫婦のみの高齢世帯となると見込まれています。また、世界人口の約15%は何らかの障がいを抱えており、その比率は年々増加しています。
LIXIL は、成長とイノベーションの原動力として多様な従業員が持つ英知や視点を活用し、世界中で様々な人の生活の質の向上に貢献します。全世界で7万人を超える従業員がいきいきと働ける環境を整え、ダイバーシティ&インクルージョンの実現に努めています。
多様な従業員の英知や視点は、成長とイノベーションの原動力です。LIXILでは多様性の尊重を推進する専門部署を設け、性別や年齢に関係なく平等な育成・キャリア機会を与えることで、個人の特性や強みを最大限に活かしてもらえるよう取り組んでいます。日本では働き方改革「変える!はたらく スタイル」のもと、フラットでオープンなコミュニケーションのもと、個々の状況に応じた効率的な働き方ができる環境づくりをしています。
LIXILは、年齢や国籍、障がいの有無や使う人の能力に関わらず、すべての人が豊かで快適な住生活を送るために、「わかりやすい」「使いやすい」「安全が安心に」「愛着がわく」の4つの軸を掲げた「LIXIL UDコンセプト」に基づいて、製品開発に取り組んでいます。
玄関ドア用電動オープナーシステムDOAC
LIXILは、3つの優先取り組み分野を通じ、SDGs達成に向けた継続した活動により、第2回SDGsアワード受賞をはじめとした、社外からの評価をいただくようになってきました。これまで、サステナブルな都市・まちづくりの実現に貢献するため、住宅づくりでSDGsに取り組む「SDGハウス」プロジェクトに協力する機会もあり、SDGsという共通の目標を持つ組織や個人とのネットワークが広がっていることは、従業員にとって誇りです。
一方で、事業活動の基盤となる倫理的な事業活動(ガバナンス、公正な事業慣行、人権、労働慣行、品質・顧客、サプライチェーン、ステークホルダーエンゲージメント)も、私たちが世界中の人たちの豊かで快適な暮らしの実現へ向けて活動を続けるためには必要不可欠な取り組みであり、SDGsへの貢献を後押しするものです。
今後もLIXILはグローバルな企業としてSDGsの達成に向け、事業を通じた貢献に取り組んでいきます。