サプライチェーンマネジメント

SHARE

in
サプライチェーンマネジメント

2023年3月期実績

調達アンケート結果 実施率
90%
調達アンケート結果 適合率
92%
低評価先改善率
100%

考え方

LIXILは、インパクト戦略の基盤としてサプライチェーンマネジメントを重要課題の一つに位置付けており、責任ある調達と製品の安定供給に取り組んでいます。こうした考えに基づき、国連グローバル・コンパクトの人権、労働、環境、腐敗防止の4分野・10原則を踏まえ、「調達方針」および「調達先に関するコンプライアンス基本規程」に則り、世界中のサプライヤーとの健全なパートナーシップのもと、調達活動を行っています。また、「LIXIL行動指針」で贈収賄禁止などの倫理的行動を定めLIXILの全構成員に遵守を求めるほか、「LIXIL人権方針」に基づき調達先などのビジネスパートナーの人権にも配慮した事業活動を推進しています。調達先などのビジネスパートナーに対しても、当社の人権方針の内容を支持し、同様の方針を採用するよう期待する旨を明記しています。

一方、サプライヤーに対しては、2018年3月期に定めた「調達先行動指針」を複数言語で展開・配布し、人権の尊重、国際的な労働基準の遵守、環境保護や公正な事業活動などを求めています。2023年3月期は、同行動指針を改定し、人権・労働・環境などの側面で項目を追加するとともに、違反に関する報告窓口を明記するなどリスク管理体制を強化しました。また、直接のサプライヤーのみならず、その先のサプライヤーに対しても同行動指針の遵守を期待する旨を記載しています。

さらに、地球環境への負荷が低い部品・原材料を調達するための方針・基準を示した「グリーン調達ガイドライン」を2020年1月に制定し、環境部門と連携しながら、サプライヤーにも当社の環境活動およびガイドラインに沿った調達活動の理解・協力をお願いしています。

LIXILが求めるグリーン調達活動への取り組み

① 環境マネジメントシステムの構築
② 環境コンプライアンスの遵守
③ 化学物質管理の徹底
④ 温室効果ガス排出量の削減
⑤ 水資源の保全
⑥ 資源循環の推進
⑦ 生物多様性の保全

当社は社会からの期待やサプライチェーンにおける変化に対応するため、調達活動および方針を継続的に見直しています。調達方針を改定する場合、サステナビリティ関連課題への具体的な行動をサプライヤーに期待する旨を明記した調達先行動指針およびグリーン調達ガイドラインとの間に不整合が生じていないことを確認しています。

その他、LIXIL国内では、内閣府や中小企業庁(経済産業省)などが推進する「未来を拓くパートナーシップ構築推進会議」の趣旨に賛同し、「パートナーシップ構築宣言」を公表しています。サプライチェーン全体における持続可能な共存共栄関係の構築を目指しており、2023年3月期は社内や取引先に対して宣言内容の周知徹底を図りました。また、公正取引委員会などの官公庁が定める指針などに沿って、2024年1月に「適正な取引価格の取決めに関する方針」を制定し、取引先と社内へ周知を図りました。さらに、同方針の適切な運用に向けて実行状況の継続的なモニタリングを実施していく予定です。

LIXIL調達方針(別画面が開きます)PDF:112KB >
人権の尊重 >
調達先行動指針(別画面が開きます)PDF:495KB >
グリーン調達ガイドライン(別画面が開きます)PDF:424KB >
パートナーシップ構築宣言(別画面が開きます)PDF:144KB >
適正な取引価格の取決めに関する方針(別画面が開きます)PDF:302KB >

環境や人権を重視した責任ある調達促進のために

新規サプライヤーの選定

サプライヤーの選定に用いる「取引評価基準」では、品質、コスト、納期や技術力、安定供給能力に加え、持続可能な資源利用や化学物質の管理といった環境、人権、労働安全などの項目を設けています。新たなサプライヤーには、調達先行動指針の理解を求めており、サプライヤー選定後は調達品についても評価を行っています。

LIXILでは、新規サプライヤーに対してコンプライアンスを確認するための書類を配布し、リスク評価を行っています。ビジネスの特性などを踏まえた初期リスク評価の結果に応じて、贈収賄の防止、労務管理、安全衛生、人権尊重のための取り組みについても回答を受けて、状況を確認しています。

既存サプライヤーの状況チェック

既存のサプライヤーについても取り組み状況の定期的な確認を行っています。

LIXILでは重要なサプライヤーを以下のフローで特定し、調達方針の共有やアンケート調査および改善に向けたフォローを優先的に行っています。

LIXILのサプライヤーは、購入金額ベースで日本が59%を占め、海外は中国、ドイツ、ベトナムの順となっています。日本国内では取引規模の大きいサプライヤー向けの年次集会にて、当社の調達方針やサプライヤー行動指針、サプライチェーンマネジメント戦略について説明するとともに、責任ある調達アンケート調査への協力依頼を行っています。

重要なサプライヤーの特定フロー

重要なサプライヤーの特定フロー

国別購入金額比率

国別購入金額比率

責任ある調達アンケートの実施とフォロー

LIXILは、サプライチェーンにおけるリスクを特定するために責任ある調達アンケートの実施とフォローに取り組んでいます。アンケートの結果は、サプライヤーの選定や取引継続の判断材料の一つとしています。

具体的なプロセスは以下のとおりです。

1) 前年の取引金額などを考慮し、調査対象の調達先を選定

2) 選定した調達先に「CSR経営」「公正な事業」「人権」「労働」「安全・衛生」「地球環境保全」「地域貢献」の分野で構成された「責任ある調達アンケート」を実施

3) アンケートの結果を集計し、評価項目適合率が基準に満たない調達先を「高リスク調達先」として特定

4) 「高リスク調達先」は、改善対象として個別に管理

「調達先行動指針」の内容を基につくられた47の設問からなるアンケートをオンラインで実施しており、対応の迅速化につなげています。責任ある調達アンケートまたは訪問により明らかになったサステナビリティ関連の課題に対して改善が必要と判断した場合、サプライヤーと是正措置計画について協議し、その後、課題解決に向けた取り組みを支援しています。

是正措置の事例
  • ・従業員向けの人権教育の実施に課題があるサプライヤーに対して、当社は無料で利用できる人権教育研修資料や動画を信頼できる公開情報から取得し、提供しました。サプライヤーはこれらを活用して、自社の従業員を対象とした人権教育研修を実施しました。
  • ・従業員向けの行動規範の文書化に課題があるサプライヤーに対して、当社は自社の行動指針における重要な要素を考慮した文書テンプレートを作成し、提供しました。サプライヤーはこれらを活用して自社の行動規範の見直しと改定を行いました。また、これにより、サプライヤーの行動規範と当社がすべてのサプライヤーに遵守を求める「調達先行動指針」との不整合を予防することができました。

国内では、2022年3月期に調査対象を二次サプライヤーに拡大するための5ヵ年計画および目標を策定しました。2023年3月期から実行を進めており、順次対象を拡大していく予定です。

Asia地域では、2022年3月期に中国で一次サプライヤーに対する調査を本格的に実施しました。また、2023年3月期には同調査の対象をAmericas地域の一次サプライヤーにも拡大しました。その他、EMENA地域においても同様の仕組みでリスクの特定と改善に取り組んでいます。

責任ある調達アンケート項目数

CSR経営 5
公正な事業 12
人権 8
労働 6
安全・衛生 7
地球環境保全 7
地域貢献 2
47

アンケート調査票(別画面が開きます)PDF:518KB >

責任ある調達アンケート結果

取り組み項目 KPI 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期
目標 実績 目標 実績 目標 実績
調達方針の共有化・アンケート調査と活動フォロー 実施率
(購入金額換算)
国内 90% 94%
(1,293社)
90% 90%
(1,357社)
90% 90%
(1,185社)
海外 90% 85%
(378社)※1
90% 90%
(415社)
90% 90%
(421社)
評価項目適合率 国内 90% 91% 90% 91% 90% 92%
海外 - 89% - 89% -※2 92%
改善率 国内 100% 100% 100% 100% 100% 100%

対象範囲:(株)LIXILとその子会社の調達先

国内:国内事業所での調達

海外:海外事業所での調達

※1 2021年3月期よりアンケートの実施を段階的に開始したAsia地域を除く場合は92%(336社)

※2 対象範囲を再検討中のため未定

国内外のサプライヤーへのサポートを強化

購買部門に所属する従業員は、「調達方針」および「調達先に関するコンプライアンス基本規程」を遵守し、サプライヤーの選定や購買活動を行っており、サプライチェーン上のサステナビリティ関連課題に対応する上で、重要な役割を担っています。また、責任ある調達アンケートの実施や高リスク先への個別のフォローアップ活動を実施することで、サプライチェーンマネジメント戦略の優先課題である「持続可能なパートナーシップの推進」と「サプライヤーの体質強化」の達成に貢献しています。

LIXILでは、本社購買部門に所属するメンバーが講師となり座学を行うほか、より実践的な訓練として現地の従業員とともにサプライヤーを訪問するなど、購買担当者向けの研修を実施しています。全社で責任ある調達を促進することで、サプライヤーに対して必要な支援を行うことが可能になります。

海外工場における従業員教育

中国の工場で行った購買部門対象の研修では、本社購買部門が講師となり、責任ある調達に関する社会の動きや重要性を共有した上で、調達方針を踏まえた自社の取り組み課題を再確認しました。また、実地研修として、現地および本社の購買部門が一緒にサプライヤーの工場を訪問し、課題改善に向けたサポートを行いました。現地の従業員からは「責任ある調達の重要性を改めて理解した」「サプライヤーの活動を手助けしていきたい」などの感想が寄せられています。

海外工場によるサプライヤーへのフォロー活動

上記の研修を行った海外工場では、工場の購買部門が独自に計画をして、サプライヤー訪問およびサポートを強化するなど、自律的にフォロー活動が行われています。

実地研修を行った中国工場からは、サプライヤーへのフォロー活動について定期的に報告を受けており、サプライヤーでの安全対策や防災対策など具体的な改善につながった事例も増えています。今後、こうしたフォロー活動の継続・強化を他の地域にも広げていく予定です。

サプライヤーの安全衛生教育を強化する様子

サプライヤーの安全衛生教育を強化する様子

サプライヤー訪問で、消防用圧力ポンプの管理事項を確認する様子

サプライヤー訪問で、消防用圧力ポンプの管理事項を確認する様子

国内サプライヤーへのフォロー活動

国内でも訪問やオンライン面談などを通じて、サプライヤーのフォローを続けています。コロナ禍でオンライン面談の機会が増えたことで、計画的かつ効率的にフォロー活動がしやすくなり、より多くのサプライヤーと対話を重ねています。

責任ある調達アンケートを通じて発見された課題やリスクへの対策については、様々な情報提供を行っています。また、サプライヤーの取り組みを踏まえて、サステナビリティ関連情報の開示・発信へのアドバイスを行うなど、活動促進につながるサポートに力を入れています。

国内外でフォロー活動を続ける本社購買部門の担当者は「責任ある調達の取り組みは、コンプライアンスを強化していくための第一歩です。長期的な視野で見て、サプライヤーにとってプラスの側面が大きい点を伝えつつ、できるだけ寄り添いながらサポートしています」と話しています。

相談・通報制度

18言語で利用できるオンラインシステム「LIXILコンプライアンスホットライン―Speak Up!」を通じて、資材購入先や業務委託先などの社外取引先からLIXILのコンプライアンス違反に関する懸念の報告を受け付けています。また、日本においては、社外の法律事務所を通じた窓口からも報告を受け付けています。これらの制度はいずれも匿名での通報が可能です。制度を通じてサプライヤーから懸念の報告を受け付けることで、リスクの低減および是正・救済対策につなげています。

LIXILコンプライアンスホットライン―Speak Up!での情報提供はこちらから(別画面が開きます) >
社外法律事務所経由での情報提供はこちらから(別画面が開きます) >

SHARE

in
PageTop