LIXILは、世界中の誰もが描く住まいの夢を実現するために、日々の暮らしの課題を解決する先進的なトイレ、お風呂、キッチンなどの水まわり製品と窓、ドア、インテリア、エクステリアなどの建材製品を開発、提供しています。
LIXILは、「LIXIL人権方針」に基づき、お客さま、調達先などのビジネスパートナー、工場や事業所周辺地域の皆さま、従業員など、すべてのステークホルダーの人権に配慮した事業活動を推進します。
LIXILは、人権尊重を事業活動の基本としています。「LIXIL人権方針」は、「国際人権章典」や「労働における基本的原則および権利に関する国際労働機関(ILO)宣言」、「ビジネスと人権に関する指導原則」をはじめとする国際規範に準拠しています。また、国際連合児童基金(ユニセフ)の「子どもの権利とビジネス原則」の考え方に基づき、子どもを含むすべての人びとの人権尊重の取り組みを推進しています。国際的に認められた人権水準と各国・地域の法令の間に差異がある場合、LIXILは、より高い水準を遵守します。それらが矛盾する場合には、現地法を遵守しながら、国際的な人権の原則を尊重するための方法を追求していきます。
人権方針において掲げられている「人権重要分野」では、国際的な基準に準拠した形で、差別の禁止、強制労働および児童労働の禁止、結社の自由および団体交渉権の尊重、適正な賃金の支払いなどを定めています。この他、人身売買や同一労働・同一報酬、移民労働などに関する法令を遵守することも明記しています。また、人権方針では、自社のみならず、調達先などのビジネスパートナーに対してもLIXILの人権方針の内容を支持し、同様の方針を採用するよう期待する旨を明記しています。
LIXILは人権の取り組みを強化するため、人権方針を定期的に見直し、改定しています。2016年3月期に策定した人権方針を2022年3月期に見直し、執行役会の承認のもとに改定し、CEOによる署名を行いました。主な改定内容として、法務・コンプライアンス担当の執行役が監督するガバナンス体制や2021年3月期に特定したLIXIL人権重要分野、人権デューデリジェンスのプロセス、およびそれらを通じた人権リスク低減に向けたコミットメント、懸念報告(内部通報)制度などに関して、より詳細に明記しています。
また、2022年5月には人権方針を17言語対応とし、グローバルに広がる全社でのコミットメントを強化しています。
LIXILが制定する各種方針において、人権尊重を基盤としています。
また、調達先などのビジネスパートナーにおいても、調達先行動指針に基づき、適用される法令を遵守し、人権尊重をはじめ倫理的に行動することを期待しています。
LIXILでは、人権方針を策定するとともに、潜在的な人権リスクの低減に特に注力すべき分野として「人権重要分野」を下記のとおり特定し、人権デューデリジェンスの強化に取り組んでいます。人権重要分野については、定期的に実施予定の人権リスク調査の結果を踏まえ、見直しを行っていきます。
2016年3月期 | 人権方針の策定 |
2018年3月期 | 人権デューデリジェンス・タスクフォースを設立 |
2021年3月期 | 7つの人権重要分野を特定 |
2022年3月期 |
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グローバル企業として人権デューデリジェンスを強化・徹底するため、2018年3月期に、旧コーポレート・レスポンシビリティ(現インパクト戦略室)やHuman Resources、旧コンプライアンス(現Compliance & Ethics)など、様々な部門のメンバーで構成される「人権デューデリジェンス・タスクフォース」を設立しました。また、2022年3月期に実施した人権方針の改定に伴い、法務・コンプライアンス担当の執行役が人権課題を監督するガバナンス体制となりました。こうした体制のもと、全社での人権デューデリジェンスの実施や透明性のある報告を強化しています。今後、グローバルでのビジネスと人権への取り組みをより一層強化するため、人権デューデリジェンス・タスクフォースを含むガバナンス体制の見直しを計画しています。
LIXILは、下記の人権デューデリジェンスのプロセスを通して、潜在的な人権リスクを分析・評価するとともに、リスク低減に向けた取り組みを行っています。
人権デューデリジェンス・タスクフォースによる調査を中心に、様々な活動を通じて潜在的な人権リスクの特定に努めています。
主な活動実績(担当部署) | 概要 | 調査対象に含まれる主な ステークホルダー |
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従業員を対象とする人権に関するアンケート調査 (人権デューデリジェンス・タスクフォース) |
国内外の全従業員(間接雇用を含む)を対象とする人権に関するアンケート調査を実施しました(2022年3月期)。 調査により把握された潜在的な人権リスクに対しては、リスク低減のための対応を行っています。 |
自社の従業員(間接雇用を含む) |
労働安全監査 (安全・品質統括部) |
国内拠点を対象に、調査票や訪問を通じた労働安全監査を年1回実施し、監査結果を踏まえた対策を各拠点で実施しています。 |
自社の従業員 |
従業員意識調査「LIXIL Voice」 (Human Resources部門) |
グローバル全従業員を対象にした従業員意識調査「LIXIL Voice」を年に1回実施しています。エンゲージメント、インクルージョン、ウェルビーイング、継続勤務意向をKPIに設定して、課題の把握および改善策の実施、グローバル戦略・施策への反映に努めています。 |
自社の従業員 |
責任ある調達アンケート (間接購買・購買管理部) |
サプライチェーンにおけるリスクを特定するために責任ある調達アンケートの実施とフォローに取り組んでいます。高リスク調達先に対しては訪問などの改善指導を個別に行っています。 |
調達先 |
LIXILは、自社の従業員に対する人権に関するアンケート調査で特定されたリスクおよび課題に対して、リスク低減や課題改善のための対策を行っています。
アセスメント対象のステークホルダー | 国内外の全従業員(間接雇用を含む) |
アセスメントの名称 | 従業員を対象とする人権に関するアンケート調査 |
アセスメントのプロセス | ① LIXILの7つの人権重要分野において重要と考えられる調査項目の精査・決定 ② 国内外の全従業員(間接雇用を含む)を対象に、アンケート調査を実施 ③ アンケートの結果を集計し、全体および各人権課題について、地域や所属部門、雇用形態、役職、勤続年数など様々な観点から分析した上で、潜在的な人権リスクが高い項目を特定 ④ 潜在的な人権リスクが高い項目については、リスク低減のための計画を策定し、是正・救済措置を実施 |
調査概要 |
実施時期:2021年11月 対象範囲:(株)LIXILおよびグループ会社に所属する全従業員(間接雇用を含む) 調査項目:LIXILの人権重要分野に関する23項目 調査手法:オンラインによるアンケート調査(回答率:57%) |
アセスメント結果の概要 | 調査におけるポジティブな回答※1 の割合は、全体平均で85%と非常に高い結果となりましたが、ネガティブな回答※2 が見られた潜在的な人権リスク分野については、リスク低減のための計画を策定し、是正・救済措置を実施しています。 |
具体的な計画内容および進捗状況 |
調査で把握された潜在的な人権リスク分野については、リスクを低減するための計画を策定し、次の是正・救済措置を実施しています。2023年3月期は、特に社内における教育研修の強化(下記1.)に取り組みました。 1.人権に対する理解を深めるための研修やワークショップなどの実施と強化
2.キャリア形成に関するコミュニケーションと取り組みの強化
3.業務時間の適正化や過重労働防止に向けた施策強化、休暇取得の推進
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今後に向けて | 2023年3月期に従業員意識調査「LIXIL Voice」(年1回実施)で人権重要分野に関する設問を試験的に導入しました。検証結果を踏まえ、今後の従業員向け人権リスク調査手法を検討していきます。 |
※1 「そう思う」「ややそう思う」を選択した回答
※2 「あまりそう思わない」「そう思わない」を選択した回答
LIXILでは、コンプライアンス違反に関する情報収集および不正・違反行為の未然防止や早期対処を目的に、守秘・報復禁止および懸念報告の手続きを明示した基本規程に基づき、懸念報告(内部通報)制度を設けています。制度を通じて社内外から懸念の報告を受け付けることで、リスクの低減および是正・救済対策につなげています。
1.教育
LIXILは、人権尊重を徹底するため、社内において人権に関する情報発信や啓発プログラムを実施しています。2023年3月期は、全従業員を対象とした教育のほか、取締役・執行役を対象に外部専門家による「ビジネスと人権」に関する研修を行いました。社内SNSでは、人権に関する情報を定期的に発信したほか(月1回程度実施)、コンプライアンス週間に合わせたCEO含む経営層による人権に関するリレーメッセージ・動画を配信しました。
取締役・執行役を対象とした人権に関する研修の様子(2023年3月実施)
2.多様性を尊重する職場づくり
D&I戦略のもと人材育成や人材獲得、インクルーシブな文化の醸成に取り組んでいます。また、多様な人材が能力を十分に発揮しながら活き活きと働けるよう、育児・介護など多様なライフステージに合わせた働き方を支援する各種制度の拡充、性的指向・性自認、障がいの有無に関わらず働きやすい職場環境の整備などを推進しています。
3.労働安全と健康の推進
すべての従業員の安全と健康を守るために、労働安全衛生マネジメントシステムの構築や健康経営の推進に取り組んでいます。