LIXILは、世界中の誰もが描く住まいの夢を実現するために、日々の暮らしの課題を解決する先進的なトイレ、お風呂、キッチンなどの水まわり製品と窓、ドア、インテリア、エクステリアなどの建材製品を開発、提供しています。
LIXILでは、グローバルな衛生課題の解決、水の保全と環境保護、多様性の尊重といった優先取り組み分野に関わる活動や、自社の専門性を活かした分野での社会貢献活動に注力しています。寄付・協賛先の選定については、目的・用途とその成果を厳しく審議し、LIXILの資産を適切かつ効果的に社会に還元できるよう努めています。
(百万円)
2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | |
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現金寄付 | 883.7 | 872.2 | 791.0 |
時間寄付 | 51.4 | 43.4 | 66.6 |
製品寄付 | 31.1 | 37.0 | 75.9 |
運営費 | 518.4 | 297.8 | 332.9 |
対象範囲:(株)LIXILおよびグループ会社(日本国内グループ会社を除く)
毎年10月に実施される「LIXILコミュニティデー」は、所属先や地域を問わず、世界各国の役員と従業員が、3つの優先取り組み分野に関する社会貢献活動を勤務時間内に行う取り組みです。従業員が各チームの活動の企画から実行までを担うこの取り組みは、従業員のエンゲージメント向上やインパクト戦略に対する理解促進につながっています。2023年3月期は、120以上の取り組みに9,500人以上が参加し、地域清掃や出前授業、従業員による環境負荷低減の取り組みなどを行いました。特に優れた取り組みは「LIXILコミュニティデーアワード」として表彰しています。
グローバルな衛生課題の解決アワード | |
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小学校でのトイレ設備の改修・ビーチ清掃活動 | 南アフリカ |
洪水被災地での家屋の掃除・建築資材の提供 | ブルガリア |
水の保全と環境保護アワード | |
従業員が自宅のCO2排出量を算出し、共有・議論。前期比で一人当たり1.2キロのCO2排出量を削減 | 日本 |
多様性の尊重アワード | |
路上生活をする人びととの交流活動・アンコンシャスバイアス研修の開催 | スペイン |
Let's Do It Togetherアワード(最も多くの参加者を集めた活動) | |
小学校や地域におけるドアプレート工作体験、ものづくりについて紹介する出前授業の開催 | 日本 |
Made to Last アワード(3年以上継続している活動) | |
女子児童への生理用品の提供や男女児童に対する性教育を通じて、生理中の通学や教育機会を支援 | ケニア |
インパクト アワード(環境を考慮し工夫しながら企画・実施した活動) | |
公園の清掃活動を実施。参加者の交通手段を自家用車ではなくバス移動とし、環境負荷低減 | 米国 |
Synergic Force アワード(2つ以上の優先取り組み分野をカバーし、最高得点を獲得したチーム) | |
不要な日用品を回収してバザーで販売し、物品提供者には障がい者支援団体のお菓子を支給、収益は国際連合児童基金(ユニセフ)とのグローバルパートナーシップ「MAKE A SPLASH!」に寄付(衛生・環境・多様性の3分野) | 日本 |
スーパースター・アンバサダー アワード部門 | |
各地域で複数の活動を実施したアンバサダー個人に授与 |
衛生業界では、専門的な技術職者が慢性的に不足しています。そこでLIXILは、EMENA地域の学校で配管技術の指導を行う「GROHE Installer Vocational Training and Education(GIVE)」プログラムを立ち上げました。GIVEプログラムの受講者は、実践的な研修や理論・実地試験を通じて最先端の技術や衛生イノベーションに関する知識を学べるほか、研修修了時には認定証を受け取り、実務や就職のサポートも受けられます。GIVEでは、EMENA地域の65機関と提携し、年間5,000人の育成を目指しています。また、女性や社会的に弱い立場にあるコミュニティの若者の就労支援にも力を入れていきます。
GIVEプログラムの参加者たち
プログラムの展開にあたっては、恵まれない子どもたちの支援に取り組む国際NGOである「Don Bosco Mondo」や「SOS Children's Villages International」とも連携しているほか、2023年3月期には職業技能を育成・支援する国際組織「WorldSkills International」との連携を開始しました。本パートナーシップを通じて、2024年の技能五輪国際大会(WorldSkills Competition)と、それに先立ち2023年にポーランドのグダニスクで開催される欧州地域選手権(EuroSkills)に向けて配管・暖房部門の開催支援を行うなど、技術者の育成に携わります。こうした連携を通じて、配管技術者とその仕事に対する社会的な認知度向上を目指しています。
Asia地域では、フィリピンにおいてDon Bosco Mondoとの連携によるGIVEプログラムを通じて、OJTを含む配管工育成プログラムを実施しています。インドでは、配管工を対象に技術研修や機材提供などを通じた起業支援プログラムを展開しているほか、2024年3月期には配管工の技術研修センターを開設予定です。また、アフリカ地域では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で失業した人びとや女性、若者を対象に配管工事技術のトレーニングプログラムを実施しています。
その他、米国では各地域において将来の配管工を養成する「Trade UPプログラム」を展開しています。2023年3月期は、27の職業訓練校や大学などで実施しました。その一環として、建設業界に関心を持つ女子生徒に対しキャリア教育を行うNPO「Tools & Tiaras※」と協働で、米ニュージャージー州でサマーキャンプを実施し、従業員がボランティアとして参加しています。
Tools & Tiarasのプログラムに参加する女子生徒たち
※Tools & Tiaras は、電気技師や大工、配管工といった従来は女性が少なかった技術系職種を志す女子生徒に職業体験の機会やメンターとの出会いを提供する団体です。
LIXILは、水資源の保全を目指して、水不足が深刻な中東・アフリカ地域における節水支援に取り組んでいます。
2022年3月期からは、エジプトのヘルスケア管轄当局(GAHC)とのパートナーシップのもと、エジプト国内の病院に節水・省エネ型のタッチレス水栓を導入しています。医療サービスにおける節水・省エネのみならず、感染予防や経費節減にも貢献しています。
節水型水栓を使う医療従事者
自然災害や紛争などにおける被災地で衛生的な環境が確保され、被災者が安心して暮らせるよう、被災地支援に積極的に取り組んでいます。
被災地では設備の不備や故障、人材の不足により、通常以上に衛生環境が悪化しやすく、病気が広まる危険性も高まります。LIXILは、低価格で安全・清潔な衛生環境を実現する革新的な簡易式トイレシステム「SATO」の寄贈や配管技術の指導を通じて、被災地などの緊急性の高い地域において安全で衛生的な環境づくりに貢献しています。2015年のネパール地震においては、NGOウォーターエイドの協力のもとSATO製品を寄贈したほか、2016年には世界の貧困層を支援する国際NGOのBRAC(Bangladesh Rural Advancement Committee)を通してバングラデシュにもSATO製品を寄贈しました。
日本国内においても、製品寄贈や義援金寄付など、様々な災害支援を行っています。東日本大震災の復興支援の一環として、岩手県・宮城県・福島県において、LIXILが提供した仮設住宅の窓などのアルミ建材を回収・再生しています。また、復興庁が主催する地域復興マッチング「結の場」に参加し、被災地域の企業が抱える経営課題の解決を目指して、販路拡大やノウハウ・アイディア提供などを通じた支援を行っています。
長年にわたる災害時の課題に関する研究を通じて、製品を通じた災害支援にも取り組んでいます。災害配慮トイレ「レジリエンストイレ」は、平常時には5L、災害時には1Lの水で洗浄可能な状態に切り替えられるため、避難所のトイレの課題解決につながっています。避難所となる学校や体育館、防災拠点となる庁舎などを中心に設置を進めているほか、地域の防災教育でも活用されています。
その他、2022年3月期はウクライナにおける紛争、2023年3月期はトルコ・シリアの地震に際し、現地の医療・教育支援、安全な水の確保、水道および衛生設備や教育施設の修復、子どもの心理的ケアなどを支援するため、ユニセフを通じて寄付を行いました。
米国内における衛生課題の解決に取り組んでおり、貧困家庭や障がいを負った退役軍人のために住居を提供するNGOに対し、LIXIL製品を寄贈しています。また、8割の家庭で公共下水道が整っていないアラバマ州ラウンズ郡では、官民連携の推進・強化に取り組む「LIXIL Public Partners(LPP)」がアラバマ州政府や大学、公的機関、フジクリーン工業などと連携し、水と衛生課題の解決に向けた取り組みを進めています。地域内の一部家庭を対象に排水処理設備やLIXILの節水型製品などを導入する実証実験を経て、2023年3月期に米国農務省から210万ドルの助成金を得て、対象家庭を拡大しています。こうした取り組みを通じて、これまでに100世帯の衛生環境を改善しました。また、先住民族であるナバホ族の準自治領において、COVID-19対策としてSATO Tapの寄贈を行いました。
アラバマ州ラウンズ郡における排水処理設備の設置作業
また、インドネシアでは、観光地など人口が集中する地域においてパブリックトイレを設置するプロジェクト「Toilet Untuk Negeri」を2023年3月期より開始しました。スマホアプリやクラウドファンディングサービスなどを提供する5社とパートナーシップを結んで約1,000カ所に設置する計画で、すでにバリ島などの観光地に設置されています。地域における衛生課題の解決とともに、地域経済の活性化に寄与することを目指しています。
インドネシア・バリ島に設置されたパブリックトイレの様子
その他、世界各地で地域コミュニティにおける衛生設備の改善や衛生用品の寄贈などを行っています。詳細は、LIXILコミュニティデーをご参照ください。
LIXILは、未来を担う子どもたちとともに、グローバルな衛生・環境問題や多様性の尊重などの社会課題の解決に貢献することを目指し、持続可能な開発のための教育(ESD)に取り組んでいます。
3つの優先取り組み分野であるグローバルな衛生課題、水の保全と環境保護、多様性の尊重をテーマに、オリジナル教材を用いた出前授業を行っています。全国の学校やイベントなどで2010年から累計1,532回開催し、50,000人以上の児童などが参加しました。講師を担う地域事業所および従業員と地域コミュニティの関係強化にもつながっています。
やきものの街として知られる愛知県常滑市にある「INAXライブミュージアム」では、土とやきもの、ものづくりや生活文化をテーマとする展覧会、光るどろだんごづくりなどの体験教室、土と触れ合うワークショップなど、「観て、触れて、感じて、学ぶ」様々な体験の機会を地域の皆さまに提供しています。
2021年3月期には、常滑市役所と協働して、新市庁舎入口に通じる歩行者デッキの壁面を飾るタイルを、市民約1,600人が参加型で制作するワークショップを開催しました。2021年12月の新市庁舎竣工式には、CEOも出席し、常滑市長より感謝状が贈られました。2023年3月期は、「タイル名称統一100周年」を記念して行われた「みんなのタイルアートプロジェクト」において、全国から集めた不要なタイルを使って、東京藝術大学大学院の学生が制作したアート作品をミュージアムで展示しました。
「みんなのタイルアートプロジェクト」の様子
LIXILがEMENA地域で毎年行っている「Christmas Tree Activity」では、NGOと協働して、支援が必要な子どもたちに対して従業員からクリスマスギフトを寄贈しています。2023年3月期は、アルコール依存症の親を持つ子どもや貧困家庭の子どもなどを支援する団体と協働して、60人の子どもたちをサポートしました。