気候変動対策を通じた緩和と適応

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2023年3月期実績

Scope1,2のCO2排出量(2019年3月期比)
29.9%削減
Scope3のCO2排出量(2019年3月期比)
15.2%削減
新築戸建住宅向け高性能窓の販売構成比(日本)
90%
節湯水栓の販売構成比(日本)
92.2%
節水型トイレの販売構成比(日本)
99.2%

考え方

世界のエネルギー関連CO2排出量の約28%を建物が占めており、住宅部⾨だけでも17%を占めています※1。LIXILは、「CO2ゼロと循環型の暮らし」を掲げる環境ビジョンの実現に向け、「気候変動対策を通じた緩和と適応」を重点領域の一つに定めるとともに、重要課題の優先項目に位置付けています。事業プロセスにおける環境負荷低減に努めると同時に、環境に配慮した製品やサービスの提供を通じて2050年までにCO2排出量実質ゼロを目指します。さらに、LIXILの事業プロセスおよび製品やサービスが直接的に排出する CO2排出量にとどまらず、社会全体におけるCO2排出量の削減に貢献することが重要と捉えて取り組みを推進しています。また、自然災害対策や室内熱中症予防などへのソリューションを提供し、気候変動の適応にも貢献していきます。

目標の実現に向け、「事業プロセス」「自社バリューチェーン」「インパクトの拡大」の各フェーズを通じた包括的な戦略アプローチおよび中期目標を定めて、取り組みを進めています。事業活動や自社製品の使用に伴う環境負荷を最小限にするという企業責任を果たすだけでなく、あらゆるステークホルダーを巻き込みながら環境分野における新しい価値を創造し、地球環境や社会に対してより一層大きなインパクトを生み出すための取り組みを推進しています。

※1 国連環境計画(UNEP)(英語・別画面が開きます)

戦略アプローチおよび中期目標

戦略アプローチおよび中期目標

事業プロセスにおける取り組み

LIXILは、2031年3月期までにScope1,2のCO2排出量を2019年3月期比で50.4%削減する目標を定めています。事業活動による環境負荷の最小化に向けて、工場やオフィスでの徹底した省エネ活動や、再生可能エネルギーの利用、CO2排出の少ない燃料への転換や電気への転換(電化)などによりCO2排出削減に取り組んでいます。

Scope1,2のCO2排出量

Scope1,2のCO2排出量

生産拠点におけるエネルギーの効率化および電化・燃料転換

水素燃焼によるアルミ形材のエージング処理

水素燃焼によるアルミ形材のエージング処理

生産工程における課題の抽出や設備の見直しなど、拠点ごとの改善活動を通して、エネルギーの効率化に取り組んでいます。GROHEブランド製品を製造するすべての工場および物流センターでは、エネルギーマネジメントシステムISO50001の認証を取得しています。

また、LIXILの製造工程では、材料から製品をつくる際の熱需要を満たすために多くの燃料を使用しているため、燃料使用によるCO2排出を削減するための取り組みも進めています。低温域においては、燃料から電気への切り替えを推進し、使用する電力を再生可能エネルギー由来に替えていくことを進めています。また、有明工場では、使用する燃料をこれまでの石油系燃料から天然ガスへ切り替える取り組みを開始しています。天然ガスは燃焼時のCO2排出量や大気汚染物質となる窒素酸化物(NOx)の排出が少なく、硫黄酸化物(SOx)も排出しないエネルギーです。

他方、高温域の製造工程においては、従来の燃料や製造方法での取り組みを超えたイノベーションが必要です。そこでLIXILは、水素への燃料転換やCO2を分離・回収し有効活用する CCUなどの新技術を取り入れたイノベーションや、 研究段階にある新技術の応用も視野に入れ、 2030年以降の実用化を目指した検討を開始しています。2023年3月期には前橋工場の生産設備において、水素への燃料転換に向けて実証実験を行い成功しました。

水素は、燃料としての供給インフラ整備に大きな課題がありますが、LIXILでは調達から使用までの一連のプロセスにおける技術確立を目指し、水素調達に関連した技術検証にも着手しています。アルミ形材を製造する小矢部工場において、形材に着色する表面処理工程で行った検証試験では、発生する水素を90%以上の効率で回収することに成功しました。

再生可能エネルギーへの移行

再生可能エネルギー比率

再生可能エネルギー比率
クレン工場(タイ)

クレン工場(タイ)

LIXILは、再生可能エネルギーへの移行を推進しています。その一環として、事業で使用する電力の100%再生可能エネルギー化を目指す企業イニシアティブ「RE100」に加盟しています。

日本国内では、生産工場14拠点、本社などの事業所6拠点、物流センター10拠点、営業82拠点における使用電力に、再生可能エネルギー由来の電力を導入しています。海外では、LIXIL Internationalのすべての水栓金具工場・物流センター(全10拠点)のほか、メキシコの生産工場3拠点が100%再生可能エネルギーに切り替えました。 2023年3月期末の再生可能エネルギー比率は25.0%となり、CO2排出量を前期から約103,600トン削減することができました。

生産工場では、再エネ電力証書の購入だけでなく、新たな再生可能エネルギー設備に対する投資を促す効果がある「追加性」を考慮し、PPAモデルによる太陽光発電設備を導入しています。オンサイトPPAは国内外で展開されており、日本国外の事例としてGROHEの製品を生産する2工場では、約6,500MWhの電気を発電しています。そのうちの一つであるタイのクレン工場では、3.2MWのソーラーパネルを建物の屋根に置き、毎年約2,400トンのCO2排出削減に貢献しています。さらにGROHEでは、2023年3月期にドイツのヘーマー工場に太陽光発電施設を新たに建設しました。ヘーマー工場に設置された太陽光発電システムの面積は約2万m2と地域内で最大の規模となり、年間発電量は工場の年間電気使用量の約20%に相当します。国内では大谷工場でオンサイトPPAによる稼働を開始し、尾道工場でも2023年8月から稼動する予定です。また、オフサイトPPAについては、2023年3月期にメキシコの4工場で初めて導入されました。
その他、日本国内8拠点でもこれまで年間約34,000MWhを発電するメガソーラー発電施設を運営しています。

※ PPA事業者が電力需要家の敷地や屋根などに太陽光発電設備を設置し、そこで発電した電力を電力需要家に販売する事業モデル


【固定価格買取制度(FIT制度)に対する取り組み】

LIXILが日本国内で運営するメガソーラー発電施設では、FIT制度の調達期間終了後も発電事業を継続し、再生可能エネルギー電源として活用していけるよう、運転継続に向けた必要な検討を行っています。

太陽光発電設備の廃棄等費用積立制度に基づく「長期安定的な発電事業の実施に向けた事業計画」については下記のリンクをご参照ください。

長期安定的な発電事業の実施に向けた事業計画(別画面が開きます)PDF:357KB >

自社バリューチェーンにおける取り組み

LIXILは、2031年3月期までにScope3のCO2排出量を2019年3月期比で30%削減(SBT WB 2℃水準 )することを目指しています。LIXILのバリューチェーンにおける排出量(Scope3)において、多くの割合を占めるのが「製品使用」と「調達」です。製品の省エネ化を進めるとともに、サプライヤーなど他社との連携により調達や物流におけるCO2排出削減に取り組んでいます。さらに、より低炭素な原材料・部材の使用、リサイクル材の活用、製品の省資源化、製品寿命の長期化や再利用に配慮した設計を進めることで、製品・サービスのライフサイクル全体でのCO2排出削減を進めています。

※ 世界の気温上昇を産業⾰命前より2℃を⼗分に下回る温室効果ガス排出削減目標であるSBTiのwell-below 2℃水準

Scope3のCO2排出量

Scope3のCO2排出量

調達におけるCO2排出削減

調達におけるCO2排出削減を推進する上で、サプライヤーとの連携が必要不可欠です。サプライヤーに対しては、LIXILの環境活動および調達先行動指針、国内ではこれに加えてグリーン調達ガイドラインなどに沿った調達活動へのご理解・ご協力をお願いしています。

また、バリューチェーン全体の現状を把握し、効果的なCO2排出削減活動に取り組めるよう、調達によるCO2総排出量の上位80%のサプライヤーとのエンゲージメント活動を2023年3月期から開始しています。CO2排出削減に影響の大きいサプライヤーに対して、CO2排出量集計や削減目標設定の状況を把握するためのアンケート調査を実施しました。今後も、調査結果をもとにコミュニケーションを進め、原材料の安定供給や責任ある調達に加えて、サプライヤーデータの取得活用や調達におけるCO2排出削減に向けた連携を強化していきます。また、より低炭素な原材料・部材やリサイクル材の活用を通じて、バリューチェーン全体で効果的なCO2排出削減を加速させていきます。

資源の循環利用の促進 >

物流におけるCO2排出削減

2023年3月期は、他社と物流を共同利用する「コンテナラウンドユース」の実施本数を拡大し、協働企業と合計で826コンテナのラウンドユースを行い、年間約107トンのCO2排出削減につながっています。

また北海道物流センターでは、積載効率の悪化とドライバー不足の解消に向け、同業他社との共同運送に取り組んでいます。2023年3月期には一部地域から全道へ共同運送範囲を広げ、協働企業との累積で走行距離を年間約59万㎞削減、CO2の荷主原単位を21%削減することにつながりました。

物流センター

製品使用時のCO2排出削減につながる省エネ製品の提供

LIXILは、省エネ型のトイレ製品やキッチン関連製品の提供を通じてCO2排出削減に貢献しています。トイレ製品では、使わないときは自動的に便座温度と温水温度を下げて節電する「スーパー節電」、スイッチ操作で一定時間ヒーターをオフにして節電する「ワンタッチ節電」などの機能により、例えばサティスSタイプでは年間111キロのCO2排出量を削減しています。

省エネ製品(別画面が開きます)>

省エネ型トイレ製品のイメージ

省エネ型トイレ製品のイメージ

インパクトの拡大に向けた取り組み

新築戸建住宅向け高性能窓の
販売構成比(日本)

新築戸建住宅向け高性能窓の販売構成比(日本)

節湯水栓・節水型トイレの
販売構成比(日本)

節湯水栓・節水型トイレの販売構成比(日本)

LIXILは日本において、新築戸建住宅向け高性能窓の販売構成比率を2026年3月期までに100%とする目標と、節湯水栓や節水型トイレの販売構成比率を2031年3月期までに100%とする目標を掲げています。日本での一般的な住宅における消費エネルギーのうち、約6割を暖冷房と給湯が占めています。LIXILはこうした課題に対し、開口部の断熱性を高める窓・玄関ドアなどの製品、壁や天井、床など住宅全体の高断熱化を実現する高性能住宅工法、節湯・節水に貢献する水まわり製品、創エネ機能を有する製品・サービス、IoT技術を活用した宅配ボックス製品などを通じて、気候変動の緩和に向けたインパクトの拡大を進めています。また、台風や豪雨といった自然災害や猛暑による熱中症に備えるソリューションの提供を通じて、気候変動の適応にも貢献していきます。

高断熱製品の開発

・トリプルガラスの高性能ハイブリッド窓「TW」(TOSTEMブランド)

屋外側に強度・耐久性に優れるアルミ、室内側に断熱性が高く結露を軽減する樹脂を採用し、双方の利点を活かした、ハイブリッド構造の窓。高性能ガス入りの中空層を2重に有し、ダブルLow-Eによる先進のトリプルガラス仕様で、圧倒的な断熱性能を実現しています。1枚だけの単板ガラス窓とトリプルガラスの高性能窓を比較した場合、熱流出を約8割抑えることができ、新築住宅におけるCO2排出削減効果は37%です。高い断熱性能を実現することで、暖冷房のエネルギー消費量を減らし、CO2排出量の削減に貢献します。

断熱製品 >

TW施工イメージ

TW施工イメージ

・既存住宅の断熱リフォーム工法

高性能住宅工法「まるごと断熱リフォーム」では、既存住宅の構造部分などを活かし、壁・床・天井・開口部などの断熱性能を高めることで、家全体をまるごと断熱リフォームできます。建て替えることなく高性能住宅に生まれ変わることで、既存住宅の省エネ化を推進します。また同工法の「スーパーウォール工法リフォーム」を用いて一棟を断熱改修する支援スキームは、2021年度省エネ大賞「資源エネルギー庁長官賞」を受賞しました。

スーパーウォール工法リフォームの受賞について(別画面が開きます) >

まるごと断熱リフォームのイメージ

まるごと断熱リフォームのイメージ

節湯水栓製品の開発

・ナビッシュハンズフリー(エコセンサー付き)(INAXブランド)

浄水器ビルトイン型のキッチン用タッチレス水栓で、浄水と原水の2つのスイッチを使い分けるだけでお好みの水を出すことができます。また、自動センサーによって吐水・止水を行うタッチレス機能と、湯水の使い分けができるエコセンター機能を持つ水栓製品により、省エネ・節水を実現しています。お湯を無意識に使うことがなくなるため、従来品と比較して、約37%の省エネ、約30%の節水が期待できます。

※各効果については、製品ウェブサイトをご参照ください(別画面が開きます) >
節水・省エネ製品(別画面が開きます) >

ナビッシュハンズフリー施工イメージ

ナビッシュハンズフリー施工イメージ

・GROHE EcoJoy(GROHEブランド)

節水と省エネを可能にするEcoJoy技術は、ほぼすべてのタイプや価格帯のシャワー製品に搭載されています。シャワーに組み込まれた流量調整機能により、水の使用量を自動で約50%抑制します。

GROHE EcoJoy(英語・別画面が開きます) >

GROHE EcoJoyイメージ

GROHE EcoJoyイメージ

製品を通じた気候変動への適応

・外付日よけ「スタイルシェード」(TOSTEMブランド)

太陽の熱の約8割を窓の外側でカットして、室内温度の上昇を最大3.5℃抑制することで、冷房エネルギー消費の削減や室内熱中症予防につながります。

※各効果については、製品ウェブサイトをご参照ください(別画面が開きます) >
適応関連製品(別画面が開きます) >

スタイルシェード施工イメージ

スタイルシェード施工イメージ

・住宅用窓シャッター(TOSTEMブランド)

台風時の飛来物による窓ガラスの破損・破片の飛散や、室内に吹き込む強風で屋根が吹き上がるリスクを防ぐなどの防災・減災効果があります。

減災をサポートする製品(別画面が開きます) >

住宅用窓シャッター施工イメージ

住宅用窓シャッター施工イメージ

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