グローバルな衛生課題の解決

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人びと、特に女性や女児が、安全な衛生施設を利用できるようにすると同時に、子どもにとって危険な病気感染を防ぎます。

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グローバルな衛生課題の解決に関するハイライト

背景

世界では、5人に1人にあたる約17億人が、安全で衛生的なトイレのない環境で暮らしています。そのうち約4.9億人は日常的に屋外で排泄をしています。不衛生な環境は命を脅かし、1日あたり約700人を超える5歳未満の子どもが、衛生問題に起因する下痢性疾患で亡くなっています。

安全で衛生的なトイレの不足は、女性や子どもに対して特に危険をもたらします。人目につかない場所まで用を足しにいく途中で、性的暴行を受けるケースが後を絶ちません。また、学校に清潔なトイレがないことは、初潮を迎えた女子生徒が通学をあきらめざるを得ない原因として指摘されており、衛生問題は男女の教育格差にもつながっています。

また、世界人口の3人に1人にあたる約23億人が、家庭で基本的な手洗い設備を利用できていません。手洗い設備の不足は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)などの感染症の感染拡大を引き起こす危険性があります。こうした衛生問題の危機的状況はすべての国や地域に悪影響を及ぼし、成長と発展の可能性を妨げています。劣悪な衛生環境が世界に与えた経済損失は、2015年で2,230億米ドル(約22兆円、1米ドル=約100円で換算)にのぼりました。

2030年を目標年とする持続可能な開発目標(SDGs)では、目標6.2「すべての人びとの、適切かつ平等な下水施設・衛生施設へのアクセスを達成し、野外での排泄をなくす。女性および女子、ならびに脆弱な立場にある人びとのニーズに特に注意を向ける」が掲げられており、衛生問題の解決に向け、政府、NGO、民間企業など、様々なセクターが協力して取り組むことが求められています。

※オックスフォード・エコノミクス、国際NGOウォーターエイド、LIXILが連携し、2016年に実施した調査「衛生環境の未整備による社会経済的損失の分析」による情報

衛生環境の未整備による社会経済的損失の分析 (別画面が開きます)>
ムンバイのスラム街

ムンバイのスラム街

考え方・戦略

LIXILは、1億人の人びとの衛生環境を改善することを目標としてきましたが、この達成時期を2020年から2025年に見直しました。事業拡大に向けて様々なパートナーとの連携を加速し、人びとの衛生環境の改善、生活の質向上につなげます。水資源の多寡や都市化、トイレの普及状況により、衛生課題は地域によって異なります。LIXILでは「SATO事業部」が中心となり、インフラの未整備、低所得、水不足などの環境的制約をはじめとする途上国の特性やニーズに合わせた研究開発と事業に取り組んでいます。

地域別の課題とソリューション

SATOトイレシステム

開発途上国向け簡易式トイレシステム「SATO」は、シンプルな構造で低価格のトイレです。約0.2~1Lの少ない水で洗浄でき、排泄物を流すとカウンターウエイト式の弁が開き汚物が流れます。その後、弁が閉まることで、ハエなどの虫による病原菌の媒介や悪臭を低減する仕組みになっています。初代のモデルは、バングラデシュでの住民へのヒアリングのもと、ビル&メリンダ・ゲイツ財団からの資金助成を受けて開発がすすめられ、2013年に同国で生産・販売が開始されました。

現在、アジア、アフリカの6ヵ国で生産・販売され、寄付などによる提供先を含めると41ヵ国で約510万台が出荷されています。これは、約2,500万人の衛生環境改善に貢献した計算になります(2021年7月現在)。

SATOトイレシステムの仕組み
「SATOトイレシステム」が使用されている国

SATO事業を通じた人材育成や衛生教育

SATO事業は現地のメーカーやNGOと連携し、現地での生産・販売体制の構築を進めています。Make(作る)、Sell (売る)、Use(使う)というサイクルを回し続けることで、地域に雇用を生み出し、自立的・継続的な衛生環境の改善を可能にしています。

雇用創出のための取り組みの一つが、SATOの設置やトイレ建屋の建設を担う職人の育成です。これまでナイジェリア、タンザニア、インド、ウガンダなどにおいて、NGOや国際機関と協働で無料研修プログラムを実施し、主に若年層や女性など19,000人以上が参加しました。インドでは研修を受けた女性の収入が200%増加した事例も報告され、またウガンダでは5年間で3,000個以上ものSATOの販売・設置に携わる職人が育つなど、研修を通じて技術や収入の向上などにつながっています。

同時に、地域住民に対しては、衛生的なトイレ利用の重要性を啓発する活動を行っています。トイレを設置しても使用されなければ衛生問題の解決にはつながりません。ユニセフやNGOと協働し、衛生環境の大切さやトイレを使用することの重要性の理解促進に取り組んでいます。

Make(作る)、Sell (売る)、Use(使う)サイクルのイメージ図
ウガンダでの研修の様子

ウガンダでの研修の様子

SATO Tap

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大防止策として2020年に開発されたSATO Tapは、ペットボトルを活用した手洗いソリューションとして、ペットボトル内の水と重力を利用して、最小限の水量を無駄なく安定して放出する製品です。

SATO Tapのアイディアは、SATOトイレの製品開発に長く携わってきた従業員が、自身もCOVID-19に感染し治療生活を送る中で生まれました。開発途上国を中心に、水や石けんが容易に手に入らない、手洗い設備がない、効果的な手洗い習慣がないといった状況があり、こうした課題に対するソリューションの開発が緊急に求められていたのです。様々な地域で利用できる製品を目指して、シンプルな材料や生産方法、手に入れ易い価格帯など、現地のニーズやエンドユーザーの視点を重視しながら、開発が進められました。

SATO Tapは、多様な形状や大きさのペットボトルに対応した設計になっており、また2つのプラスチック部品で構成されるシンプルな設計と生産方法により、低コスト・低価格を実現しています。緊急性の高い地域に迅速に製品を届けるため、SATO事業におけるビジネスパートナーとのネットワークが確立されており、コロナ禍においても生産体制が整っていたインドに加え、タンザニアでも生産を開始しました。

2021年3月期は、様々な地域でSATO Tapを活用した衛生習慣の啓発活動を行いました。インドでは、国際協力機構(JICA)による衛生習慣を広める啓発キャンペーンと連携し、農村地域や学校、病院などにおいて、アニメーションなどを活用した講義とともに、実際にSATO Tapを体験してもらいながら、手洗いの重要性を伝えました。

またユニセフと協働して、アフリカ4地域においてユーザテストを実施し、こうした結果も踏まえながら、様々な地域のニーズに合った製品の開発や展開を進めていく予定です。SATO Tapを通じて、上水道や手洗い設備などのインフラや水の供給量が不足する地域でも、こまめな手洗いを実現し、手洗い習慣の浸透により感染症予防や衛生改善に貢献していきます。

SATO Tap (英語/別画面が開きます)>
SATO Tap動画 (英語/別画面が開きます)>

ペットボトルを活用した手洗いステーション「SATO Tap」

ペットボトルを活用した手洗いステーション「SATO Tap」

インドにおける啓発活動の様子(提供 国際協力機構(JICA))

インドにおける啓発活動の様子(提供 国際協力機構(JICA))

SATO Tapを使った手洗い体験学習(提供 国際協力機構(JICA))

SATO Tapを使った手洗い体験学習(提供 国際協力機構(JICA))

パートナーシップ

衛生問題の解決は、LIXIL単独で実現できるものではありません。様々な専門機関やNGO、ビジネスパートナーと連携し、お互いの強みを活かしたパートナーシップにより取り組みを進めています。

国際連合児童基金(ユニセフ)

LIXILとユニセフは、世界の子どもたちの衛生環境を改善するため、2018年にグローバルパートナーシップ「MAKE A SPLASH!」を締結しました。エチオピア、ケニア、タンザニアから取り組みを開始し、衛生市場を確立するとともに、トイレを必要とする人びとに低価格で製品が提供されるよう、マーケット主導型のプログラムを展開しています。

タンザニアでは、2025年までにすべての国民のトイレへのアクセス確保を目指して政府が推進するキャンペーンと連携しました。またインドでは、COVID-19の治療に当たる医療従事者を支援するユニセフのキャンペーン「#FlushTheVirus」の一環として、SATOトイレの設置を行いました。その他アフリカ4地域において、ユニセフと協働でSATO Tapの実装実験を行い、現地のニーズに合った製品開発を進めています。

MAKE A SPLASH! >

MAKE A SPLASH!のロゴ

米国国際開発庁(USAID)

LIXILと米国国際開発庁(USAID)は、開発途上国における衛生課題の解決に向け、2020年10月に連携協力覚書を締結しました。今後、アジアやアフリカなどでSATOトイレや手洗いステーション「SATO Tap」の展開を計画しています。

国際協力機構(JICA)

LIXILと独立行政法人国際協力機構(JICA)は、途上国の衛生環境の改善や安全な水の確保などに向け、連携のための覚書を締結しました。この分野での民間企業とJICAによる連携は初めての試みであり、双方の強みを活かし取り組みを加速していきます。2020年はインドにて、手洗いなど衛生習慣の啓発活動を協働で行っています。

JICAとのパートナーシップのもと、SDGs達成に取り組んできた事が評価され、”JICA-SDGsパートナー”に認定されました。

「JICA-SDGsパートナー」認定団体一覧 (別画面が開きます) >

BRAC 、PSIなどのNGO

SATO設置までのバリューチェーンの構築、衛生対策の推進に向けた政府への働きかけや製品開発へのフィードバックなど、バングラデシュではBRAC (Bangladesh Rural Advancement Committee)、ケニアではPSI (Population Services International)といった経験豊富なNGOと協働して取り組みを推進しています。

Toilet Board Coalition

LIXILは、官民一体となり、衛生問題の持続的な解決を目指す世界的規模の団体、「Toilet Board Coalition」の一員です。組織運営や、衛生問題解決に取り組む起業家の支援(メンタリング)や、Toilet Board Coalitionを通じたアドボカシー活動を行っています。

外部からの表彰

LIXILは、「第2回ジャパンSDGsアワード SDGs推進副本部長(外務大臣)賞」を2018年12月に受賞しました。LIXILの衛生問題に対する取り組みは、SATO製品の開発や、バリューチェーン全体を通じた課題解決、NGOや国際機関との協働によるアドボカシー活動などが評価され、様々な賞を受賞しています。

  • 第2回ジャパンSDGsアワード
    SDGs推進副本部長(外務大臣)賞
  • 国際ユニヴァーサルデザイン協議会(IAUD)アウォード2017
    大賞特別賞(みんなにトイレをプロジェクト)
  • レスポンシブル・ビジネス・アワード
    イノベーション・オブ・ザ・イヤー賞(SATO)
  • 第7回 技術経営・イノベーション賞
    選考委員特別賞(SATO)
  • 2018年度グッドデザイン賞(SATO)
  • Red Dot Award 2018(SATO Vトラップ)
  • TIME誌 THE BEST INVENTIONS of 2020 (SATO Tap)
第2回ジャパンSDGsアワードの授賞式

第2回ジャパンSDGsアワードの授賞式

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