多様性の尊重

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多様な従業員の英知や視点を活かし、成長とイノベーションの原動力とする製品やサービスなどを通じて、年齢、性別、障がいの有無などを問わず、すべての人びとの生活の質の向上に貢献します。

背景

2050年には人口の5人に1人が60歳以上となり、その多くが単身あるいは夫婦のみの高齢世帯になると予測されています。また、現在、世界の約15%の人が何らかの障がいを持っており、その比率は年々増加しています。高齢者や障がいのある方をはじめ、すべての人びとが活躍できる機会を提供する持続可能な社会の実現が求められています。

戦略

LIXILは「世界中の誰もが願う、豊かで快適な住まいの実現」を目指して、お客さまの多様なニーズに合った製品やサービスの提供に取り組んでいます。顧客志向を徹底し、多様なニーズに対応したイノベーションや持続可能な成長を実現していく上で、多様な従業員の潜在能力を引き出すことができるインクルーシブな環境の構築が重要であると考え、「ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)」を推進しています。

D&I戦略においては、2030年までにLIXIL全体にインクルージョンの文化を定着させ、ジェンダー不均衡を是正する目標を掲げています。また、D&I推進の重要な柱の一つとして、障がいのある方が活躍しやすい職場づくりにも注力しています。

こうした多様な従業員の英知や視点を活用し、年齢、性別、障がいの有無を問わず世界中の様々な人びとの生活の質の向上に貢献するユニバーサルデザイン(UD)に基づく製品やサービスの提供に取り組んでいます。

すべての人びとが活躍できる持続可能な社会の実現を目指して、障がいのある方への理解を促進する啓発活動や大学との共同研究なども行っています。

D&Iを推進する取り組み

LIXILは2018年3月期に「D&I宣言」を発表し、2020年3月期には全世界共通のD&I推進施策に取り組むためグローバルD&I部を、2021年3月期にはCEOおよび執行役と部門長で構成されるD&I委員会を設立しました。組織全体としてさらなるD&I推進に取り組むため、同年に全従業員を対象とするD&Iに関する意識調査を実施し、現状や課題などの把握を行った上で、D&I戦略を更新しました。

D&I戦略では、特にジェンダー不均衡の是正に焦点を当てた目標および施策に更新しています。2022年3月期は、目標達成に向けてアクションプランを策定し、人材育成や職場環境づくりにおいてD&Iの観点を組み込んだ施策を段階的に進めています。

また、インクルージョンの文化を定着させる目標に向け、障がいのある従業員が活躍しやすい職場づくりにも注力しています。

D&I戦略2030年までの目標
目標達成に向けた2022年3月期以降の主な取り組み

ユニバーサルデザイン推進の取り組み

LIXILユニバーサルデザインのコンセプト・方針

LIXILは、ユニバーサルデザインコンセプトおよび方針に基づき、製品の研究・開発を進めています。

LIXILユニバーサルデザインコンセプト

LIXILユニバーサルデザインコンセプト

LIXILユニバーサルデザイン方針

LIXILユニバーサルデザイン方針

LIXILユニバーサルデザインの特長

情報発信の強化

LIXILでは、UDのコンセプトや製品について、お客さまやビジネスパートナーに適切な情報を提供するため、2020年12月にUDウェブサイトを改訂し、2022年3月にはパブリックトイレ情報サイトを公開するなど、デジタルコミュニケーションを強化しました。

UDウェブサイトでは、必要な情報にアクセスしやすいよう、エンドユーザー向けとビジネスユーザー向けにページを分けています。また、フォントやコントラスト、直感的にわかりやすい操作性、画像の代替テキスト(alt属性)の設定など、障がいのある方や高齢者など様々な人が利用しやすいよう工夫し、アクセシビリティやユーザビリティの向上に取り組んでいます。

UDウェブサイト

UDウェブサイト

住まいにおけるユニバーサルデザイン推進

玄関ドア用電動オープナーシステム「DOAC」

LIXILが2020年9月に販売開始した玄関ドア用の電動オープナーシステム「DOAC」は、玄関ドアに触れることなく、リモコンで鍵の施錠・解錠やドアの開閉を操作できるため、身体に障がいのある方や高齢者など、どなたでも快適に外出できるようになります。また、感染症対策としてタッチレスで玄関ドアを操作したいといったニーズにも対応した製品です。

2021年9月には、スマートフォンやApple Watchなどでのタップ操作、音声操作にも対応する新機能を追加しました。新規開発したDOACアプリを使えば、音声認識機能による操作で、鍵の施錠・解錠からドアの自動開閉まで可能になるなど、世界で初めて玄関ドアの「ハンズフリー操作」を実現しました。

リモコンやスマートフォンなどを持っていない場合でも、玄関ドアを軽く動かすだけで、全開位置まで自動で開く「オートアシスト機能」や、異常な接触を感知すると動作を停止する「挟まれ検知機能」など、家族みんなの使いやすさや安全・安心を追求しています。また、今あるドアや鍵はそのまま使える後付け工法を実現し、1日でリフォーム工事が完了するなど、多様な環境に迅速に対応できます。

「DOAC」は、世の中にない付加価値の高い製品やサービスを開発する新規事業部門「ビジネスインキュベーションセンター」で開発されました。様々な車椅子使用者へのインタビューを重ね、開発の初期段階から当事者を開発アドバイザーに迎えるなど、課題を抱える当事者とともに開発に取り組む「インクルーシブデザイン」の手法を取り入れています。

「DOAC」は、「第8回ソーシャルプロダクツ・アワード2021」において、2021年度のテーマ「障がい者の生きがいや働きがいにつながる商品・サービス」に基づき、ソーシャルプロダクツ賞を受賞しました。障がいのある方の自律的な行動範囲の拡大や多様な人の生活向上につながっている点、当事者とのコミュニケーションに基づいてニーズを的確に踏まえ、スピーディーに開発を進めた点などが評価されました。

※Apple Watchは米国および他の国々で登録されたApple Inc.の商標です。

DOAC

世界で初めて玄関ドアの「ハンズフリー操作」を実現

ソーシャルプロダクツ・アワードのアイコン

ソーシャルプロダクツ・アワード2021を受賞

入浴をサポートする泡シャワー「KINUAMI U」

LIXIL子会社の株式会社NITTO CERAは、2021年12月より全国の病院・介護施設向けに泡シャワー「KINUAMI U」の販売を開始しました。消火機器や消防車に使われている泡生成技術を応用し、専用ボディソープとお湯、そして多量の空気を混合することにより、シャワーヘッドから柔らかく温かい石鹸泡を放出する入浴介助製品です。

入浴介助は、石鹸の泡立てや洗身、お湯かけなど介護作業の中でも負担の大きい作業です。「KINUAMI U」は柔らかく温かい泡を大量につくりだすことができ、泡で全身を包み込むことで他者を洗身できるため、介助者の作業負担を軽減します。被介助者にとっても温かい泡で全身を包み込まれることで快適に入浴ができ、肌を見られることへの抵抗感も軽減します。

LIXILは、NITTO CERAとともにクラウドファンディングサービス「Makuake」を活用したマーケティング手法を導入し、「KINUAMI U」の開発に取り組みました。クラウドファンディングでは、目標の100万円を大きく超える5,000万円以上の金額を達成したほか、介護領域における高いニーズを把握することにつながり、試験運用を経て、全国の病院や介護施設に向け販売が開始されました。今後も、より多くの方に安心・安全な介助の現場を提供していきます。

介助者の作業負担を軽減する泡シャワー「KINUAMI U」

介助者の作業負担を軽減する泡シャワー「KINUAMI U」

インクルーシブなパブリックトイレへの取り組み

共生社会の実現において最も大きな「障壁」の一つである外出時のトイレの課題を解決するため、LIXILは「誰もが安心して快適に利用できるパブリックトイレ」の実現を目指しています。

移動型バリアフリートイレ「モバイルトイレ」

LIXILは、トヨタ自動車株式会社と共同で、車椅子使用者が外出先でも安心して使える移動型バリアフリートイレ「モバイルトイレ」を開発しました。車両に搭載して移動できるため、必要に応じてどこにでも設置できます。バリアフリートイレが不足するスポーツ観戦などの各種イベント会場に設置することで、車椅子使用者の活動の幅を広げる一助となります。

開発にあたっては、車椅子使用者をはじめ、パラアスリートや福祉工学の専門家などにヒアリングを重ねました。その結果、単なるバリアフリー設計にとどまらず、「介助者の手を借りずに一人で乗り込みたい」「気分が悪いときに、横になれるとありがたい」といった生の声を活かした工夫を随所に施しています。

こうした取り組みを通して、障がいの有無にかかわらず、誰もが行きたい場所に行き、やりたいことに挑戦できる社会の実現に貢献しています。

様々な場所に移動可能なモバイルトイレ

様々な場所に移動可能なモバイルトイレ

自分に合う個室を選べる「オルタナティブ・トイレ」

LIXILは2020年3月期に社屋の「HOSHI」棟に「オルタナティブ・トイレ」を設置しました。

「オルタナティブ・トイレ」は、男性、女性、大人、子ども、健常者、障がい者といった枠をなくした、誰もが用途に合わせて自由に場所を選べるトイレです。トランスジェンダーの方などが男女に区分されたパブリックトイレを利用しづらいといった課題を踏まえ、多様なニーズに対応するオールジェンダー利用を想定したトイレとして開発されました。

空間入り口にある空室表示モニターには「自分にあった個室をお選びください」と記され、パブリックな中央通路の両側には誰でも使えるトイレを配置し、さらに進んで回り込んだ死角部分に、男女別のトイレと手洗いコーナーを設けることで、利用者が人目を意識することなく、最適なトイレを選択しやすい環境が整えられています。

LIXILの「オルタナティブ・トイレ」は、2020年度グッドデザイン賞を受賞しました。

オルタナティブ・トイレ

誰もが用途に合わせて自由に場所を選べる「オルタナティブ・トイレ」

誰もが使いやすいパブリックトイレ空間を提案

LIXILが2021年7月~9月にかけて開設した「LIXIL PARK」では、「安心と快適を、すべての人に。」をコンセプトに、どんな場所でも自由な空間づくりが可能な可動式アメニティブース「withCUBE」を活用して、性別トイレではなく、コト別トイレを設置しました。車椅子使用者、オストメイトの方※1、乳幼児連れの方、それぞれに配慮して機能を分散した男女共用のトイレ個室を5種類、その他授乳室やカームダウン・クールダウン室※2の2種類の個室空間を用意するなど、新たなパブリックトイレ空間を提案しました。

※1オストメイト:がんなどにより、直腸や膀胱の機能に障がいができ、腹部に人工膀胱や人工肛門を造設した人のこと。

※2カームダウン・クールダウン室:外部の音を遮り気持ちを落ち着かせることができる空間。パニックになったときに落ち着ける場所として、またパニックを未然に防ぐための場所。発達障がいの方、知的障がいの方、精神障がいの方、認知症者などの利用が想定されます。

LIXIL PARK全景

LIXIL PARK全景

多様なニーズに合わせ機能を分散したトイレ個室

多様なニーズに合わせ機能を分散したトイレ個室

情報プラットフォーム「LIXILパブリックトイレラボ」

パブリックトイレの情報を集約した「LIXILパブリックトイレラボ」を、2022年3月にUDウェブサイト内に開設しました。このサイトでは、「トイレへのアクセス」を人権やSDGsの観点から捉えています。パブリックトイレに関するLIXILの考え方や提案を具体的に伝え、利用者とともに考えていくためのツールとしてサイトを活用していきます。

従業員向けユニバーサルデザイン教育

LIXILでは、従業員がUDに関する知識を深め、お客さまに寄り添った応対・提案をできるよう営業部門を対象とした教育を実施しています。2022年3月期は、主に高齢者の安心・安全な住まいづくりに向けた提案力の向上を目指した研修などを行いました。その一つとして、ショールームで接客を行うコーディネーター向けに、住宅のトイレや浴室、キッチンなどにおける空間設計の配慮ポイントや提案製品、介護保険制度などの制度について学ぶオンライン研修を全6回実施し、約1,000人が受講しました。

また、事業強化を行っている高齢者施設向けの提案力向上を目指して、カタログ「高齢者施設プランニングブック」を制作し、建築設計や設備設計、ゼネコン向けの営業を担当する従業員を対象としたオンライン研修を全5回実施し、約300人が参加しました。

その他、UDに関する幅広い情報やコンテンツを配信する社内向けのサイトを2022年4月に新設しました。

多様性への理解を広める活動

LIXILは、多様な人びとがお互いを尊重しながら活き活きと暮らすことができる「ユニバーサル社会」の実現に向け、小学生への教育活動を行っています。

日本全国の小学校で開催している「ユニバーサル・ラン〈スポーツ義足体験授業〉」では、スポーツ義足の体験や義足使用者とのコミュニケーション、UDに関する授業に取り組んでいます。

また出前授業「ひとりにいい、みんなにいい、ずっといい~ユニバーサルデザイン~」では、LIXILの従業員が講師となり、独自の教材によりUDを小学生に伝えています。街や家にある身近なUDを知ることで、性別、年齢、国籍、障がいの有無などの多様性に関する理解を深め、自分たちができることを考え、行動するきっかけとなることを目指します。

出前授業の様子

出前授業の様子

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