パートナーシップを通じたインパクトの拡大

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考え方

LIXILは、SATO事業やLIXIL Public Partners (LPP)をはじめとする取り組みを基軸に、2025年までに1億人の衛生環境の改善を通じて生活の質の向上に貢献するという目標の実現に取り組んでいます。衛生課題に対するインパクトの最大化に向けて、エンドユーザーのニーズに応える製品・サービスの開発やその提供にとどまることなく、職人や配管工を含む地域人材の育成や、国内外で影響力のある組織・団体とのパートナーシップなど、様々な取り組みを実施しています。

持続可能な衛生市場創出に向けた地域の人材育成

LIXILは、SATOブランド製品の導入による効果やインパクトを最大化させるため、製品開発のみならず、現地のメーカーやNGOと連携し、現地での生産・販売網の構築を進めています。Make(作る)、Sell(売る)、Use(使う)というサイクルを回し続けることで、事業や雇用を生み出し、衛生環境の継続的な改善を可能にしています。こうした取り組みを通じて、地域における持続可能な衛生市場の創出を目指しています。

Make(作る)、Sell (売る)、Use(使う)サイクルのイメージ図

その重要な施策として、SATOトイレの設置を担う現地の職人や配管工の育成に取り組んでいます。これまでインド、ウガンダ、ナイジェリア、タンザニアなどにおいて、NGOや国際機関と協働で無料研修プログラムを実施し、主に若年層や女性など24,000人以上が参加しました。こうした取り組みは、参加者の施工スキル向上や収入の拡大につながっているほか、現地の職人や販売店などにおいて需要を創出する機会にもなっています。

ウガンダでの研修の様子

ウガンダでの研修の様子

衛生ソリューションの普及啓発

インドのSATOトイレ・エクスプレス・キャンペーン

消費者にリーチし、エンゲージメントを図るため様々なマーケティングコミュニケーション活動を展開しています。その一環として、SATO製品を使用することの利点や衛生環境の改善に取り組むことの重要性を伝えるキャンペーンをインドで実施しています。このキャンペーンでは、バンを改造したSATO製品の移動展示車で農村部や都市周辺部を巡回します。学校や地域のバザールに立ち寄りながら、安全な衛生環境の実現に向けて地域に直接働きかけるとともに、現地の職人や住民、その他の関係者に対してSATOブランドの認知向上を図っています。

学校における衛生環境の改善と衛生教育

LIXILは、トイレや手洗い設備の利用とその重要性に関する普及啓発を目指して、各地で様々な活動を行っています。

アフリカで展開している「学校トイレ改善プログラム(STEP)」では、学校のトイレを改修することで、不衛生な環境に起因する健康リスクを減らすとともに、生徒や保護者、近隣コミュニティの衛生習慣に対する意識向上を目的としています。2024年3月末までにアフリカの52校のトイレ、約69,000人の生徒を対象に実施しました。

ルワンダでは、政府主導のプログラムにより86校に1,400台のSATOトイレが設置され、10万3,200人の生徒が危険で不衛生な屋外トイレを使用する必要がなくなりました。また、日本におけるコーズ・リレーテッド・マーケティング(CRM)キャンペーンと連動して、ケニアでは2025年3月期末までに60校、22,300人の生徒に支援を拡大しました。

今後はさらに官民連携を通じてプロジェクトを拡大し、誰もが安心して使えるトイレを提供することで、あらゆる人びとに衛生ソリューションを提供することを目指します。

学校トイレ改善プログラム(STEP)

学校トイレ改善プログラム(STEP)

パートナーシップを通じたインパクトの拡大

革新的かつ低価格なトイレと手洗いソリューションの提供により、1億人の衛生環境の改善を通じて生活の質の向上に貢献するという野心的な目標を達成するには、水と衛生の分野に知見がある、影響力を持つ国際機関や各国の政府機関、専門機関、NGO、ビジネスパートナーと連携することが重要です。LIXILはこうしたパートナーシップを通じて、地域に合わせた製品開発や現地における生産・販売拠点の構築、人材の能力開発のほか、販売促進活動や意識啓発を通じた衛生ソリューションへの需要創出に取り組んでいます。

各国の業界団体や政府機関への働きかけを行っているユニセフのような重要なパートナーとの連携は極めて重要です。政府機関などへの働きかけを通じて、衛生環境の改善の取り組みによる恩恵を地域が直接受けることができるような政策をつくることができます。LIXILは、水と衛生分野におけるリーディングカンパニーとして、ロビー活動や政策提言を通じて、地域およびグローバルの衛生課題の解決につながる意思決定に貢献することを目指しています。関連当局やステークホルダーと建設的な関係を築き、その影響力を活かして、衛生分野の政策を良い方向に変えるための働きかけをしています。

ユニセフとの価値共有型パートナーシップ

国際連合児童基金(ユニセフ)

グローバル・パートナーシップ「MAKE A SPLASH!」は、LIXILとユニセフそれぞれの強みを組み合わせ、持続可能な開発目標(SDGs)のターゲット6.2「すべての人びとの、適切かつ平等な下水施設・衛生施設へのアクセスを達成し、野外での排泄をなくす」に向けた取り組みを加速させるものです。価値共有型パートナーシップ「MAKE A SPLASH!」を通じて、2025年3月末までにエチオピア、ケニア、タンザニア、インド、インドネシア、ナイジェリアを含む6ヵ国で1,600万人以上の衛生課題解決に貢献しました。この取り組みの成功は、コミュニティ主導型の総合衛生管理(CLTS)における支援のほか、消費者へのアプローチ、衛生市場の供給体制の強化、資金調達などの支援、衛生市場を支援する政策・制度の改善など、様々な側面からの支援の結果です。

MAKE A SPLASH!のロゴ

ユニセフは特定の企業やブランド、製品やサービスを推奨していません

2018年から開始した「MAKE A SPLASH!」は、これまでの経験を踏まえ、LIXILとユニセフのそれぞれの強みを活かしながら、今後もSDGsのターゲット6.2の達成に向け、取り組みを加速していきます。

支援対象国での活動に加え、LIXILではエンドユーザー、工務店などのプロユーザー、当社の従業員とともに衛生課題への意識を高める様々な活動を行っています。

SATOトイレ設置先の子どもたち

SATOトイレ設置先の子どもたち

  • 「みんなにキレイをプロジェクト」:一体型シャワートイレやキッチン用タッチレス水栓ナビッシュなどの売り上げの一部を寄付。キャンペーンは毎年3ヵ月間実施。(2023年3月期~2025年3月期:約6,380万円)
  • 「MAKE A SPLASH!with リクシルオーナーズクラブ」:リクシルオーナーズクラブの新規会員加入ごとに寄付。キャンペーンは毎年3ヵ月間、メールマガジンによる啓発活動も併せて実施(2021年3月期~2025年3月期:約774万円)
  • 「内田篤人と学ぼう!衛生アクションプロジェクト」:動画視聴やSNSアカウントへのアクションに応じた金額を寄付(2022年3月期:約70万円)
  • ヨーロッパ地域の13ヵ国を対象としたキャンペーン「Energy for Life」:GROHEブランドのシャワー製品などを1台購入ごとに売り上げの一部を寄付(2022年3月期:約120万ユーロ)
  • オランダ・ベルギーを対象とした寄付キャンペーン:GROHEブランドのシャワー製品キャンペーンと連動した寄付(2021年3月期:約14万ユーロ)
  • 従業員寄付プログラム「Team Splash」:従業員からの寄付(2019年3月期~2021年3月期:約1,700万円)
  • 「みんなにトイレをプロジェクト」:一体型シャワートイレの売り上げの一部を寄付(2020年3月期:約2,600万円)

※ LIXILからの寄付額を合わせた総額で、2023年3月期は1台につき1ドル、2024年3月期は1台につき135円、2025年3月期は1台につき150円で設定。寄付先はMAKE A SPLASH!の対象国であるケニア。

セクターを超えたパートナーシップ

ジョージア工科大学およびゲイツ財団

LIXILは、ジョージア工科大学およびゲイツ財団と連携し、衛生インフラへのアクセスが不十分な地域社会に画期的なソリューションを提供しています。ジョージア工科大学率いる共同開発チームが手がける「第2世代再発明トイレ(G2RT: Generation II Reinvented Toilet)」は、下水処理システムや浄化槽といった従来の衛生インフラへの接続を必要としない独立したトイレシステムであるため、より手軽に導入できる持続可能な衛生ソリューションです。4年間のパートナーシップと、現在も続く「Reinvent the Toilet Challenge(トイレ再発明チャレンジ)」におけるゲイツ財団との連携を経て、LIXILは2024年3月期にジョージア工科大学から初の商業ライセンスを取得しました。

G2RT

G2RTは従来の下水処理システム等に接続せず排泄物を処理する機能を備えた独立型トイレシステム

LIXILは、利用者のニーズの把握、デザイン、および製造における民間セクターとしての知見を活かし、G2RTや関連技術の実用化に取り組んでおり、G2RTのプロトタイプを低価格で耐久性のある実用的な製品とする開発を進めています。これらの技術を最も必要としている人びとに確実に届けるため、このセクターを超えた協働が重要な役割を果たしています。

LIXIL、ジョージア工科大学のReinvented Toilet技術の実用化に向け、初となるライセンス契約を締結 >

FINISH Mondial Foundation

LIXILとFINISH Mondial(現FINISH Mondial Foundation)は、グローバルな衛生課題の解決に向けて、2023年3月期に連携協力覚書を締結しました。当組織は、経済格差による衛生分野へのアクセス解消のため、コミュニティや事業者に対する資金面での支援やトイレ設置などを官民連携で推進しています。本連携を通じて、家庭内の衛生環境改善や衛生ビジネスの拡大に向けた融資などの金融サービスと組み合わせることで、SATOの衛生ソリューションへのアクセス向上に取り組んでいます。

FINISH Mondial Foundationとの連携について(別画面が開きます) >

ピースウィンズ・ジャパン

LIXILは、日本のNPO法人ピースウィンズ・ジャパンと連携し、ケニアにおいてコミュニティが主導する市場ベースの衛生ソリューションを提供しています。ピースウィンズ・ジャパンは、衛生設備の継続的な改善に必要なスキルと解決策をコミュニティに提供するため、地元の人びとを「コミュニティ・チャンピオン」として育成しています。コミュニティ・チャンピオンは、難民に対し、読み書きや金融・マーケティングに関する知識を伝授しています。このイニシアティブは、野外排泄の問題に取り組む上で大きなインパクトをもたらしただけでなく、コミュニティにおける有機的かつ自立的な衛生市場とサプライチェーンを構築しました。
また、ケニアのカクマ難民キャンプとカロベイエ総合居住区の衛生環境改善にも取り組んでいます。訓練を受けた120人の難民が運営する7つの衛生関連製品の販売店「Duka-Safi」への支援や、地域の販売員や技術者を育成しています。また、販売店を通じてSATOのトイレ製品を提供することで、LIXILは手頃で持続可能な、コミュニティ主導の衛生ソリューションを届けています。活動を通じて、これまでに10万人以上の生活の質の向上に貢献しました。また、気候変動による健康リスクへの耐性を高める、難民の起業家精神を育み自立を促す、環境に配慮した製品やサービスの提供により環境負荷を最小限にするなど、様々なインパクトを生み出しています。

ピースウィンズ・ジャパンとの連携について(英語・別画面が開きます) >

国際協力機構(JICA)

LIXILと独立行政法人国際協力機構(JICA)は、地域社会への働きかけに加えて、インドやアフリカ諸国の新興市場における衛生環境の改善や安全な水の確保などに向け、政府関係者や市民への啓発活動を連携して進めています。2021年3月期からはインドで手洗いなどの衛生習慣の啓発活動を、2025年3月期はアフリカ6ヵ国の公衆衛生に携わる行政官に向けて、世界の衛生習慣の課題に関する研修をJICAと共同でLIXILショールーム東京で実施しました。こうした啓発活動は、地域における公衆衛生の取り組みの推進や生活の質の向上において極めて重要な役割を担っています。

iDE、WFPなどのNGO

バングラデシュにおけるInternational Development Enterprises (iDE)やアフリカでのWater for Peopleとの協働など、様々なNGOと連携して活動することは、衛生ソリューションへのアクセス向上に向けた当社の戦略的アプローチを示す好例です。これらの団体と連携することで、LIXILはSATO製品の導入と持続的な普及促進に向けたバリューチェーンを確立することができます。さらに、これらのパートナーシップは、衛生ソリューションを推進する政策を支持したり、製品開発のための貴重なフィードバックを収集したりする上で、非常に重要です。このようなフィードバックサイクルを通じて、SATOの製品は変化する市場のニーズに応え続けながら、衛生ソリューションを提供することで地域社会の生活の質を向上させていきます。

米国国際開発庁(USAID)

LIXILが締結した5ヵ年の連携協定「Partnership for Better Living(PBL)」は、2025年2月の米国国際開発庁(USAID)で実施された大規模な組織再編と資金調達方針の変更により、3年で終了しました。この官民連携パートナーシップは、活動した3年間で、当初の目標の約2倍にあたる360万人に、生活に不可欠な衛生製品へのアクセスを提供しました。PBLがもたらした人びとの暮らしの改善と市場の変革は、この活動の大きな成果となりました。LIXILは、この活動で築いた基盤をもとに、引き続きSATO事業が目指す未来に向けて取り組みを継続していきます。

国際的イニシアティブにおけるリーダーシップ

Toilet Board Coalition (TBC)

Toilet Board Coalition(TBC)への参画は、連携による革新的な取り組みを通じて、グローバルな衛生課題の解決に対するLIXILの揺るぎない姿勢を明示するものです。共同設立メンバーとして、会長(2019年~2021年、2024年~2025年現在)を務めるほか、TBCの戦略や発展を指導するセクターのリーダーから成る運営委員会のメンバーなど、様々な中心的役割を担っています。今年で10年目となる基幹事業の「アクセラレータープログラム」にも積極的に参加し、衛生分野における事業の発展をサポートしています。同プログラムでは、起業家に対してビジネスモデルのコーチングやメンタリング、投資支援などを行い、事業の成長を加速させています。メンタープログラムの強化や投資機会の拡大、追加支援の提供に重点を置いたTBCの戦略は、衛生分野の中小企業などの組織力を強化し、持続可能な衛生ソリューションの創出に向けたインパクトを拡大していくことを目指しています。

Toilet Board Coalition (TBC)(英語・別画面が開きます) >
アクセラレータープログラム(英語・別画面が開きます) >

Climate Resilient Sanitation Coalition (CRSC)

Climate Resilient Sanitation Coalition(CRSC)への加盟は、LIXILの環境問題に対する積極的な姿勢と、持続可能な衛生環境に対する揺るぎない取り組みを明示するものです。COP27で結成されたCRSCへの参加を通じて、LIXILは衛生環境の改善と気候変動対策という2つの課題に取り組む強い意思を示しています。この連携は、気候変動に強い衛生ソリューションへの投資を促進し、長期的に信頼性と持続可能性が保証されたサービスを提供する上で不可欠です。持続可能で強靭な未来の創造に向けて、LIXILはユニセフ、世界銀行、WHO、ゲイツ財団といった卓越した組織とともにCRCSのメンバーとして、最前線で活動しています。

Climate Resilient Sanitation Coalition(英語・別画面が開きます) >

Sanitation and Water for All (すべての人に衛生と水を)

LIXILのCEOの瀬戸欣哉は、2023年10月に国連主催の「Sanitation and Water for All(すべての人に衛生と水を:SWA)」のグローバル・リーダーシップ評議会(Global Leadership Council) のメンバーに、民間企業として初めて任命されました。これは、LIXILの水と衛生の分野における取り組みとリーダーシップへの評価を表すものです。今回の任命は、SDGs、特に目標6「安全な水とトイレを世界中に」に基づくSWAの目標達成への貢献におけるLIXILの役割を明確に示しています。世界的な水と衛生の分野における課題に取り組むためには、セクターを超えた連携が非常に重要です。LIXILは400を超える各国政府、民間セクター、市民社会組織、その他の開発パートナーと共に参画し、すべての人が水と衛生設備を利用できるよう変化を起こし、セクターを超えた連携をこれまで以上に促進していくよう取り組んでいきます。

Sanitation and Water for All(英語・別画面が開きます) >

これからのトイレを考える

LIXILは、誰もが安全で衛生的なトイレや手洗い設備にアクセスできるよう取り組みを進めています。技術、設計、製品開発のエキスパートで構成されるチームが、最前線で新しいトイレシステムの開発を行っており、様々な組織とのパートナーシップのもと、イノベーションと実用的なソリューションを推進しています。

画期的なプロジェクトの一つに、「第2世代再発明トイレ(G2RT: Generation II Reinvented Toilet)」の開発があります。G2RTは、従来の衛生インフラに依存しない、排泄物をその場で処理するユニークな機能を備えた独立した家庭用システムで、世界の衛生習慣の向上に向けたLIXILの取り組みを飛躍させるものです。

SATOスタッフと顧客との現地打ち合わせの様子

同時に、SATO事業では、ピットトイレ用の低価格な処理システムに関するソリューションの研究に注力しています。SATO製品ポートフォリオの拡大を通じて、農村部や都市部周辺の地域のニーズに対応し、誰もがアクセスできる安全な衛生設備をすべての人に届けることを目指しています。

LIXILは、世界中の衛生環境に変革を起こすことを目指し、未来に向けて革新を続けていきます。

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