LIXILは、世界中の誰もが描く住まいの夢を実現するために、日々の暮らしの課題を解決する先進的なトイレ、お風呂、キッチンなどの水まわり製品と窓、ドア、インテリア、エクステリアなどの建材製品を開発、提供しています。
2022年3月期の主な取り組みと成果をご紹介します。
人権尊重は、LIXILの事業活動の基本であり、活動の基盤として位置付けられています。「LIXIL人権方針」のもと、潜在的な人権リスクを低減するために特に注力すべき分野として7つの「人権重要分野」を定め、人権尊重のための取り組みを推進しています。
2022年3月期は、人権尊重の取り組み強化に向け、2016年3月期に策定した人権方針の改定を行いました。人権に関する世界情勢や国際規範、ESG評価機関の評価項目などとともに、LIXILにおける人権重要分野や現状および課題などを踏まえながら、人権デューデリジェンス・タスクフォースを中心に人権方針に求められる要素を精査し、執行役会の承認およびCEOの署名のもとに改定を実施しました。改定プロセスや内容については、下記ページをご参照ください。
LIXILは、潜在的な人権リスクを特定し、リスクの低減に取り組むため、様々な手法を用いて人権デューデリジェンスを行っています。2021年3月期に、人権重要分野に密接に関わる部署の室長、部長以上の全役職者を対象に人権リスク調査を行った上で、2022年3月期は、国内外の全従業員(間接雇用を含む)を対象とする人権リスク調査を実施しました。
・実施時期:2021年11月
・対象範囲:(株)LIXILおよびグループ会社に所属する全従業員(間接雇用を含む)
・調査項目:LIXILの人権重要分野に関する23項目
・調査手法:オンラインによるアンケート調査(回答率:57%)
調査におけるポジティブな回答※1の割合は、全体平均で85%と非常に高い結果となりました。一方、わずかですがネガティブな回答※2も確認されました。分析の結果、潜在的な人権リスクにつながりうる点として、次のような傾向が把握されました。
・地域別:日本は他国と比較して、人権に関する取り組みへのポジティブな回答率が低い
・年齢別:年齢が高く、勤続年数が長くなるほど、人権に関する取り組みへのポジティブな回答率が低くなる
・役職別:管理職に対して一般職の方が、人権に関する取り組みへのポジティブな回答率が低い
・雇用形態別:正社員以外の雇用形態の従業員が多い事業ほど、人権に関する取り組みへのポジティブな回答率が低い
※1「そう思う」「ややそう思う」を選択した回答
※2「あまりそう思わない」「そう思わない」を選択した回答
調査で把握された潜在的な人権リスク分野については、リスクを低減するための計画を策定し、次の是正・救済措置を実施しています。取り組みの詳細については、下記ページをご参照ください。
リスク低減のための計画 | 取り組みの概要 |
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人権に対する理解を深めるための研修やワークショップなどの実施と強化(懸念報告[内部通報]制度や労働組合活動に関する理解促進も含む) | ・コンプライアンスや情報セキュリティ、D&Iなどに関する啓発教育 ・社内SNSでの人権に関する情報発信など ・さらに今後、世界人権デーに合わせた人権教育の実施や社外専門家を招いたセミナーの実施などを予定 |
キャリア形成に関するコミュニケーションと取り組みの強化 | ・女性活躍を推進 ・多様なライフステージや柔軟な働き方をサポートする制度の拡充 ・その他、成長志向の醸成・実力主義の徹底・D&Iの推進に向けた人事制度改革を実施 |
業務時間の適正化や過重労働防止に向けた施策強化、休暇取得の推進 | ・時間管理などに関する情報発信 ・様々な休暇制度の創設と取得の推進など ・従業員が働きやすい労働環境を構築するためには、管理職の役割が重要であることから、さらに今後管理職の育成強化を予定 |
従業員意識調査「LIXIL VOICE」(年2回実施)において、LIXILの人権重要分野についての状況把握を適宜行います。調査において特定された潜在的な人権リスクが高い項目については、問題の詳細分析のための追加調査を別途行うなどして、課題の把握および対応を確実に行っていきます。
LIXILのPurpose(存在意義)である「世界中の誰もが願う、豊かで快適な住まいの実現」を目指して、様々な社会課題の解決に貢献していくためには、あらゆるステークホルダーとの連携が必要不可欠です。 2022年3月期は、下記のとおり、ステークホルダーとの関係強化に取り組みました。以下のページもご参照ください。
2021年4月に開催した第1回ESG説明会に続き、2022年5月に第2回をオンラインで開催し、CEOおよびCR委員長、独立社外取締役2人が登壇しました。「Transformation for Impact」と題し、事業環境におけるパラダイムシフトや変革に焦点を当てた取り組みを説明しました。
環境面では、気候変動など外部環境の変化による様々なリスクと機会への対応策として、環境ガバナンス体制やTCFD提言に沿ったシナリオ分析結果、目標と進捗、環境負荷低減の取り組みについて説明を行いました。また、社会面に関しては、インクルーシブな文化の土台構築に向けた取り組みや人事戦略、グローバルな衛生課題の解決に向けたSATO事業などの取り組みの成果を紹介しました。ガバナンス面では、取締役会の監督体制・機能の進化、指名委員会におけるガバナンス進化の取り組みについて説明を行いました。また、質疑応答を通じて、ステークホルダーとのコミュニケーションを図りました。
2022年ESG説明会 >
ステークホルダーエンゲージメント >
LIXILは、優先取り組み分野である「グローバルな衛生課題の解決」に向け、2018年に国際連合児童基金(ユニセフ)とグローバルパートナーシップ「MAKE A SPLASH!」を締結しました。両者それぞれの強みを活かして、衛生製品やサービスの入手可能性、価格、品質を向上させ、より多くの人びとがアクセスできる持続可能な衛生市場の構築を目指しています。子どもたちとその家族が屋外での排泄をなくし、手頃な価格で魅力的なソリューションを提供できるよう、マーケット主導型のプログラムを展開するほか、衛生教育、サプライチェーン構築や人材育成、政府機関へのアドボカシー活動などを行っています。
これまでエチオピア、ケニア、タンザニアにおいて、290万人の衛生環境の改善に貢献してきました。こうした成果を踏まえ、活動地域を世界でも特に人口の多いインド、インドネシア、ナイジェリアへ拡大することを2021年11月に発表しました。対象地域の拡大に加え、活動範囲も拡大して、次の取り組みを強化していく予定です。
・衛生需要喚起活動やニーズに応じたソリューションの提供
・開発途上国の衛生市場の成長に向け、現地サプライヤーや消費者などの資金調達につながる機会創出の支援
・各国の目標と戦略を踏まえた、政策や制度設計の支援
LIXILでは、ステークホルダーから長期的な信頼を獲得し、社会とともに持続可能な成長を続けるため、迅速で透明性の高い情報開示を推進しています。
環境活動に関する情報開示については、2019年3月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)への賛同を表明し、TCFDの開示推奨項目に基づいた情報開示を行っています。2020年3月期には、環境省の「令和元年度TCFDに沿った気候リスク・機会のシナリオ分析支援事業」のもと、LIXIL Housing Technology (LHT) のサッシ・ドア事業とZEH推進事業についてシナリオ分析を実施しました。
2022年3月期は、TCFD提言に基づく情報開示の強化に取り組みました。シナリオ分析の対象事業を、LIXIL Water Technology (LWT) JapanおよびLIXIL Internationalに拡大し、機会およびリスクの分析を行うとともに、対応策の立案を進めました。また、これらの分析および対応策など詳細について情報開示したウェブページを、2022年6月に開設しました。
LIXILは、衛生環境や健康的な住まいを支える企業として、お客さまや従業員、地域社会を守るため、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に取り組むグローバルチームを設け、対策を進めています。
2021年3月期には、ニューノーマルにおける組織の指針を示すグローバル・フレームワークを策定し、情勢に合わせ更新しています。
また、コロナ禍における様々なニーズを踏まえ、働き方改革やデジタル化、製品開発、グローバル展開などの取り組みを推進しています。
COVID-19の感染拡大防止策として、手洗いは有効な手段です。しかし、開発途上国を中心に、水やせっけんなどが手に入らず、手洗い設備や手洗い習慣がないといった課題が多くあります。世界人口の3人に1人にあたる約23億人が、家庭で基本的な手洗い設備を利用できていません。
2020年に開発されたSATO Tapは、ペットボトル内の水と重力を利用して、最小限の水量を無駄なく安定して放出する製品です。開発途上国などあらゆる地域で広く利用できるよう、多様な大きさや形状のペットボトルに対応した設計になっており、また2つのプラスチック部品で構成されるシンプルな設計と生産方法により、低コスト・低価格を実現しています。
2022年3月期は、COVID-19対策として、アフリカおよび東アジア・南アジアの計11ヵ国において、37万台を寄贈しました。今後は、SATO Tapの商業展開に向けた準備を進めながら、ユニセフとのパートナーシップを通じて、COVID-19の感染拡大防止に向けて、手洗い・衛生分野の活動を推進していきます。
ペットボトルを活用した手洗いステーション「SATO Tap」
タッチレス機能や高い換気性能を持つ製品、在宅勤務に対応した製品、オンラインによるショールーム接客サービス、住まいの換気対策に関する情報などを提供しています。
・オンラインによるショールーム接客サービスやセミナー、営業活動の展開、多様なデジタルツールを通じたサービス強化
・COVID-19感染防止への対応として、タッチレスの水栓、IoT化で触れずに操作できる商品、優れた換気性能を持つ商品、在宅勤務に対応した商品などの強化
・非常事態への対応として、複数拠点によるグローバルな生産体制の構築やサプライチェーンの統合・連携強化などを推進
・「住まいの換気対策」などの啓発情報発信
タッチレス水栓「ナビッシュハンズフリー」
在宅勤務などの柔軟な勤務制度の推進や、デジタルツールによる社内コミュニケーション促進、感染予防策などに関する情報発信に取り組んでいます。また、従業員へのCOVID-19対応費用の支給を行っており、2022年3月期は現場での作業や接客を伴う業務に関わる従業員を対象に実施しました。工場などでも柔軟な勤務体制の構築や衛生管理の強化を実施しています。
・EMENA地域のCOVID-19タスクフォースをはじめ、各地域で従業員をサポートする体制を整備
・これまで導入を進めてきたデジタル技術の基盤による、在宅勤務へのスムーズな移行、世界各地の経営層と従業員のタウンホールミーティングの実施、オンライン研修の実施
・フレックスタイムや在宅勤務制度、デジタルツールを活用した社内コミュニケーションのさらなる推進
・工場などにおける柔軟なシフト体制や公共交通機関を利用せずに通勤できる体制の構築、衛生管理の強化を実施
・社内SNSなどを通じて、感染予防策やメンタルヘルスケア、在宅コミュニケーションなどの情報配信
・COVID-19ワクチンの職域接種の実施、および接種に関するガイドラインの策定
・国内・海外すべての従業員に、COVID-19対応費用の支給
- 2020年3月期:国内外全従業員に50,000円分の一時金
- 2021年3月期:国内外全従業員に200米ドル分の特別手当
- 2022年3月期:現場での作業や接客を伴う業務に関わる従業員に、30,000円相当の特別手当
・国内従業員向けに、子どもを持つ従業員への支援として、衛生課題を学ぶデジタル教材を提供
子どもを持つ従業員向けに提供された、衛生課題を学ぶデジタル教材
世界各地で、COVID-19感染拡大防止に貢献する製品の開発に取り組むとともに、地域への衛生用品・設備の寄贈活動や、衛生習慣の啓発活動を行っています。
・COVID-19感染拡大防止に貢献する製品やサービスのアイディアを共有・実現する、従業員有志によるワーキンググループの設立
・世界各地で衛生用品・設備の寄贈活動を展開
- 地域コミュニティに消毒剤やせっけん、マスクなど衛生用品、手洗い設備などを寄贈(中国、インド、エチオピア他)
- COVID-19治療患者に対する生活必需品や衛生用品の寄贈(タイ)
・手洗い習慣についての啓発活動(中国、インド他)
・開発途上国向け簡易式トイレシステム「SATO」と、これに付随して設置される手洗い設備の展開を通して、衛生環境の改善や手洗い習慣の普及を推進し、COVID-19の感染拡大防止に貢献
世界各地の従業員有志による、衛生用品の制作や寄贈などの支援活動