リーダーズメッセージ

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リーダー対談
未来に向けたイノベーションでインパクトを創出

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  • 取締役 代表執行役社長 兼 CEO 瀬戸 欣哉 (左)
  • 取締役 代表執行役専務 人事・広報・渉外・Impact戦略 担当 兼 Chief People Officer ジン・ソン・モンテサーノ (右)
  • LIXILは、長年推進してきた社会課題に対する取り組みを、より深く事業の中核に根付かせるために、2023年に「コーポレート・レスポンシビリティ戦略」から「インパクト戦略」へと移行しました。3つの優先取り組み分野は維持しつつ、より明確な計画と目標を設定し、戦略の実行を進めています。インパクト戦略の事業活動への統合は、製品イノベーションの創出や働き方、従業員の意識改革に至るまで、着実に進んでいます。今回、インパクト戦略室は、LIXILを率いる瀬戸欣哉とジン・ソン・モンテサーノに、インパクト戦略の最新の進捗状況と二人の見解を聞きました。

    まず初めに、インパクト戦略がLIXIL Playbookの中核をなす理由について、お聞かせください。

    瀬戸: LIXILでは、「世界中の誰もが願う、豊かで快適な住まいの実現」という私たちのPurpose(存在意義)の実現に向け、事業活動を通じて企業価値を高めるとともに、社会・環境課題の解決にインパクト(良い影響)を創出することに注力しています。LIXIL Playbookは、全従業員が持続的な成長と価値創造を実現するための道しるべとなる当社の基本的方向性を示しています。その基盤の一部を形成し、中核をなすのがインパクト戦略です。世界的な社会課題のうち緊急性が高く、またLIXILが専門性を活かして大きなインパクトを生み出すことができる3つの優先取り組み分野を定めています。

    インパクトを創出するためにはイノベーションが不可欠であり、そのイノベーションの追求が、私たちの事業価値の向上につながります。このインパクト戦略に基づき、私たちは環境や社会にインパクトをもたらす製品やソリューションの開発を着実に進めています。そのいくつかについて、後ほど詳しくお話しします。

    瀬戸 欣哉とジン・ソン・モンテサーノ

    モンテサーノ: 補足しますと、LIXILの価値創造の根幹を支えるのは従業員です。インパクト戦略における多様性の尊重の取り組みを通じて、企業文化や従業員の意識に前向きな変化が生まれています。詳しくは、多様性の尊重のセクションでお話したいと思います。

    重要課題の更新

    2025年3月期に重要課題を更新しました。どのような点が更新されたのでしょうか。また、LIXILにとってこの更新を行うことはなぜ重要だったのでしょうか。

    モンテサーノ: LIXILでは、重要課題の特定・評価、検証を定期的に行い、当社の事業戦略、ステークホルダーからの期待、そして現在の社会情勢と整合していることを確認しています。2025年3月期には、欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)に基づく「ダブルマテリアリティ」の考え方を取り入れた評価を初めて実施しました。この評価は、環境・社会・ガバナンス(ESG)の要素が当社の事業に与える影響(財務的マテリアリティ)と、当社の事業活動が社会・環境に与える影響(インパクトマテリアリティ)の双方を把握することで、LIXILが創出するインパクトの最大化を図ることを目的としています。

    今回の特定プロセスでは、投資家、サプライヤー、顧客、従業員などのステークホルダーと幅広く対話し、皆さまが持つ多様な視点からの、貴重な意見を得ることができました。

    これらのフィードバックに加え、潜在的な重要課題に対する影響・リスク・機会の分析、およびグローバル・スタンダードを考慮して、LIXILの重要課題を21項目から13項目に絞り込みました。これまでより焦点を絞った取り組みが可能となり、より大きなインパクトを創出できると思います。

    今回更新した重要課題は、グローバル・ベストプラクティスに沿っており、LIXILの現在および将来の目標設定の指針となり、情報開示を強化するとともに、企業サステナビリティ報告指令(CSRD)のような、時代や環境の変化とともに進化し続ける開示要件への対応を確実にするものでもあります。

    瀬戸: 重要課題の更新プロセスを通じて貴重なご意見をお寄せいただいたすべてのステークホルダーの皆さまに感謝申し上げます。このプロセスを通じて、現行のインパクト戦略の有効性を再確認するとともに、重要課題をさらに精緻化・合理化し、事業、インパクト、環境、そして人事戦略間の整合性を一層強化することができました。なお重要課題は更新しましたが、インパクト戦略の3つの優先取り組み分野は引き続き揺るぎないコミットメントをもって取り組んでいます。

    グローバルな衛生課題の解決

    今年は世界の1億人の衛生環境を改善するという目標年にあたりますが、達成に向けた進捗状況はいかがですか?

    モンテサーノ: LIXILは、革新的で低価格なトイレや手洗いソリューションを普及させることで、この野心的な目標の達成に取り組んできました。2025年3月期末時点で、SATO製品の累計出荷台数は約944万台に達し、46カ国で約8,200万人の衛生環境が改善されるなど、著しい進展を遂げています。前期からの増加は、一般家庭での利用に加え、学校や大規模な宗教的集会、難民キャンプといった利用頻度の高い公共施設での導入が進んだことを反映しています。

    また、SATO事業は、インド亜大陸における活動に関してはIAESPH (International Academy of Environmental Sanitation and Public Health)と、東アフリカおよびインドでの活動に関してWater for Peopleと新たにパートナーシップを締結しました。これらのパートナーシップを活用し、SATOのトイレ製品や手洗い製品を地域社会に普及させ、持続可能な衛生市場のエコシステムを構築することで、インパクトの拡大を図ります。

    ジン・ソン・モンテサーノ

    中東で続く人道危機に伴い、衛生改善に関する緊急のニーズがますます急務となっています。よって、SATO事業は必要不可欠な衛生インフラを提供するため、戦略的パートナーシップを通じてSATOの設備キットや手洗いソリューションを供給しました。緊急時や人道危機下においても誰一人取り残されることのないよう、今後もすべてのパートナーと緊密に連携し、世界中で持続可能な衛生環境へのアクセスを拡大するための取り組みを続けていきます。

    1億人という目標の達成が目前に迫っていますが、これまでの成果は十分だとお考えでしょうか。また、2026年3月期以降の計画についてお聞かせください。

    瀬戸: 次の目標については現在検討中ですが、はっきりと言えるのは、1億人という数値目標の達成はゴールではなく、私たちの取り組みにおける一つの通過点に過ぎないということです。この目標は、国連の2030年までに持続可能な開発目標(SDGs)ターゲット6.2「2030年までに、すべての人びとの、適切かつ平等な下水施設・衛生施設へのアクセスを達成し、野外での排泄をなくす」への貢献を最大化するために、革新的なビジネスモデルを大規模に展開することに挑戦するべく、意図的に高く設定したものでした。これまでの当社の進捗を誇りに思いますが、現実は厳しく、世界では2024年時点で、依然として34億人が安全に管理された衛生施設を利用できておらず、約17億人が家庭で基本的な衛生サービスを受けられていません。そのうち、手洗い設備が全くない人びとは6億1,100万人にのぼり、10億人は石鹸や水が利用できないなど、限られた環境でしか手洗いができていません。

    この状況を打破するためには、衛生環境を改善する取り組みをさらに加速・拡大し続ける必要がありますが、これはLIXILだけで成し遂げられることではありません。私たちは引き続き、外部パートナーとの連携を通じて、各地域で雇用を創出し豊かさを育む、現地での製造、販売、設置からなる持続可能なエコシステムを構築すること、そして、地域固有のニーズに応えるためのさらなるイノベーションを推進することに注力していきます。最終的には、世界の衛生危機を「社会的なコスト・負担」から、「サニテーション・エコノミー(衛生経済)の発展」へと転換することを目指しています。

    衛生課題の解決において注目すべきイノベーションについて教えてください。

    瀬戸: はい、SATOの製品ラインナップに最近加わった製品を紹介します。「SATO SuperStructure」は、耐久性に優れ、簡単に設置できるトイレシェルターです。安全な衛生環境に不可欠なのは、プライバシーと尊厳を守ることですが、衛生環境が十分に整備されていないコミュニティや災害救援の現場では、それが課題となることがあります。「SATO SuperStructure」は、モジュール設計のため、他のSATO製品と組み合わせることで、衛生環境へのアクセスを大幅に改善する、信頼性の高い包括的な衛生ソリューションの提供を可能にします。また、最小限の工具で素早く組み立てられるため、人道支援の現場での使用にも最適です。私たちは今後も、世界中の人々が安全で尊厳のある衛生環境を利用できるよう、イノベーションに注力していきます。

    水の保全と環境保護

    水の保全と環境保護に関する目標の達成状況と課題について教えてください。

    モンテサーノ: 「LIXIL環境ビジョン2050」に基づき、バリューチェーン全体で環境負荷の削減に取り組んでいます。環境に関する多くの目標に対して、大きな進展を遂げていますが、残念ながら2025年3月期までに節水製品の販売を通じた水使用削減貢献量を年間20億m3に達成させる目標については、対象となる製品の販売が想定を下回り、節水貢献量16億m3と未達となりました。しかし、この結果を受けて、私たちの決意はさらに強まりました。引き続き水の保全に真摯に取り組み、目標年を2031年3月期に見直した上で、年間20億m3の水使用削減貢献量を達成することを目指して活動していきます。

    環境分野における最近のイノベーションについて、教えてください。

    瀬戸: 2025年3月期には、欧州でGROHEブランドから2つの環境配慮型製品をローンチしました。循環型シャワーシステム「Everstream」は、シャワーのお湯を衛生的に処理・加熱して再利用することで、従来のシャワーと比較して最大75%の節水と最大69%の省エネを実現します。もう一つの新製品である「Rapido Heat Recovery」というシャワーシステムは、温かい排水が持つ熱エネルギーのみを再利用する、よりシンプルであるものの効果的な仕組みで、エネルギーコストとCO2排出量を最大48%削減します。

    瀬戸 欣哉

    これらの製品は、シャワーの快適な浴び心地を損なうことなく貴重な資源の保全に貢献するものであり、このようなイノベージョンが実現できたことを非常に嬉しく思います。LIXILは、「世界中の誰もが願う、豊かで快適な住まいの実現」に全力で取り組んでいます。当社では、環境戦略を事業戦略に組み込んで推進しており、今後も快適な暮らしを損なうことなく、社会と環境にインパクトをもたらす革新的な製品の研究開発を加速させていきます。

    2年前、LIXILは自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)に賛同し、「TNFD Early Adopter(早期採用者)」に登録しました。TNFD提言に基づく情報開示の進捗状況はいかがでしょうか?

    モンテサーノ: 2025年6月に2回目となる情報開示レポートを発行しました。今回はTNFDが提唱するLEAP(Locate/発見, Evaluate/診断, Assess/評価, Prepare/準備)アプローチに基づく分析において、大きく前進させました。具体的には、今年は、ウォーターテクノロジーとハウジングテクノロジーの両事業で使用する主要な原材料について、昨年のアルミと木材に加え、分析対象を銅とセラミックにも拡大しました。これにより、Science Based Targets Network(SBTN)の「High Impact Commodity List(自然への影響が大きい原材料リスト)」に該当する原材料の90%以上の評価を完了したことになります。また、比較分析を通じて、金属などの原材料の使用が環境に与える影響を精査し、アルミや銅などのリサイクル材の使用を増やすことで、自然資本への依存と影響を大幅に削減できることが明らかになりました。今回の分析結果を環境戦略に反映させ、イノベーションを通じて環境課題に取り組むことで、社会へのさらなる貢献を目指します。

    多様性の尊重

    LIXILは、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)に向けた取り組みをどのように継続していますか?

    モンテサーノ: LIXILは、従業員一人ひとりが能力を最大限に発揮できる、インクルーシブな職場環境を育むことが、持続的な成長に不可欠であると考えています。すべての従業員にとってインクルーシブな企業文化を構築することが、LIXILのPurposeを追求していく上で重要です。当社は世界150カ国で事業を展開するグローバル企業であり、「ダイバーシティ」はまさに当社の当たり前の姿だと言えます。私たちは皆、異なる背景やライフステージ、独自の視点を持ちながら、職場や家庭においてさまざまな役割を担っています。その多様性を力に変えるのが「インクルージョン」です。すべての人に機会を提供し、違いを受け入れ、公平性を育むことです。そして、従業員がありのままの自分を発揮できる職場環境を提供することです。私たちは、誰もが平等に尊重され、互いに支えあいながら、成長と成功の機会をつかむことができるような企業文化の醸成に力を注いでいます。

    D&Iの取り組みを始めてから、私たちは大きな進歩を遂げてきました。従業員同士のコラボレーションはもちろん、ビジネスパートナーの皆さまとの連携においても、従業員の意識が変化していることを喜ばしく感じています。また、目標の達成に向けて着実に進展しており、2025年3月期末時点の女性比率は、取締役・執行役で37.5%*、管理職で17.4%、新卒採用で47.8%と向上しています。また、2025年3月期に実施した従業員意識調査「LIXIL Voice」では、エンゲージメントスコアが72%、回答率が90%という高い結果となり、従業員のエンゲージメントの高さを物語っています。

    これまでの進捗に確かな手ごたえを感じていますが、決して現状に満足してはいけないと考えています。重要課題の評価から、人口動態の変化が世界の労働力に大きな影響を与えていることが明らかになっています。今後10年に渡り、様々な課題を乗り越え、機会を活かすためには、強固な企業文化と積極的な人材マネジメントが不可欠です。従業員は、LIXILにとって最も貴重な資産です。だからこそ、従業員のウェルビーイングを優先し、エンゲージメントと生産性を促進する職場環境を創出することは、LIXILが人材を確保し競争力を維持する上で、ますます重要になります。さらに、よりインクルーシブな社会の実現に向けて、ビジネスパートナーのD&Iの取り組みをLIXILが率先して支援することも私たちの重要な責務です。

    こうした考えのもと、LIXILは社内にとどまらず、社会全体へと働きかけ、変化を加速させる施策を実行しています。具体的には、女子学生や社会人女性を対象とした社外向けイベント、オープンな対話と課題解決を促す女性従業員と経営層の座談会、そして多様な視点を活かして推進力を高めるための社内外との様々なコラボレーションなどの新たな施策にも積極的に取り組んでいます。こうした取り組みを通じて、バリューチェーン全体にわたってインパクトを拡大し、よりインクルーシブな社会の実現に貢献していきます。

    ジン・ソン・モンテサーノ

    瀬戸: LIXILのようなグローバル企業にとって、インクルーシブな企業文化が、新たな製品やサービスを生み出すイノベーションの原動力となります。また、より広範な顧客層にアプローチできることで、社会課題に解決に貢献し、長期的にインパクトを創出し続けることができます。D&I推進の成果は、すでにグローバルな研究開発体制におけるイノベーションの加速で実感しています。私たちはこの歩みを止めることなく、インクルーシブな職場と社会の実現に向けた取り組みをさらに強化していきます。

    インパクト戦略のさらなる推進

    最後に、インパクト戦略を着実に実行していくことは、LIXILという企業およびその従業員や製品・サービスを他社と差別化する上で、重要な要素だと思いますか?

    モンテサーノ: まさにその通りだと思います。もちろん常に改善の余地はありますが、総じて大きな進展を遂げており、それは社外からの評価でも明らかです。2025年3月期にいただいた様々な評価の中でも特に注目していただきたいのは、S&P Global社の「The Sustainability Yearbook 2025」において、初めて所属する業界の最高評価である「Top 1% S&P Global Corporate Sustainability Assessment (CSA) Score」に選定されたことです。他にも、MSCI ESG格付けでは3年連続で最高評価の「AAA」を、「PRIDE指標2024」では「ゴールド」を獲得しました。

    瀬戸: ジンさんが今述べた社外評価は、LIXILの戦略、コミットメント、そして活動が、ステークホルダーの皆さまからの高まる期待と一致していることの現れであり、これまでの成果を誇りに思います。こうしたグローバルな評価は、従業員やビジネスパートナーの誇りとなると共に、将来の人材獲得や新たな事業機会においても「選ばれる企業」となる上で、極めて重要です。これからも、LIXILのインパクト戦略を事業のあらゆる側面に統合し、事業活動を通じて社会・環境課題の解決に貢献していきます。


    インパクト戦略室より
    リーダー対談をお読みいただき、ありがとうございました。LIXILのインパクト創出へのコミットメントは、経営陣が打ち出し、全従業員が共有しています。私たちインパクト戦略室は、当社の経営陣の想いや情熱を社内外のすべてのステークホルダーの皆さまにお伝えし、それが将来さらに大きなインパクトを創出するための原動力となって取り組みを加速させるよう、尽力していきます。

    *2025年9月時点、31.3%。

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