衛生課題の解決に向けて

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LIXILグループでは、様々な民間企業や市民団体とのパートナーシップを通じて、すべての人に持続可能な衛生ソリューションを提供するため、下記3つを優先分野として位置づけています。

1.イノベーション

既存の製品では、現在、家にトイレがない人々の暮らしにそぐわないことがよくあります。例えば、従来の「西洋式」水洗トイレは1回の洗浄で約13Lの水を使いますが、世界人口の約5分の1が水資源の乏しい地域で暮らし、そうした地域ではトイレも不足している場合が多い中、このような技術は実情に適しているとは言えません。衛生ソリューションについては、トイレが不足しているコミュニティー独自のニーズに合致するものを、次のような事項を考慮しながら開発を進める必要があります。

  • » 節水/無水洗浄
  • » 統合的なし尿汚泥管理
  • » 文化的/ 宗教的環境への適応
  • » 低コストで購入、設置、維持が可能

イノベーションは新しい衛生設備・製品だけに限ったものではありません。エンドユーザーに衛生製品を確実に届けるためのサプライチェーンや物流、現地事情に即した製品マーケティングを行うにふさわしい事業体の創出、そして需要側と供給側両方の資金調達などにおいても、今までにない新たな発想が非常に重要となります。

2.政治的優先課題としての取り組み

衛生環境の改善には間違いなく社会的、経済的効果があります。国際レベル、国や地方レベルで、政治家は衛生問題を最優先課題に据え、それを国の計画と予算に反映させなくてはなりません。本報告書の調査を見ると、衛生環境が様々な開発分野に影響を及ぼしていることが分かります。衛生環境の改善によって経済が発展すれば、男女平等や教育、栄養、医療といった多様な分野に相乗効果を生むことができます。

衛生のユニバーサルアクセスを実現するには、既存あるいは新しいサービスの持続可能性を確保することが不可欠です。それには各国政府が監視、運用、維持の体制を整えて、サービスがうまく機能していない場合に迅速かつ効果的に修復し、低価格なサービスを公平に普及させていく必要があります。

2015年9月、国連加盟国193か国は「持続可能な開発目標(SDGs)」を全会一致で採択しましたが、これには2030年までに貧困撲滅のアジェンダを実現させるという前例のない政治的意思が働いています。「目標6.2」では、「全ての人々の、適切かつ平等な下水施設・衛生施設へのアクセスを達成」することが掲げられていますが、これを実現するのは至難の業です。「ミレニアム開発目標(MDGs)」で、衛生問題はターゲットを大幅に下回る結果に終わりました。すでに合意されたSDGsのターゲットについては、しっかりとした実施計画を策定することに重点が置かれています。

これまでのところ、ハイレベルな政治的リーダーシップのもとで衛生設備の普及拡大を進めている国々では、大幅な改善に成功しています。各国の政府や政策立案者は、シンガポール、韓国、マレーシア、タイの例を見習うことで、この成功に続くことができます1

1 詳細については、ウォーターエイドの『Achieving total sanitation and hygiene coverage within a generation - lessons from 10 East Asia,』(2016年発行)を参照。

3.協働と協調

3.協働と協調

衛生問題の危機的状況は大変複雑な問題であり、ひとりの人間やひとつの組織が単独で解決できるようなものではありません。異なる知識や技能を持つ多様な人々と組織が協働することで、既成概念を打ち破り、必要とされるイノベーションを推進することができるのです。国が主導権を握り、政府間組織やNGO、学界、民間セクターと協働することによって知力を結集し、最も有効なソリューションを生み出し、それを支える資金の手当てを行います。こうしたアプローチを用いることで、それぞれのステークホルダーが効率よく強みとなるスキルを活かすことができ、必要とされるスピードで効果的なプログラムを実施できるようになります。

グローバルな連携により、衛生的な水と適切なトイレへのユニバーサルアクセスの実現を目指す「万人のための衛生と水」パートナーシップは、可能な限り効率的かつ効果的に資金を供給するために各国政府と支援機関が実施すべきこととして、4つの「協働活動」を挙げています。

A. 各セクターの計画策定プロセスにおける国のリーダーシップの強化
国で合意された優先順位、戦略、計画に沿って、外部からの支援も含めたリソースを配分・調整するには、国のリーダーシップが不可欠である。
B. 国の各種制度の強化と運用:
国の主要な制度(財政管理、調達管理、契約管理)は、効果的で透明性の高いものにする必要がある。こうした制度は、水・衛生サービスの支出に対する資金調達にも、またそのサービスの監視・規制にも重要である。
C. 情報と相互説明責任に関するプラットフォームの統一
どこに投資し、どのように水・衛生サービスを維持・改善するかを決定するために、複数のセクターが確かなデータを用い、進捗状況に関して相互に説明責任を果たすことが不可欠である。
D. 水・衛生セクターにおける持続可能な資金戦略の構築
国がリーダーシップを発揮するには、リソースの透明性と予測可能性が重要である。主要財源である税金、関税、資金移動についての情報とあらゆるコストについての現実的な予測を織り込んだ資金戦略は、セクターの中長期計画を効果的に策定するうえで不可欠な要素である。

世界の民間セクターは重要な役割を担っており、極めて重要性の高い3つの分野での貢献が根本的に求められています。

  • » 世界規模で事業展開する企業は、サプライチェーンを通じて、トイレの足りないコミュニティーに暮らす人々に衛生ソリューションを届ける。
  • » 研究開発を行うリソースがある企業は、革新的な製品・サービスの開発が可能であり、衛生の危機的状況を改善につながるコンセプトを、必要とされるスピードで製品化する。
  • » マーケティングや市場開発を通じて、衛生に関する考え方と行動の「新たな常識」を生み出す。適切な衛生設備に対する消費者需要を拡大するには、こうした衛生設備へのアクセスがなかったコミュニティーにおける社会規範と考え方を変えていく必要があるが、多くのグローバル企業はそのために不可欠な知識や技能を備えている。この分野では既に優れた活動が行われているものの、安全な衛生環境へのアクセスを「新たな常識」にするという、望ましい変化を生み出すためには、より多くのリソースと研究が必要とされる。

官民が協働で衛生問題に取り組んでいる例として、LIXILグループが2014年に複数の企業・団体と共に、Toilet Board Coalitionという組織を設立しました。Toilet Board Coalitionは、革新的な技術とビジネスモデルを通じて新たなセクターを生み出し、商業的に持続可能なかたちで衛生環境の改善を目指す団体です。

より良い未来のために

調査結果が示す通り、衛生環境の未整備は大きな経済損失をもたらしており、政府、NGO、民間企業など様々なセクターが協力して対策を講じることが急務となっています。

LIXILグループでは、世界における衛生の危機的状況と人々の暮らしに与える影響をふまえ、その解決に向けて、2020年までに1億人の人々の衛生設備を改善することを目標として掲げています。

世界の衛生環境の改善は複雑な課題であり、あらゆるセクターが協働してこそ、多様な課題に対応し、変化を起こすことができるのです。

より良い未来のために

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