衛生環境の未整備による社会経済的損失の分析

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特別調査レポート(2016年8月発行)

衛生環境の未整備による社会経済的損失の分析

はじめに

衛生環境の改善に向け、これまでにも多くの取り組みが行われてきたにもかかわらず、世界では現在でも3人に1人、約24億人が安全で衛生的なトイレがない生活を送っています。そして、このうち10億人近くが、いまだに屋外で排泄を行っており、不衛生な環境に起因する下痢性疾患などのリスクにさらされています。安全で清潔なトイレを利用できることは、人間の尊厳を守ることだと考えると、受け入れがたい状況が続いているのです。さらに、基本的な衛生設備の不足は、社会や経済にも大きな影響を与えています。

OXFORD ECONOMICS オックスフォード・エコノミクスと国際NGOであるウォーターエイドと連携し、LIXILが実施した最新の調査結果は、衛生設備の未整備による隠れたコストを明らかにしています。この調査は、世界銀行が実施した「水と衛生プログラム(Water and Sanitation Program: WSP)」による先駆的調査をさらに発展させ、衛生環境の未整備に伴う世界全体の経済的損失に関する最新データを提供しています。

この調査結果を見ると、劣悪な衛生環境が経済に大きな影響を及ぼしていることがわかります。衛生設備が整備されていない国では、安全で衛生的なトイレの不足に起因する経済損失が、国内総生産(GDP)に占める割合が高いことが明らかとなっています。

このように、衛生環境の未整備は、非常に大きな社会経済的損失につながっており、この問題を無視することはできません。投資の拡大はもちろんのこと、緊急性の高い衛生課題の解決に向けて、政府、国際機関、民間セクターが連携し、議論を深め、優先的な取り組みを行っていくことが重要です。今こそ、一致協力して行動を起こす時なのです。

WaterAidからのメッセージ

2030年までに極度の貧困をなくし、公平で持続可能な世界を実現することを宣言した国連の「持続可能な開発のためのグローバル目標」の中で、誰一人取り残すことなく、すべての人々に安全な水と衛生へのアクセスを確保することが、「目標6」として掲げられています。これまでの進捗状況を見ると、この目標は非常に困難なことのようにも思えますが、優先的に衛生問題に取り組み、十分な資金を投入し、衛生設備へのアクセスのない人々の環境を改善する画期的な方法が見つかれば、実現可能な目標だといえます。

民間セクターが果たす役割は極めて重要です。株式会社LIXILグループのようなグローバル企業であれば、他者と協力して議論を深め、国や行政に衛生問題への優先的取り組みを低減することができます。また、納税を通して国の財政体制の強化に貢献し、衛生サービスへの資金投入を可能にすることもできます。そして、高い専門性と革新性を活かすことで、目標達成を阻むいくつもの課題を解決し、すべての人により良い衛生環境を提供するという目標達成に向けて大きく貢献することができるのです。

特定非営利活動法人ウォーターエイドジャパン
事務局長 高橋 郁

WaterAid

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