カーテンウォールの限界への挑戦

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更新:2016年3月26日

ホイットニー美術館 ニューヨークのワイルコーネル医科大学から、ガラス張りの新しいベルファー研究棟の設計を委託された建築事務所アニアド・アーキテクツ社は、大学の古い建物のような冷たい無機質なイメージではなく、患者に安心感を与える、洗練されたデザインにしたいと考えていました。しかしながら、従来のガラス壁を用いると、南から入る太陽の光が建物の温度を上昇させてしまい、マンハッタンのすばらしい景色を曇らせてしまうという課題に直面したのです。

そこで、外装に複層ガラスのカーテンウォールを使用し、熱の逃げ道を作るアイデアにたどり着きました。アニアド・アーキテクツ社の共同創業者であるトッド・シュリーマン氏は、同社が「高層建築物でこのような試みを行うのは初めてだったものの、最先端の技術で世界をリードするカーテンウォールメーカー、ペルマスティリーザ・グループがパートナーだったからこそ、自信を持って取り組むことができた」と語っています。「ペルマスティリーザは冒険的で美しいデザインを非常に得意としています。患者にやさしい建物が求められる中で、外観はとても重要な部分だといえます。」

2011年にLIXILグループの一員となったペルマスティリーザ・グループは、イタリア、ヴィットリオ・ヴェネトを本拠に、世界中で象徴的な建築物の外装を数多く手がけてきました。フランク・ゲーリー氏、ノーマン・フォスター卿、レム・コールハース氏といった有名建築家とのコラボレーションにより、ロンドンの高層ビルのザ・シャード、ニューヨークのIAC本社ビル、シドニーのオペラハウスなど、洗練されたカーテンウォールを配した建築物を生み出してきた実績があり、同社の手がけた建築の美しさと卓越した技術は建築界の新たなスタンダードとなってきました。ペルマスティリーザは、設計、技術、ロジスティックスの面で困難を伴うような独自性の高いプロジェクトにおいてこそ、その強みを発揮しています。

近年、都市部で暮らす人口が増加し、農村人口を超えてきています。米国の調査会社ナビガント・リサーチの調査によると、都市部の人口の急上昇は向こう10年は続くと見られており、それに伴い、都市部での商業施設や、安価な物件から富の象徴ともいえる高級住宅まで様々な住宅の建設も急速に増えていくことが見込まれ、世界の建築ストックは2013年の1,382億平米から、2023年には1,713億平米にまで増えると予想されています。

ザ・シャード こうした中、ペルマスティリーザは、厳格な環境・安全基準への対応を可能にするとともに、クリエイティブな発想を建築・設計に落とし込む技術を有しており、世界の建築ブームを支える中心的存在となっています。1973年に創業した同社は、傘下に50超のグループ企業、約7,000人の従業員を擁しており、事業全体の8割を占めるカーテンウォール事業の他、ホテルや店舗、空港などの内装事業を展開、昨年は約20億米ドルの売上を計上しています。現在は、北米と北ヨーロッパ市場に重点を置いて事業展開しているものの、アジア、中東でも事業を拡大しつつあります。 ペルマスティリーザは、ニューヨークだけでも170、ロンドンでは210ものビルを手がけた実績があり、まさに「主要都市の景観を生み出してきた」のです。

ペルマスティリーザはLIXILがグローバル・カンパニーへの変革を遂げる上で 大きな役割を果たしてきました。ペルマスティリーザは世界に14の生産拠点を有し、グローバルに連携しながら、プロジェクト全体を最初から最後までシームレスに統括する能力を有しています。同社は権限移譲、相互協力という点でユニークなモデルを採用しており、ニューヨークのビルのために必要なものをドイツで組み立てるといったことも可能です。

製造、物流、調達がうまく統制されたシステムを有しているペルマスティリーザは、建築業界において、哲学者プラトンが説く「デミウルゴス(物理的な世界に秩序をもたらす神聖な存在)」でありたいと考えています。同社は、レンゾ・ピアノ氏、 フランク・ゲーリー氏、ノーマン・フォスター卿といった建築家がデザインを生み出す初期段階から、彼らとじっくり話をし、何が可能かを検討します。つまり、同社の役割は、建築家のアイデアを技術的にも経済的にも実現可能なものにすることなのです。

2014年にオープンした上述のベルファー研究棟のプロジェクトにおいて、ペルマスティリーザの技術者たちは複合カーテンウォールの設計、製造を実現させると同時に、クレーンを使って大きな壁を施工する先進的な技術を開発し、デベロッパーの時間とコストの節約に貢献しました。アニアド・アーキテクツ社のシュリーマン氏によると、この設計のおかげで、エネルギーコストを20%削減し、国際的な建築物の環境性能評価であるLEEDにおいて、最高位から2番目に高いゴールド認証を取得することができました。

2006年に完成したノーマン・フォスター卿設計のハーストタワーの建設には、1928年竣工の既存建築を保存しながら、その上に新たなビルを増築するという難題が課されました。ペルマスティリーザは、フォスター+パートナーズと連携し、爆発による熱に耐えられる新技術を採用したファサードを導入し、このプロジェクトを実現に導きました。この技術は、ワン・ワールドトレードセンターの下層部にも使用されています。

さらに、ハーストタワーはそのデザインによって、ニューヨークの商業ビルとして初となるLEEDのゴールド認証を、その後、最高位のプラチナ認証を取得しました。その受賞理由の一つに挙げられるのがペルマスティリーザが手がけたロビーの滝の設計であり、この滝は単に装飾として用いられているだけではなく、ビル全体のエネルギー効率の向上に役立っています。屋根にたまった雨水が滝に流れ落ちるように設計されており、夏には空調としても機能します。

ホイットニー美術館 マンハッタン南端部に2015年5月に移転オープンしたホイットニー美術館は、再開発されたミートパッキング地区の港に停泊する宇宙船のような形をしています。レンゾ・ピアノ・ビルディング・ワークショップが、クーパー・ロバートソン建築事務所、ジョセフ・ガートナー社と共同設計したこの構造は、現代建築技術における匠の技の結集です。

ペルマスティリーザが2001年に買収したドイツのアルミ・スチール外装の専門会社のジョセフ・ガートナー社が、ユニークな形状を実現するスチールカーテンウォールなど、ホイットニー美術館の様々な構成要素の設計を担当しました。ペルマスティリーザは、今後も建築技術の限界への挑戦を続け、人びとの未来に貢献し、受け継がれていく建築物を生み出すことを目指しています。

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